クイーン・ゴブリンとの戦い
アーマーゴブリンを撃破し、俺達はその奥の大きな扉の先に進んだ。
その先はさっきまでの場所とは違い、少し明るかった、どうやら月明かりが入っているようだ。
となると、ここは昼の間はかなり明るいと言うことだな。
「少し明るいね」
「月明かりが入ってきてるんだ、だから明るいんだろう」
「それにしても、厳重に守られていた割には何もないわね」
この場所は月明かりが入っている所を除けば、何もない空間だった。
どうしてもアーマーゴブリン達が厳重に警戒するほどの場所には見えない。
「それにしても綺麗ね、部屋も広いわ」
「洞窟内には見えないッスね」
しかしだ、こんな空間を何だかタワー内で見たような気がする。
何もないのに広い空間、ボス戦がある場所は大体こんな感じだ。
だとすると、この場所はボスが居る空間って事になるだろうな。
警戒をしながら進むのが1番だ、こんな最初に何も居ない空間は不意打ちの可能性が高いからな。
「まぁ、警戒しましょうか、明らかにボス部屋だしね」
「そうですよね、間違いありませんよ」
「うん、警戒は、大事」
俺達は周囲を警戒しながらこの部屋の探索を始めた。
そして、探索を初めて少し経つと、どこからか声が聞えてきた。
「私の部屋になんの用?」
女の人の声のような気がするな、しかし、周囲を見渡しても何処にも居ない。
「そうね、このダンジョンを攻略するにはここを制覇しないと」
「あぁ、あの命知らずの奴らか、久々ね、私の部屋までこれた奴は」
そんな声が聞え、奥の方から1人の女の人が姿を現した。
その女の人は体の色は緑で、服にはゴブリンが来ている藁で出来た服を着ていた。
髪の毛は赤色、目の色も赤、この人は多分ゴブリンの女王って所か。
「ようこそ、命知らずの人形さん達、いや、今は違うわね、話せてるし」
「あんたがここのボスね、さっきの発言、何処かで聞いたわ、一応聞きたいんだけど?」
「何処かしら? 人形の所?」
「そう」
「簡単ね、前まであなた達は話しかけても応えなかったのよ、それだから人形」
前まで、多分それはゲームの時代の事だろうな、だから人形ね。
「まぁ、あんたらが人形じゃなくなってから、弱くなったし、人形のままで良かったんじゃない?」
「私達もそう思うのよ、でも、なってしまった物は仕方ない、とりあえず、私達に倒されなさいよ」
りえるさんの発言を聞き、女のゴブリンはニヤッと笑った。
「良いわよ、でも、それはあなた達が私を倒せたらね」
そして、女のゴブリンは武器を取り出した。
「さぁ、私も退屈していたの、私を、いや、私達を楽しませなさいよ」
そう言うと、女のゴブリンは手を叩いた、すると何処からかゴブリン達が姿を現した。
さっきまでは居なかったんだが、これは不意打ちとかには警戒した方が良さそうだな。
「良いわよ、楽しめるかは分からないでしょうけど、殲滅するわ、覚悟しなさいよ
クイーン・ゴブリン」
クイーン・ゴブリン、彼女はゴブリン全ての女王である、世界にいるゴブリンの全ては
彼女が作り上げた物とされている、彼女は滅びることはなく、いくらでも復活することが出来る。
彼女自身、戦闘好きであるが、強い物と戦うのを至高の喜びとしている。
そして、彼女は瞬間的にゴブリンを作り上げることの出来る力を持つ。
だったかな、だとすると、いつでもゴブリンを出せるのか、厄介な奴だ。
「さぁ、あなた達の力を見せてもらうわ、私が楽しめる相手か、否かね」
「そうね、じゃあ、修介君、周りのゴブリンの殲滅をしなさい」
「はい、任せてください!{テンペスト}」
俺はテンペストを放った、そして、周囲のゴブリンを巻き込み、殲滅することに成功した。
しかし、これで残りMPは215か、何だか心許ないが、あまりテンペストを撃たなければ大丈夫か。
「へぇ、一瞬で殲滅ね、面白いじゃない、そうこないとね」
「そら!」
クイーン・ゴブリンが俺の攻撃に感心している隙に、愛が一気に接近して攻撃を仕掛けた。
「ふふ」
しかし、クイーン・ゴブリンは愛の攻撃を盾で防ぎ、愛に攻撃を仕掛けた。
「ちぃ」
その攻撃を愛が凌ぐ、苛烈な接近戦って感じだな。
「じゃあ、こうよ!」
そして、その間に俺達は側面に移動し、りえるさんがクイーン・ゴブリンに攻撃を仕掛けた。
「やっぱり数が多いと面倒よね」
「ぎゃぁ!」
クイーン・ゴブリンの目が少しだけ光ったと思うと、りえるさんの射線上にゴブリンが出てきた。
そして、その弾丸はゴブリンに当たり、弾道が逸れた。
「手を叩く必要も無く、召喚できるのかよ」
「そうよ、ついでに、少しだけ隙があれば」
「くぅ」
クイーン・ゴブリンは愛を少しの間後ろに弾き、その隙に盾と剣をぶつけて大きな音を出した。
すると、俺達の目の前に愛と一緒に戦った、あの図体のデカいゴブリンが姿を現した。
「な! ホグゴブリン!?」
ホグゴブリン、ゴブリン族の中で戦闘力が4番目に高いゴブリン。
攻撃力はさほど高くは無いが、体力がかなり高く、撃破には時間がかかるであろう。
という説明だったと思う、しかし、こんなのまで召喚してくるとは・・・それに4番目ってのが怖い。
1番はクイーン・ゴブリンだろうが、3番と2番が不安だ。
「さて、どうするのかしらね?」
「ここは俺に任せろ! グレン!」
勇次がグレンをだし、ホグゴブリンに攻撃を仕掛けた。
「がぁ!」
「ぐおぉ!!」
「そんなのがいるのね、ふーん」
「よそ見してるんじゃない!」
愛が再びクイーン・ゴブリンに攻撃を仕掛けた。
クイーン・ゴブリンはその攻撃をすんなり防いだ。
「ふ、面倒な子だね」
「邪魔をするのがあたしの役目だからね」
「そう、じゃあ、少しだけ吹き飛んでもらうわ」
クイーン・ゴブリンは愛を思いっきり蹴りつけた。
「ぐぅ!」
その蹴りの威力は相当のようで、愛はすごい勢いで後方に吹き飛ばされた。
「愛ちゃん!」
「きゃぅ」
愛はその勢いのまま壁に打ち付けられた。
あんな見た目でも相当な怪力なんだというのがこの一撃で理解できた。
「愛、大丈夫か?」
「大丈夫、前衛がこの程度で沈みはしないよ・・・それより、あいつ、変な動きを」
愛に言われ、後ろを振り返ってみると、クイーン・ゴブリンが何度か武器を打ち付けている。
これは多分何かを召喚するつもりなんだ、不味い、止めないと!
「させるか!」
俺が行動するより先にりえるさんが攻撃を仕掛けた。
「もう遅い」
しかし、りえるさんの攻撃はクイーン・ゴブリンには当らず。
クイーン・ゴブリンの前に姿を現した、まるで狼のようなゴブリンに当った。
「な、ゴブリン・ウルフ!」
ゴブリン・ウルフ、狼の体を持ったゴブリン、防御力はさほど高くは無いが
攻撃力、素早さが非常に高い、しかし、防御力はさほど高くないと言ったが、それは
当ればの話である、彼は攻撃を回避し、防ぐことも出来るゴブリンなのだ。
という説明だったはずだ、強さのランクはよく分からないが、多分3番か2番だろう。
「がぁ!!」
「こっちに来る!」
「修介先輩! ここはあたしが止める!{ビッグウォール}」
愛はゴブリン・ウルフの前に立ち、その攻撃を止めた。
「今よ! 左右に分かれて攻撃するわ!」
「はい!」
俺達は左右に分かれて攻撃を仕掛ける事にした。
「食らえ{パワーショット}」
「当れ{フォースキャノン}」
「焼いて{召喚、ファイアーバード}」
「そら{ストーム}」
俺達4人の同時攻撃をゴブリン・ウルフは回避することも防ぐことも出来なかったようだ。
その攻撃は全て当たり、ゴブリン・ウルフは大きく怯んだ。
「よし!」
「やるわね、でも、時間稼ぎの役目は十分果たしてくれたわ」
「はぁ?」
「出てきなさい、キラーゴブリン」
クイーン・ゴブリンがそう呼ぶと、近くに大量の武器を携えた体が大きいゴブリンが現われた。
「キラーゴブリン!?」
キラーゴブリン、圧倒的な攻撃力、圧倒的な防御力を誇るゴブリンの中で最も強い存在。
素早く、激しい攻撃は何人もの挑戦者を絶望の淵に追いやった。
と言う説明だった、名前を聞いて思いだした。
「なんで上級エリアのモンスターが中級エリアのここで出てくるのよ!」
「さぁ、始めましょう、ここからが、本番よ」




