↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
109/114

正妻の威嚴と、甘すぎる夕食の攻防戰

【シーン1:午後18時00分、樹の部屋(三人で帰宅、私服の涼香と葵の対立)】


放課後、生徒会室での衝撃的な宣戦布告を経て、三人で樹のマンションへと帰宅した。


玄関に入るなり、葵は「お邪魔しまーす!」と元気よく上がり込み、リビングのソファーにダイブした。


「ふぅ〜! やっぱりお兄ちゃんのお部屋は落ち着くなぁ! ほらお兄ちゃん、お茶淹れてお茶!」


「こら葵、涼香さんもいるんだから少しは遠慮しなさい……」


樹が困り顔で注意しようとしたその時——


「いいのよ、樹くん。葵ちゃんは『お客様』なのだから、寛いでもらえばいいわ」


奥の部屋から出てきた涼香の姿に、樹も葵も息をのんだ。


制服を脱ぎ捨てた涼香が着ていたのは、なんと樹の大きめのパーカーに、短いショートパンツという完全な「お家リラックススタイル」。エプロンを腰に巻き、さらさらの黒髪を後ろでひとつに結んでいる。


「な、ななな……なんですかその格好はーっ! お兄ちゃんの服を着てエプロンまでつけて……っ!?」


「ふふ、なにって……これが私の『日常』よ? 樹くんのお家では、私はいつも彼の服を着て、こうして夜ご飯を作っているの」


涼香は優越感に満ちた笑みを浮かべると、樹の背後に回り込み、彼の首にすっと腕を回して耳元で囁いた。


「ねえ、樹くん? 今日の晩ご飯、あなたの好きな『甘口のハンバーグ』でいいかしら……? 昨日お家で『涼香の作るハンバーグが一番好き』って甘えてくれたものね?」


「っ……! 涼香、葵の前で思い出すようなこと言わないでよ……っ!」


顔を赤くする樹を見て、葵は拳をギュッと握り締めた。


「キーッ! お兄ちゃん! 騙されちゃダメだよ! お兄ちゃんの好きなハンバーグの味付けは、私が一番よく知ってるんだから! 今日の晩ご飯は私が作る!」


「あら……? 妹さんがお料理勝負を挑んでくるなんて、面白いわね」


涼香の琥珀色の瞳がキランと光った。


【シーン2:午後19時00分、キッチンでの料理対決(手製ハンバーグと愛妻の工夫)】


キッチンに二人の美少女が並び、猛烈な火花が散っていた。


葵は「お兄ちゃん特製・昔ながらの醤油グラビーハンバーグ」をテキパキと作り進める。さすがは妹、樹の好みをしっかり把握している手際だ。


一方の涼香は、落ち着いた手つきでひき肉をこね、隠し味に赤ワインと自家製ソースを投入していた。実は涼香、樹を甘やかしたい一心で、プロの料理本と料理動画を研究し尽くしていたのだ。


「フフン! できた! お兄ちゃん、召し上がれ!」


「私の手作りハンバーグもできたわよ。……樹くん、あーんしてあげるわね?」


食卓に並べられた二つのハンバーグ。


まず葵のハンバーグを口にした樹。


「うん! 美味しいよ葵! 昔懐かしい味だ」


「でしょでしょ〜! お兄ちゃんの好きなお醤油ベースだもん!」


葵が得意気な顔をしたのも束腕。

涼香は自分のハンバーグをナイフで切り分けると、フォークですくって樹の口元へと運んだ。


「さあ、樹くん……あーん♡」


「う、うん……あーん……」


樹が涼香のハンバーグを口に含んだ瞬間——肉汁が口いっぱいに広がり、絶妙な甘みとコクが舌を包み込んだ。


「っ……!? う、うますぎる……っ! 涼香、これ……洋食屋さんの味以上だよ……っ!?」


「ふふ……あなたのために、何度も試作を重ねたもの。あなたの好みに合わせて、隠し味に少しだけハチミツを入れているのよ」


「お兄ちゃんが……うっとりしてる……っ!? 私の思い出の味が負けた……!?」


葵はガーンとショックを受け、膝をついた。

涼香は満足そうに微笑むと、樹の口元についたソースを自分の指先でそっと拭き取り、それをペロリと舐めてみせた。


「ごちそうさまの……『お世話』よ♡」


【シーン3:午後21時00分、食後のリビング(膝枕と耳かきの絶対領域攻防)】


食後、お風呂上がりで湯気を立てた涼香は、リビングの絨毯の上に座り込み、自分の太ももをトントンと叩いた。


「樹くん。お風呂から上がったわね? ……おいで?」


「え……? 涼香、まさか……」


「ええ、日課の『膝枕耳かき』の時間よ。今日は葵ちゃんとの勝負で少し疲れたから……あなたを甘やかして、私自身も充填させてもらわなきゃ困るわ」


「な、なに言ってるの涼香さんっ! お兄ちゃん、行っちゃダメ——」


葵が止める間もなく、涼香は樹の腕を引っ張り、そのまま自分の柔らかい太ももの上へと樹の頭を倒し込んだ。


「んっ……涼香、太もも柔らかすぎ……っ」


「ふふ……いい子ね、樹くん。静かにしてね……耳掃除してあげるわ」


涼香の甘いホワイトムスクの香り、太ももから伝わる心地よい体温、そして耳元で囁かれる優しすぎる声。

樹の理性がどんどん溶けていき、瞳がトロリと蕩けていく。


「……お兄ちゃんが、完全にダメ人間にされてる……」


膝枕の上で涼香の胸元に顔を埋め、気持ちよさそうに目を細める樹の姿を見て、葵はついに降参の溜息をついた。


「お姉さん……ううん、涼香さん。悔しいけど……私じゃお兄ちゃんをここまでダメにできないよ……」


「ふふ、分かってくれたかしら葵ちゃん? ……樹くんを甘やかしてダメにするのは、私の専任事項なの。……でもね」


涼香は樹の髪を優しく撫でながら、葵に向かって柔らかく微笑んだ。


「あなたが樹くんを大切に思っている気持ちは本物よ。……これからは『義理の妹』として、仲良くしましょうね?」


「……っ! べ、別に認めたわけじゃないんだからね! 次は負けないんだから!」


こうして、妹・葵の襲来劇は、涼香の「正妻の絶対的敗北無き甘やかし」によって見事に撃破され、二人の甘い同居生活はさらに揺るぎないものとなったのだった——!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最後までお読みいただきありがとうございます!

「夏目先輩のギャップ萌えが可愛い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
ページ下部の【★★★★★】評価とブックマーク登録で応援していただけるとめちゃくちゃ励みになります!✨

※皆様の星とブックマークが作者の執筆の原動力です!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。