第四話 6
プルルルル、プルルルル、プルルルル、カチャ
「はい、レイデンです。お電話ありがとうございます。セイヤさんなんですね? お電話をお待ちしてましたよ。何でも話してください。またお困りなんでしょ?」
「あれ? 今日は、先生はなんだかいつもと違いますね。いつもより優しいような……」
「朝から、セイヤさんのことが気になってたんです。セイヤさんの悲しい顔が見えてたんです」
「そうですか……」
「今日、お電話をくださるだろうなと思ってました」
「もうすぐ命が尽きようとしている人がいるのに、僕はその人の役に立てないかもしれないと思っています。だから、先生に電話しました」
「そうですか……、それはお辛いですね……。私で良ければ、喜んでお手伝いします」
「レイデン先生は非常に優れた人だから、僕が何も言わなくても、何故困ってるのか分かってるでしょ?」
「そうですね」
「じゃあ、さっさと教えてください」
「はぁ……、セイヤさんは相変わらずですね。優しくしたのに損しちゃったわ。その性格を直さないと生きにくいでしょう?」
「それはそうかもしれないです……」
「あなたがそれでいいのなら、私がとやかく言う必要なんかないですけど、今の状況を辛く思ってるらっしゃるようだから、自己改革なさったほうがいいですよ」
「自己改革?」
「そう自己改革。とにかく先入観を捨て去ること。それに尽きますね」
「そうですか」
「そうです。先入観なんて持ってたら視野が狭くなって、幸せになることを自ら放棄しているようなものです。こんな仕事をしていると、色んな人から色んな悩み事を聞くんですよ。でも悩みの種はみんな同じ。相手のことを誤解しているんです。実際に霊視してみて分かるんですが、相手の方はそんな風に思ってないですよ、寧ろもっとあなたのことを心配したり良い方に考えていますよと伝えることがほとんどなんです。だって、自分のことを考えたらそうでしょ? 世の中に、そんなに憎い人なんてほとんどいないでしょ。いても一人か二人。十人いる人なんかいないですよ」
「たしかに」
「世の中の人は、ほとんど良い人なんですよ。ただ、みんな誤解してるだけ」
「おそらくそうなんでしょうね」
「今日のセイヤさんは、凄く素直ですね」
「そうですか?」
「その調子で周囲の人に接してください。そうすれば、今あなたが抱えている問題は解決するはずです」
「本当に?」
「ええ、必ず解決します。だから実行してくださいね」
「分かりました」
僕はレイデンとそう会話をして電話を切った。今日はお団子を食べていないと、電話を切った後に気付いた。そのことに気付いた時、自然と笑みが零れた。




