決着、キラーゴブリン
キラーゴブリンの攻撃はドンドン激しくなり始めてきた。
刀での攻撃ってのは意外と厄介な物で、防御も出来ないこの状況ではかなり脅威だ。
一撃、一撃の間隔も短く、避けるだけで一苦労、だが、今はそれで良いだろう。
「がぁ!」
「ち」
俺は刀による一撃を回避し、刀の上に乗っかった。
「がぅ!」
キラーゴブリンは俺が乗った刀を大きく振り上げた。
そのタイミングに合わせ、ジャンプ、キラーゴブリンの後方に移動した。
気分は牛若丸って感じだな、何となくそんな気がする。
「食らえ!{ストーム}」
俺は後方に回り、ストームをぶつけた、たとえ防御が高かろうが、俺には関係ないからな。
クリティカルは防御を無視することが出来る、これは馬鹿に出来ないよな。
「がぁ!」
俺の攻撃を受け、速攻で反撃を仕掛けてきた。
「危ね!」
あ、危うく当るところだった、その攻撃で地面は抉れている。
こんなのをもろに食らったら間違いなく死ぬ、怖すぎだろ、これ。
それにしても、周りも援護してくれてるってのに、殆ど怯まないな。
「一体、どんな体力してるのよ、あいつ」
「結構当ててると思うんですけど・・・」
「体力が、高い」
全く洒落にならん、さっきから何十発も食らってるのに怯まない。
これが上位エリアのモンスターか、本当に持久戦になるな、これ。
「がぁ!!」
キラーゴブリンが刀をもう1本背中のカゴから取り出した。
あれ? これもしかして第2ラウンドスタートみたいな感じか!?
「うぉ!」
「がぁ! ぐらぁ!」
攻撃が単純にさっきの2倍くらい激しくなった、まぁ、2本になったんだし当然だが。
だとしても、この状況は不味い! そんなに長くは持たない、てか、そろそろしんどくなってきた。
「クソ!」
「不味いですよ、これ、このままだったら修介さんが・・・」
「分かってるわ! でも、今の私達にこれ以上の選択肢はない! 速攻であいつを仕留める!」
「うん、それしか、無い」
「こ、こんな時に何も出来ないのが悔しい・・・」
「俺もだ、弓での援護射撃しか出来ないなんて悔しいぜ・・・」
や、ヤバい、そろそろ体力的にヤバい! この世界でもスタミナって概念があるのかよ!
このまま回避しているのは厳しい!
「がぁ!」
「う」
「ぐぁ!」
キラーゴブリンが俺に刀の腹で攻撃を仕掛けてきた、くぅ、もう1本の刀で来ると思ってたせいで
対処が遅れた! このままだったら、当る!
「ぐぅ!!」
俺は回避が出来ないと判断して、刀でその攻撃を防いだ、しかし、勢いは止まらず
俺はすごい勢いで吹き飛ばされてしまった。
「ぐあ!」
か、壁に打ち付けられた、クソ、前にもあった気がするが、その時とは比べものにならない位痛い・・・
「修介さん!」
「修介先輩!」
「不味いわ! キラーゴブリンが修介君に!」
「クソ! ヤバいって!」
「急いで、援護しないと!」
くぅ・・・こんな状況でゆっくりとキラーゴブリンが近寄ってくる、何だか怖いっての・・・
だが、どうする? 殆ど動けないし、間違いなくあいつの攻撃をもろに食らったらお陀仏だ!
キラーゴブリンがゆっくりと刀を上げた、これは本格的にヤバいぞ!
「修介!」
「修介、今、助ける!」
癒子の声が聞えると、体が重かったのが治ってきた、これは癒子の力か。
本当にすごいな、だが、これで後1回しか発動できないのか。
「がぁ!」
「く!」
「修介先輩!」
皆の大きな声が聞えた、まぁ、あの場所から見たら俺が回避したのは気が付かないよな。
「おら!{ホーリースタンプ}」
「がぁ!!」
俺は回避して、すぐにキラーゴブリンに接近し、攻撃した。
その一撃を受け、キラーゴブリンは体勢を崩した。
「修介! 無事だったか!」
「まぁな、癒子が居なかったらヤバかったな」
「はぁ、心配したわ」
皆の方を見てみると、皆安心したような表情を浮かべていた。
何か、心配してくれているってだけで嬉しいもんだ。
「修介君も無事だったし! 一気に攻めるわよ!」
「はい!」
「ぐがぁ!」
こっからが反撃開始か、体力も回復したし、まだ戦えるだろう。
それにしても、何だか水蒸気みたいな物がキラーゴブリンから出ている気がするな。
何だか嫌な予感がする、これは警戒して動いた方が良いな。
「が!」
「は!?」
キラーゴブリンの動きがさっきよりも機敏になった!
これはヤバい、あの水蒸気は加速をするために出たのかよ!
「がらぁ!!」
「マジかよ!」
キラーゴブリンの攻撃スピードもかなり速かった、右、左、左、右って感じだ。
この4発を短い間に出してくるとか冗談じゃない!
「がぁ!」
「何だよ! 折角回復しても絶体絶命じゃねーかよ!」
「不味いわ、でも、こんな形態になるって事は、そろそろ弱ってるはずよ!」
「分かりました、速攻で落とします! 燃費なんて無視! {召還、アイスドック}」
「そうね! {パーフェクトスナイパー}{バレットパーティー}」
どうやら皆も燃費を無視して一斉に攻撃を始めるみたいだ、正直そうしてくれないと持たないからな。
「がぁ! ぐらぁ!」
「一気に沈めるわ!{チャージショット}{パワースナイプ}{ブレイクショット}」
「一斉に攻撃! 特殊スキル!{トリプルブレイク}」
「キョーン!」「ちゅぅ!!」「ワオーン!」
皆の一斉攻撃か、一切の温存を無視した大技の連続だな。
それにしてもトリプルブレイクなんて知らないな、聞いてもないし。
まぁ、それは良い、重要なのはこの攻撃でこいつを沈めれるかだ!
「がぁ!」
その最高火力はキラーゴブリンを貫き、キラーゴブリンはゆっくり倒れた。
「はぁ、はぁ、どうだ?」
「倒した・・・かしら?」
「もしも立ち上がられても困りますよ、もうMPは殆ど無いし」
しばらく経ってもキラーゴブリンは立ち上がる気配を見せなかった。
そして、ゆっくりと消えていった。
「や、やったーー!!」
「はぁ、何とかなったか・・・」
「正直良く倒せたわよね、上級エリアの化け物よ? こいつは」
「やった! やった! 勝った!」
正直、今回の勝利は癒子のお陰だな、こいつが居なかったら俺は死んでただろうな。
「ふーん、キラーゴブリンを倒したのね、ふふ、面白いわ」
クイーン・ゴブリンが高いところから降りてきた。
あぁ、そういえば忘れてたな、この戦いって後もう一体と戦わないといけないんだっけ。
「さて、じゃあ、今度は私が戦うわ、まぁ、本調子じゃないみたいだけど」
「お前の相手は俺達がするぜ、こいつらは消耗してるからな」
「さっきは一切役に立てなかったから、今度はしっかりと仕事をこなす」
クイーン・ゴブリンとは、愛、勇次、リエさんが戦ってくれるみたいだ。
ありがたい、化け物と2回連続戦うのは正直勘弁して欲しかったしな。
でも、大丈夫か? 不安はあるが、信じるしかないよな。




