短い休憩時間
ギガンテスを撃破して、俺達はギルドに戻っていた。
のんびりとお茶を飲んでいると、あり得ない光景が目に入った。
「そこをどいてくれないか?」
「・・・ミミさん、メイドのコスプレなんてして、どうしたんですか?」
ミミさんがメイドのコスプレをして、ギルド内を掃除していたのだった。
普通に白黒のメイド服、スカートは長いな。
「どうしたって、この服装はうちの掃除の時の正装だよ」
「見た目は似合うんだけど、性格を知っているとどうも違和感があるわね」
「そうっすか? 俺は普通に可愛らしいと思うっすよ! 獣耳メイド・・・むふふ」
「相変わらず、変態思考、近寄らないでください」
賛否両論は当然あるだろうな、なんせ、戦闘だったら猪だからな、ミミさん。
「うちの服装をどうこう言うのは良いけど、どいてくれよ、掃除が出来ないじゃ無いか」
「あぁ、はい、どきますよ」
「よし、これでここを掃除できるね」
そして、ミミさんは俺がどいたソファーを掃除し始めた。
結構ぎこちないが、ちゃんと掃除している、本当に意外だ。
「所で、なんでメイド服?」
「俺も気になるです!」
「可愛いですね」
遥人達が部屋から降りてきて、ミミさんに疑問を問い掛けた。
「それはだね、うちのサブ職業がメイドだからなんだよ」
「はぁ? メイド!? ・・・似合わない、メイドなんて」
「そう、ミミは突貫兵の方が似合ってる」
突貫兵はサブ職業の1つだ、敵にただひたすらに突っ込むための能力を得る事が出来る。
勇次の偵察者のような戦闘用のサブ職業だな。
「突貫兵もあったし迷ったんだけどね、元々獣耳を付けて見たかっただけだったからさ
だから、可愛らしいメイド服を着ることが出来るメイドにしたんだよ。
でも、あまり良い選択では無かったような気もするけど、意外と楽しい物だね」
そういえば、ミミさんは可愛らしい物に異常に反応を見せたっけ。
癒子にも過剰反応していたし、まぁ、今は癒子は俺の髪の毛の中に隠れているが。
「んん?」
「あぁ! 癒子ちゃん! 髪の毛の間からこっちを見てるなんて可愛いね!」
「きゅぅ!」
「隠れる動作も可愛いね!」
戦闘では猪のくせに、それ以外だと意外と乙女チックな人なんだな。
全く、この人はよく分からない。
「ミミさん、そのゆっくりと近寄る動作、止めてください、癒子が怖がるでしょう?」
「そうだね、じゃあ、うちは掃除を再開するよ」
そう言うと、ミミさんは落とした掃除道具を拾い、再びソファーの掃除を再開した。
正直、俺としてはこう言う掃除をしてくれる人が居てくれるとありがたい。
いちいち掃除をする必要も無いし、楽だ。
「修介さん、お茶を飲もうよ」
「あぁ・・・ん? 何だか話し方に違和感を感じるぞ?」
「いや、そろそろ結構な付合いだし、敬語をやめても良いかなぁって」
「そうか、まぁ、そっちの方が良いかもな、ついでにさん付けも止めてくれ」
「わ、分かった、しゅ・・・しゅうす・・・やっぱ無理! 恥ずかしいです!」
口調がまた戻ったな、やっぱりまだ距離があるんだろうか。
「まぁ、こっちの方が明美らしいわね」
「まぁ、敬語を先にやめて貰った俺の方がリード?」
「いや、勇次の場合はマイナスに振り切っただけ」
「がはぁ!」
あぁ、明美が敬語をやめる基準はマイナスを振り切るか、ある程度親しくなったらなのか。
だったら、俺はまだどちらでも無いんだな、何だか安心した。
「く、いいさ、俺はミミさんを目指す!」
「ん? うちを目指すってどういうことだい?」
「俺は獣耳が大好きだ! だからミミさんを目指す!」
「奇遇だね、うちも獣耳が大好きなんだ、でも、男の獣耳は嫌だね」
「ふっふっふ、大丈夫です、俺は獣耳ではありません」
「そうだね、でも嫌かな」
「がふぁ!」
勇次2連敗、散々だな、あいつも。
と言うか、急に活発になったな、いや、元々こんな感じだったか。
だが、こいつのこの暴走で、周りがほっこりと笑顔になった。
流石はムードメーカー暗いムードだけじゃ無く、こう言う明るいムードを更に明るく出来るのか。
「修介・・・俺はもう駄目だぜぇ・・・」
「まぁ、そう落ち込むな、お前は皆に笑顔を与えたから」
「俺にも、笑顔を与えて欲しいぜぇ・・・」
結構しょんぼりしていたが、掃除が終わると、すぐに座り、お茶を元気に飲んでやがる。
意外と、そこまで傷ついて無いんだろうな、と言うか、多分まだチャンスはあると思ってるな、これは。
「あぁ、そうだ、勇次君、一応釘を刺しておくけど」
「何っすか?」
「花梨ちゃんに手を出すのは駄目よ、獣耳だからって」
「しないっすよ! 俺は大人っす! 確かに可愛いけど、子どもに手を出すなんてあり得ない!」
「そう、なら安心したわ」
「俺をどう見てるんっすか・・・」
あいつは普段はあんな態度だが、根はまじめだからな、だから俺はあいつを親友だと思ってる。
俺はそれなりにこいつと長い付合いだから分かるが、りえるさん達はそうじゃないからな。
まぁ、普段の行動だけ見たら、そう考えられてもおかしくないよな、うん。
「それじゃあ、休みも終わったし、修介君、仕事を頼まれてくれるかしら?」
「はい、良いですよ、何をすれば良いですか?」
「まずは私の弾丸と勇次君の矢の錬成、その後は武器ね」
「はぁ、良いですけど・・・仕事、多いですね」
「えぇ、他にも色々とあるわ、今日は忙しいからね」
「あぁ、はい、分かりました・・・」
あの新人3人の指導でミミさんに巻き込まれて、ギガンテスと戦ってボロボロになって
その後、帰ってきたら少しの休憩の後、沢山の仕事かぁ・・・
今日は散々だ、でも、うん、頼られてるからとだと思って頑張るかな。




