第283話 猫耳魔族の登校
早いもので、嫁さんをはじめとした女性陣がアカデミーに通うようになってから7日目となった。
時は、11月14日。
大神官エニシダの講義は9日目であり、翌日は試験日なので、この日が最後の学習機会となる。
農村から来た平民学生プリムラが、エニシダの研究室に出入りしている。という話をラクティフローラとシャクヤから聞き、好色な教授の餌食になっていないか、非常に心配しての朝となった。
ところが、この日の我が家は、早朝から別の騒ぎで翻弄されることになった。
「レン!ウチもアカデミーに行くニャン!」
なんとフェーリスが僕たちと一緒に授業を受けたいと申し出たのだ。しかも、あろうことか、既に乗り気の彼女はブレザーの女子制服を着ている。僕は、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「なにバカなこと言ってんだ!あと、その服、どこから持ってきた!」
「王女が持ってたのを借りたニャン!」
彼女が申告したとおり、それは嫁さんがラクティフローラのために作ってあげたブレザーであった。僕が叫んでいるのを見て、王女は謝罪した。
「申し訳ありません。フェーリスがどうしても着てみたいというので、面白がって着せてしまいました」
「あ、いや……」
別に王女が悪いわけでもないので、僕は言葉を濁した。
それにしてもフェーリスの格好は反則だ。
冷静に見返してみても、かなり似合っている。
ていうか、猫耳JKなんて、完全にただのコスプレだろ。
しかも、かわいいところが逆に腹が立つ。
何のアニメだったか忘れたが、こういうアイドルキャラがいた記憶もある。
だがしかし、彼女の登校を許すわけにもいかない。僕は断固反対した。
「だいたい、どうして今頃、言い出すんだ!これまで、そんな素振り、全く見せなかったじゃないか!」
「みんなが毎日、楽しそうにアカデミーの話するから、ウチも興味湧いたニャン!行きたいニャン!」
「でも、お前は学生じゃないんだ。授業は受けられないよ」
「”モグリ”で行くから問題ないニャン!」
「この世界にも、そんな言葉があるのか!」
ツッコみつつ、驚きつつ、僕は呆れながら感心した。要するにフェーリスはコッソリ学生のフリをして、無断で授業を受けようと言うのである。むしろ情報セキュリティの発達した昨今、僕たちの世界では”モグリ”という言葉を聞かなくなった気がするが。
そして、さらにフェーリスは、ここぞとばかりに伝家の宝刀を持ち出した。
「レン、覚えてるニャン?帝国で、ウチの【猫猫通信】にシステムを連携させたニャン。あの時、ウチのこと、思いっきり激しくイジりまわしてくれたニャン。死ぬほど、くすぐったかったニャン。どう責任取ってくれるニャン」
「いやいや、言い方」
「あの時、”帰ったら何でもしてあげる”って、レンは言ったニャン!その権利を今、使うニャン!」
「なんだと!!」
「忘れたとは言わせないニャンよ!」
彼女は、得意げに僕に迫った。
そういえば、僕もすっかり忘れてしまっていたが、イマーラヤ帝国において、嫁さんが米を食べたいと言い出し、子どものように癇癪を起したことがあった。その際、困り果てた僕は、世界中から稲と米の存在を探り当てるため、フェーリスに猫通信と宝珠システムを連携させる旨を依頼したのだ。
あの時、僕は確かに彼女と約束した。「大事な用件なんだ。帰ったら何でもしてあげるから頼む」と。
まさかフェーリスに借りを作っておくことが、このような形で僕を困惑させるとは。
僕が絶句していると、嫁さんが、あっけらかんとした顔で明るく言った。
「まぁまぁ。いいじゃん。フェーリスちゃんもいた方がさらに楽しくなるって」
「誰のせいで、こうなったと思ってるんだよ。あの時、百合ちゃんがお米を食べたいって駄々をこねるから……」
「あ、私のせいか」
悪びれもしない嫁さんに軽くイラッとした。
フェーリスは、そんな僕にニコニコしながら顔を近づけてくる。
「行ってもいいかニャン?」
僕は深くため息をつきながら了承した。
「……わかったよ。しょうがない」
「やったニャン!!やっぱりレンにおねだりする時は、”ニャン”の気分で正解ニャン!」
「だけど、いいか。いつも以上に慎重な行動を心掛けてくれよ。今、アカデミーでは”殺人鬼魔族”の噂が出回ってるんだ。お前が魔族だとバレたら、僕でも庇いきれる自信が無い」
「それは任せるニャン!!レン、ありがとニャン♪」
許可が下りたことで、歓喜したフェーリスは跳び上がった。我が家は広い豪邸であるため、天井が高く、ちょっとジャンプしたくらいでは全く問題はない。
ただし、それは普段着であればの話だ。
今の彼女は、ミニスカートのブレザーを着ている。その状態で空中に跳ね上がったり、旋回してアクロバティックな動作を決めたりすれば、どうなるか。
見せてはいけない部分がモロに見えてしまうのは必定である。
僕たち一家は揃って仰天した。
「待て待て待て!フェーリス!その格好で跳び回るな!」
「フェーリスちゃん!女の子がそんなことしちゃダメ!」
「きゃはははっ!フェリー、パンツまるみえ!」
牡丹だけは、ただ一人それを面白がり、一緒になって跳び回った。僕たちが慌てふためいているのを見て、着地したフェーリスは不思議そうに尋ねる。
「ウチ、何か変なことしたかニャン?このヒラヒラしたの、面白いニャン」
言いながら、普通にスカートの裾を持ち上げるため、ショーツが丸見えになる。彼女の胴体は人間とほとんど変わらないため、僕にとっても強い刺激だ。
「ダメ!蓮くんは見ちゃダメ!」
咄嗟に嫁さんが僕の目を手で隠す。その間にも、フェーリスは再び牡丹と一緒に部屋の中を跳び回っていた。
彼女の痴態を見ている女性陣は茫然自失であり、シャクヤは真っ赤になった顔を手で覆い、ダチュラは青ざめ、カエノフィディアはオロオロしている。
そして、ラクティフローラは思わず嫁さんに非難の声を上げた。
「お、お姉様たちの世界には、なぜ、あのようにリスキーな衣装が存在するのでしょうか!皆様、あのハレンチな格好を平然とされていらっしゃるのですか?」
「なんか私たちが変態扱いされてる!?」
もはや嫁さんの方がショックを受けていた。
そもそもフェーリスに人間らしい羞恥心を期待する方が無駄だったようだ。この後、テンションが収まったフェーリスを皆で必死に説得し、制服でアカデミーに行くことだけは諦めさせた。
さて、てんやわんやの登校準備となったが、この朝は、もう一つ、真面目で重大な報告も受けることになった。僕のそばに忠犬のような狼がやって来たのだ。
「バウアウ、グルルルガウ(レンさん、すみません。一つ問題が)」
「ん?どうしたルプス?」
彼がこのように相談を持ち掛けてくるのは非常に珍しい。胸騒ぎがしながら尋ねると、予想外の回答が返ってきた。
「ガウグルゴウオン、ガグルルガウゴ、バウオオン(あの街で過ごしてるうちにオレの鼻が鈍くなってきました。【餓狼追尾】がうまく機能しません)」
「えっ!?」
これには仰天した。
まさかレーダー機能を阻害している磁場のようなモノが、ルプスにまで影響を及ぼしているのだろうか。フェーリスの【猫猫通信】の効き目が弱くなっているのだから、もっと他のことにも留意すべきだったかもしれない。
僕は念のためにルプスを診察してみた。
「うーーん……宝珠システムで診断しても異常は見つからない。鼻の疾患ではなく、魔法的な力で阻害されているんだろう。ルプス、すまなかった。こんな弊害があるとは思わなかったんだ。しばらくアカデミーから離れて療養してくれ」
ルプスの健康を憂慮し、休養を勧めたのだが、彼は首を横に振った。
「ガウア、ゴグルルガウオン、アウオウオン(大丈夫です。体は元気ですから。オレは皆さんから離れたくありません)」
「そうか……」
このように言われれば、拒絶する気にもなれず、僕は彼を護衛として連れて行くことにした。嫁さんも彼の身体を心配し、優しく告げる。
「ルプス、体調が悪くなったら、すぐに言ってね」
「バウア!(ありがとうございます!)」
ともあれ、これでルプスのニオイ追跡による人捜しにも頼れなくなった。彼の魔法能力ならば、ニオイの持ち主の過去24時間を追跡することができるが、アカデミーでそれを期待することはもうできない。
それにしても、改めてアカデミーの危険性を再認識することになった。
これまで経験してきた、どの地域よりも、あの街は危険だ。初めは、のどかな雰囲気に永住したい気持ちにもなったものだが、レーダーも効かず、気配感知も阻害され、その他の探知系の魔法能力も弱体化させられている。
仮に今、アカデミー内に魔族や魔王が何人も潜伏していようとも、嫁さんでさえ捉えることができない。危機を事前に察知できないという点で、これほど不安になる場所は他には無かった。
「これからは、なるべく固まって行動しよう。アカデミーでは、何があっても不思議ではない。単独で動くのは危険だ」
僕は全員の気を引き締めるため、以前と同じ指令を再度、皆に打ち出した。
そうして、アカデミーに転移し、この日はフェーリスを連れた登校となった。
普段、人間のフリをする時と同様、彼女は帽子で猫耳を覆い、大きめの手袋と長靴で猫の手足を隠している。
この状態でも、すっかり慣れているようで、器用にペンを持つことはできた。
新しい仲間を連れて登校した僕たち一行を、学友たちは興味深そうに尋ねてくる。
クリクリした瞳のフェーリスは、黙っていれば、ただの美少女である。そう。黙ってさえいれば。
僕はフェーリスに極力しゃべらないよう命令し、約束した。その上で彼女を堂々と人間として紹介した。誰も疑いもしなかった。
だがしかし、そもそもの前提として、彼女は黙って素直に90分の講義を受け続けられるような性分ではなかった。授業が始まってしばらくすると、もう彼女は寝ていた。
講義が終了し、僕たちが起こすと、彼女は大きなあくびをした。
「ふわぁーーあ……眠かったニャン」
「むしろ、ほぼ寝てただろうが……」
「ウチ、今日は一つ勉強になったニャン。ウチは勉強が嫌いニャン」
「だから言わんこっちゃない」
「なんとなく察しはついてたよね……」
僕も嫁さんも呆れるばかりである。
まぁ、これでアカデミーに飽きてくれれば、僕たちも明日から安心というものだが。
この後、昼食を取る予定であるが、僕と嫁さんにとっては、その前に一つ確かめたいことがあった。
それは、プリムラがエニシダの研究室に向かうのではないか、ということだ。
彼女は、いつものとおり、この日も彼の講義を最前列で受けていた。だが、これまでと少し様子が異なる点がある。
ほぼ毎日一緒にいたシスルが、席を離れて座っていたのだ。
講義後に学友たちに囲まれる、普段どおりの状態に辟易しつつも、僕たちは彼女の動きを注視し続けた。
しかし、今日の彼女はエニシダを追いかけることはせず、一人で講義室の後ろの扉から出て行った。
どうしても彼女のことが気になる僕は、宝珠システムの通信で、フクロウ魔族に連絡を取った。
「ストリクス、すまない。今日は僕たちの護衛ではなく、プリムラの動きを監視してくれ」
『かしこまりました』
彼はそれを忠実に実行に移した。何かあればすぐに報せてくれるだろう。
そうして僕たちは、牡丹とカエノフィディアに合流し、いつもどおりバジルたち貴族学生とランチタイムを楽しんだ。
腹を満たした後、午後の授業を受けることになるのだが、ここでフェーリスがいないことに僕は気づいた。
「あれ?フェーリスはどこ行った?」
「なんか、イケメンの猫ちゃんを見つけたって追いかけて行っちゃったよ」
「単独で行動するなって言ったばかりなのに……ホントに自由だな……あいつは……」
嫁さんからの報告を聞いて、僕は開いた口が塞がらなかった。よもや、たった1回の授業で音を上げるとは。飽きっぽいにも程があるというものだ。
午後の授業が終わり、帰る段になって、ストリクスから連絡が来た。
『ご尊父、かの少女が、例の研究室のある建物に向かいました』
「了解だ!ありがとう、ストリクス!」
取り急ぎ、僕と嫁さんだけで急いでエニシダの自宅兼研究室に走った。
追い風の魔法で加速した僕と普通に走る嫁さんは、ちょうどプリムラがその建物に入ろうとするのを目撃した。すかさず嫁さんは高速移動し、彼女を呼び止める。
「プリムラちゃん!!!」
「……え、ユリカさん」
門に入ろうとする手前で、風のように現れた嫁さんが制止したため、プリムラは目を丸くして立ち止まった。そこに遅れて僕も到着する。
「レンさんも……」
息を切らしながらであるが、僕は彼女に尋ねた。
「最近、ここに通ってるそうじゃないか。大神官エニシダと懇意なのか?」
「……だったら何ですか?」
驚いたことに、以前に会った時とは打って変わり、プリムラは開き直ったような顔で僕を睨むように尋ね返してきた。これに僕はギョッとし、思わず遠慮がちに答えた。
「いや、その……よくない噂を聞くから心配というか……」
「もしかして無理してるってことはない?」
言葉を詰まらせた僕の代わりに嫁さんが優しい声で尋ねた。しかし、プリムラは嫁さんにまで厳しい視線を向ける。そして、突っぱねるように返答した。
「……あなた方には関係ありません」
それだけ言って、建物に入ろうとする。
僕は思わず彼女の手を取った。
「ま、待って!頼みがあるんだ!僕もエニシダ教授と話がしたい。取り持ってもらえないだろうか」
「あたいは……あたいのことだけで、精一杯なんです!他人のことなんて、構っていられません!」
彼女は力強く僕の手を振りほどき、建物に入って行った。予想外に腕力のある女の子だった。
「どうしちゃったんだろ……プリムラちゃん……」
「なんか、前と印象が違うな……」
嫁さんも僕も途方に暮れた。
ここまで嫌悪感を露わにされるとは思ってもみなかったのだ。
夫婦揃って、しばらく建物の門前で佇んだ。
すると、嫁さんが他の人物の気配を感じ取った。
「蓮くん、あれ」
「……ん?」
この街では、嫁さんは半径10メートル圏内まで相手が近づかないと気配に気づくことができない。すぐ近くに来ていたのは、シスルであった。
「あ…………」
向こうもこちらの顔を見て、気まずそうに立ち止まった。
このタイミングで現れたということは、彼もプリムラを心配して追ってきたのかもしれない。そう考えた僕は、早速、彼女のことを尋ねた。
「なぁ、シスル。プリムラはどうしたんだ?様子が変なんだが」
「知りませんよ!あんなヤツ!おれに話しかけないでくれますか!」
なんと間髪入れずに怒鳴られてしまった。
かなりイライラしているようだ。
そして、そのまま彼はさっさと通り過ぎて行った。
途中でプリムラが入って行った建物を何度か振り返りつつ。
シスルの態度に嫁さんは愕然としている。
「なに、あの他人行儀……」
「あの感じだと、シスルはプリムラと喧嘩してるのか?この数日で何があったんだ……?」
僕も何が何だかわからない。どうして僕たちは、あそこまで嫌われてしまったのだろうか。二人の間に何があったというのだろうか。
嫁さんと二人して途方に暮れていると、フェーリスが元気良く、近くにあった木の上から飛び降りてきた。
「レーーン!ユリカ!捜したニャン!たくさん遊んだから帰るニャン!」
自分たちのテンションと彼女のそれとのギャップに僕は苦笑せざるを得ない。
「いや、本当にお前、何しに来たんだよ……」
「ウチはここに遊びに来たニャン!なんか思いがけず、イケメン猫ちゃんと知り合えて、仲良くなったニャン♪ここはいいとこニャン♪」
「ははは……そうですか……よかったね」
「でも、さっきの二人は暗い顔してたニャンねぇーー。こんな楽しい所で、もったいないニャン」
「人間にはね……いろいろあるんだよ。本当に……いろいろと……」
能天気すぎる猫耳魔族に説明しながら、僕はなぜか悲しくなってきた。
「百合ちゃん、今日のところは諦めるしかないね……明日の試験の準備もあるし……」
脱力感に苛まれて僕は嫁さんに告げた。すると、彼女は途端に悲鳴のような声を上げた。
「あぁーー!!!そうだ!論文の練習!もっとやらないと!蓮くん、おねがいね!」
「はいはい。まったく……世話に焼ける嫁さんだ」
僕と嫁さんはフェーリスを連れて皆と合流し、帰途についた。その後は、我が家で翌日の試験対策に勤しんだ。
さて、僕たちが去った後、大神官エニシダの自宅には、日が暮れても夜遅くまでプリムラが残っていた。
「教授、これでよろしいでしょうか?」
彼の研究室において、出された課題を1枚のレポートにまとめ、提出したのだ。それをさっと一読したエニシダは、満足そうに笑みを浮かべた。
「ほう……呑み込みが早いな。これほどの才能。貴族家の男子でも滅多にお目にかかれるものではない」
「あ、ありがとうございます」
ランプで照らされただけの薄暗い室内で、プリムラは嬉しそうに照れ笑いした。すると、エニシダは立ち上がり、彼女の背後に回ってその両肩に手を掛けた。
「いい子だ。プリムラ。君は本当に優秀だ。まさか、これほどの逸材に巡り会えるとは。農民にしておくのは、もったいない」
「………………」
プリムラは幾分、緊張している。この研究室に通えるようになってから数日。教授に気に入られれば気に入られる程、スキンシップが多くなってきた。エニシダは彼女を褒める時、必ず身体のどこかを触ってくるのだ。
彼はプリムラのうなじを見つめながら、目を細め、ニヤリと口元を歪ませた。
「この私に従っておれば、何も心配することはないぞ。私の研究を手伝えば、必ずや学術的な成果を出すことができる。そなたの才覚であれば、やがて貴族ですら、頭が上がらなくなるだろう」
「そ、それほど……なのですか?」
「ああ。安心するがよい。この私が保証しよう」
「先生には、か、感謝しかありません……」
「……だが、それもこれも、私という後ろ盾があってのものだ。わかるな?プリムラよ」
そうして、下卑た笑みを浮かべながら、彼女の小さく柔らかいお尻にエニシダは手を伸ばした。触れられた瞬間、反射的にビクッとしたプリムラであるが、身を震わせ、顔を強張らせつつも、必死に我慢した。
「はい……先生……」
その言葉を了承と受け取ったエニシダは、プリムラの首から胸にかけて腕を回すように抱擁した。
次の瞬間、室内の明かりが消えた――
――そして、この翌日。
太陰暦で数えられた、この世界の11月15日。
大神官エニシダの”精霊科学”の講義の最終日であり、試験日であり、それと同時に、夜は満月となる日でもある。
この日、僕は再び思い知ることになる。これまで必ずと言ってよいほど、いつも重大なトラブルが起こってきた、15日のジンクスを。




