第三話 8
プルルルル、プルルルル、プルルルル、カチャ
困った唐吉は、またもやレイデンに電話していた。
「はい、レイデンです。お電話ありがとうございます。あら、またセイヤさんなの? もうかかってこないと思ってたわ」
「なんなんですか! しょっぱなからそんな挨拶をするなんて、あり得ないでしょ! あなたは占い師かもしれないけど、カウンセラーでもあるんでしょ? カウンセラーの先生がそんなことでいいんですか!」
「そうですね、ごめんなさい……。でも、セイヤさんだと調子が狂っちゃうんですよ。私がこうなるのは、セイヤさんだけですから」
「そうですか、それならいいです……って、全然いいことないですよ! 僕は困って電話してるんですから、きちんと対応してください」
「分かりました……」
「僕は今、お団子を食べています。もう準備は整っています」
「そうですか。学習しましたね。それで、今日は何を訊きたいんですか?」
「緑のオカッパが付き合っていた男のことです」
「緑のオカッパ?」
「あ、すみません、速水愛という女です」
「速水愛さんというのね……。んー、もう少し情報をください」
唐吉は、レイデンに言われた通り、前は古田町の青木屋にいたが、今は近くのコンビニで働いている二十五歳の緑のオカッパ頭をした女だとレイデンに彼女の情報を伝えた。
「速水愛は、浮気して男を捨てるようなくだらない女だ! その女に騙されて捨てられた健気な男の行方を捜しているんだ!」
唐吉は、速水愛のことを考えていたら、はらわたが煮えくり返り、いつの間にか声を荒げていた。
「私には、あなたが言ってることと全く正反対のことが見えてますけど」
「はぁ? そんなわけがない。あの女は最低な男たらしだ!」
「表面的には、そうなのかもしれないけれど、あなたは人間の本質が何も分かっていない」
「どういうことだ?」
「あなたは本当に女心が分からない人なんですね。あなたみたいな人にだって本心と違うことを女性に伝えたことぐらいあるでしょ? あなたは女性をバカにしすぎ! あなたと話してたら不愉快になってきたから、今日はもうこちらから失礼します!」
「はぁ? 客に向かってなんてことを言うんだ!」
「特別サービスでお答えしますけど、速水愛さんは嘘を吐いてます。もう一度、彼女に聞いてみることですね!」
「?」
ガチャン、プープープー
「くそっ! またかよ! また切りやがった!」
唐吉は、そう叫ぶしかなかった。
レイデンは、どうして彼と話していたら、こうなってしまうんだろう?と少しだけ後悔していた。でも、レイデンには唐吉の本心が見えていた、本当は助言通りのことが次々起こって、私に感謝しているにも関わらず、自分の言葉足らずのせいで怒らせてしまって申し訳ないと思っていることを……。だったら、最初から自分の気持ちを素直に言葉にすればいいだけなのにとは思う。彼は、自分勝手で傲慢に見えるけれど、本当は随分生き辛いだろうな、自分も彼にもう少し優しくしなくちゃいけないなと反省していた。




