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ファンタジー野郎・御意見無用  作者: さかくらとうじ
第一章 見知らぬ女と奇妙な空
7/8

 月下紋次郎、松下鴎、桶川散魅の三人を助けた女。

 名前をシズエ・タカミザワ、年齢は28歳。

 彼女が日本風英語ネームらしき名乗った時、三人驚いた。


「それでは、店長。この金額で納得してもらえますね」


「ああ。これだけもらえりゃ、店直しても釣りがくるよ」


「そういうことは、言わない方がいいと思いますよ」


 話を聞いていた紋次郎が拳を握りながら震えている。


「そうみたいだな、すまんね」


「いいえ。これで、この三人のことを水に流してくださいね」


「おう! あんたんところには世話になってるからな」


「それはどうも……」


「おい! あんたらもまたウチの店に来いよ、その時は客でな! アハハハハッ」


 店長の言葉を聞いて、紋次郎だけではなく二人も怒りで震えていた。


「……一応、領収書を出してもらえますか?」


「領収書かー。いいよ、いいよ、店の方に出しておく? それともシズエちゃん?」


「店でお願いします」


「あいよ、ちょい待ってな」


 店長は言いながら、そのまま店から出てどこかへと消えていった。


「あのよ……店長がどこか行ってしまったよ?」


 紋次郎が困り顔でシズエに訪ねた。

 シズエは笑顔で答える。


「心配いりませんよ。この辺の元締めのところへ行っているのでしょう」


「元締め?」


「ええ。先ほどの用心棒たちは囲ってる人のことですよ」


「はー。そんなのおるのか」


「ええ……」


 しばらくすると店長が領収書を持って戻ってきた。

 シズエは領収書を受け取り、紋次郎たち引き連れ露店から出て行った。


 シズエが先行する形で三人は後を付いていく。

 紋次郎たちが、今まで見たことがない街に溢れかえる活気だった。


 街は、祭りみたいな雰囲気。

 そこら中から笑い声や怒声や話し声が聞こえ。

 歩いている人は誰一人として頭を下げて歩いておらず。

 背筋を伸ばし顔を上げ早足で歩き。

 人々は活力溢れていた。


「みんな元気じゃの」


 紋次郎は人々を見た感想をポロッと呟いた。

 それを聞いたシズエが小さな声で言った。


「この街は無理してでも気張らないと生きていけませんからね」


「どういうことなの?」


「役人の取り立てが他のエリアより厳しいんですよ」


「……」


「私たちが今いるエリアは、エリアーC……別名、商業エリアと呼ばれてますね」


 鴎が紋次郎の腕に絡みつき、散魅が額に青筋を浮かばせた。


 それからシズエは口を閉じ、笑顔で歩いていく。

 その後を紋次郎たちは追いかけるように後を追った。


「ねえ、紋ちゃんシズエさんって足が速いね」


「紋次郎からゆっくり歩くように言ってよ」


「ん? 何か言ったかの?」


 紋次郎はシズエの後ろ姿を見ながら、これからを考えていた。


「ちょっと紋次郎! あたしのこと無視しないでよ!」


「あーーーっ! さっき私たち無視してシズエさんと!」


「いきなりシズエさんの手を握ってたよね! どういうことなの紋次郎!?」


「紋ちゃん! もう!」


 紋次郎は二人の声など、どこ吹く風で反応せずに、シズエを追いかけていた。

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