転校生。
「はいみんな注目ー」
みどりせんせの声にみんな一斉に教壇の方に顔を向ける。
ジリジリジリ
と、同時くらいにホームルーム開始のベルが鳴った。
それまでざわざわとしていた教室が静かになる。
「今日は転校生を紹介します」
せんせの手が教室の入り口に向けられる。
ガラガラと扉が開くと、そこからすっごく綺麗な男の子が入ってきた。
途端に教室は大騒ぎ。
「一ノ瀬令です。よろしくお願いします」
黒板に名前を書きその転校生は笑顔を振りまいた。
「しいずーかーに!」
ああ、みどりせんせも困ってるだろうな。こんなにみんなが騒ぐのも久しぶり、だ。
セントイプシロン女学園の生徒受け入れは空いてる校舎に収まり、交流らしい交流はなかった。
下駄箱も完全に別に分けられ、導線も見事に分けられた。
まるで接触を拒むように。
だから転校生がこんな美形でみんなはほんと盛り上がった。
話題、に、飢えていたのだ。
「ねえねえありあちゃん。なんかすっごく可愛い子だね」
「うん。すごいね。男の子に見えないよね」
「ねー。あ、あたしちょっと話しかけてくる」
あ、まりあちゃん。
自己紹介が終わり授業が始まって、最初の休憩時間。
令くんの周りは人だかりになっていた。
大丈夫かな。
そんなふうにも思うけど、彼ははにかみながらもちゃんと受け答えしてて、周りの好意をしっかり受け止めていた。
うん。大丈夫そうだ。
あたしだったらだめ、かな。あんなに上手く出来ないや。きっと。
そう令君を眺めていた時、なんか目があった気がした。
あたしを見る彼の目が、ちょっと他の子と、違ってた。




