第八話 6
僕は、加賀美佐助から、ビデオカメラと携帯を渡され、浮気調査をしていた。しかし、依頼者の女性の夫である男を尾行し、浮気相手の女と、ラブホテルに消えていくところを突き止めることができても、慣れないせいもあり、何度もシャッターチャンスを逃し、動画も撮れなかった。撮れる時もあったが、ターゲットの男に隠れて撮るのが難しく、相手に丸分かりの状態になり、「お前、何をやっているんだ!」と当事者本人と揉めることもあった。
加賀美佐助には、毎日必ず報告に来いと言われていたにも関わらず報告を怠ると、加賀美佐助は烈火のごとく怒り、僕は否が応でも毎日彼と顔を合わせることになった。
「調査案件一件につき、毎回写真が一枚だけとは、どういうことだ?」
「俺には無理だ。必死でやってこのザマだよ」
「本当はチームで行動する方がいいと分かってるんだが、お前には無理だろうと思っていた。他の調査員はチームを組んでるんだよ。明日から、うちの調査員の皆川と一緒に行動して、彼からノウハウを学べよ。いや、男より女のほうがいいかな。片山君とだったら、カップルに見えるだろうし、カモフラになっていいだろう」
「俺に、四六時中、女と一緒にいろと言うのか?」
「別に彼女と付き合えと言ってるわけじゃない。仕事だろ? 仕事に男も女も関係ないだろう。それにお前、女嫌いを克服したんじゃなかったのか?」
「……」
「片山君は優秀だし、お前が車を運転して、彼女がどんな風に動画を撮っているのか、学べばいいじゃないか」
「それじゃあ、経費がかさむだろう?」
「一人で尾行してチャンスを逃すより、余程効率的だ」
「やっぱり、俺に浮気調査は無理だ。契約を解除してくれてもいい」
そう言ったのに、加賀美佐助は頑として首を縦に振らなかった。契約書には、三ヶ月ごとに更新すると契約条項の記載があり、「少なくとも三ヶ月は続けて貰う」と加賀美佐助は言い、僕に毎日、尾行させ続けた。




