解体部屋とゴミ捨て場
伯爵お楽しみの〈解体部屋〉の隣の部屋には、男達が十数人屯していた。
広いながらも殺風景な部屋。
特別に施された酒や、普段はありつけないような豪華な食事に舌鼓を打っていた。
そこへ一人の無表情でとりわけて特徴の無い顔のメイドが、ワゴンに載せて食事を運んでくる
「ウサギ狩りの猟犬の皆様は、これで全てお揃いですか?もしここにいない方がいらっしゃるようでしたら、直ぐに集めてください。
後で旦那様が全員揃ったところで特別報酬を与えて下さるそうです」
「「「ウォー!」」」
「やったぜぃ!」
男達は歓声をあげる。
男が1人メイドの腕を掴み
「おい。お前も俺達に混ざらねぇか?
遊んでやるよ。
この薬をアソコに塗りゃ、お前さんもヒーヒーいいながら天国へ行けるぜ」
胸元から軟膏を出し見せびらかす。
これは媚薬らしい
「おい。ヤメロ。
この屋敷の者達は全てご領主様の所有物だ。
飽きたウサギを下さることはあっても、所有物を下さることはない。
お前は新人だから分からないだろうが所有物に手を出した者達は皆例外なく、切りギザまれて豚のエサになっている。死にたくなかったら手を離せ。
でねぇと俺達がお前の喉をかっ切り、天国に送んなきゃならねぇ!」
男は慌てて手を離す。
リーダー格の男は。
「済まなかったなお嬢さん。
良く良く言い聞かせて置くから、この事はご領主様には内密にしてくれ」
「分かりました。ですが早急に全員を集めて下さい。
でないと特別報酬はチャラになるそうです」
メイドの言葉にリーダーは頷き
「全員揃っている」
「良い心掛けです。ではわたくし失礼致します」
そう言ってメイドは部屋を退出した。
カランカラン
暫くして部屋の天井近くの小さな鐘が鳴った。
隣の〈解体部屋〉と繋がった鐘が鳴るということは、ご領主様から呼び出されたということだ。
リーダー格の男は直ぐに隣の解体部屋へと向かう。
男は元のリーダーのダッタ兵士長が死んだらしくて、急遽リーダーにさせられた。
能力は低いが、長年勤めた実績から選ばれた。
正直とばっちりの感が否めない。下手に失敗をすれば、その責任を負わされる恐れがある。
今回もたまたま上玉の街娘を拐う事が出来たが、目撃されればご領主様であるクリオ伯爵に目を付けられる。
そして呼び出しを受ければこうして、会いに行かねばならない。おちおち酔っぱらってもいられず、酒を我慢して料理だけ手を付けていた。
〈解体部屋〉の前で身だしなみを整え
「旦那様。グリゾウでございます」
「遅い!さっさと入れ!」
自棄に機嫌が悪い声が聞こえる。
グリゾウは恐る恐るドアを空けた。
伯爵は肉でだぶついた裸のまま椅子にどっかりと腰を据えていた。
顔には赤い線が幾筋も走り、股を隠す布切れには血が滲んでいる
「あの女がやりやがった。
顔を引っ掻いて、そのうえにワシの大事な物までかじりやがった。
噛み切るつもりは無かったようだが、酷い有り様だ。
躾はしたが興が失せた」
チラッ
キングベッドを睨む。
そこには裸の女が踞っていた。
ここからは臀部と背中しか見えないがアチコチに惨いミミズ腫れが出来ている。
投げ捨てられた鞭を見るに、しこたま打たれたようだ。
ピクリとも動かないが、僅かに背中が上下している。
生きてはいるのだろう
「失神している。
乙女も奪い一通り陵辱したが、飽きた。
気が強すぎてどうにも面白くない。
犯ってる間もずっと喚いて居やがった。
最後にワシのを咥えさせたが、歯を立てて暴れやがった。見ろ血が止まらない」
先程の股の血は、女が付けたのだろう
「ワシを傷つけだのだ。この女には地獄を見せてやらねばなるまい」
クリオ伯爵は目を細めて言い放った
「良いかお前!仲間全員でこの女を〈ゴミ捨て場〉へ連れて行け。
そして犯して犯して犯してやるのだ!
穴という穴を全部塞いでやれ。
泣いても喚いても懇願しても一切の躊躇はするな!
女に生まれて来た事を後悔させるのだ!
それから……」
男は壁際に並べてある拷問道具に目を向けた
「これを全て持っていけ。
お前達。この女を犯したままで爪の一枚づつ剥いでやれ。
それから指を一本づつ切り落とし、それが終わったら手足を切り落とせ!
直ぐに殺すなよ。生かしながら切り刻め!
目を抉り舌を切り、髪の毛も引きちぎり、顔の皮も剥いでやれ。
その命が消えるまで絶望のまま拷問するのだ!」
グリゾウは戦慄した
─何もそこまで……
声が出掛かるが押し止めた。
まあ。今までも飽いたウサギの食い残しは好きにしていいと言われてきた。
そして〈ゴミ捨て場〉で散々ウサギを食い散らかし、残骸を捨ててきた。
ここまで執拗な拷問は初めてだが、生きながら死ぬまでウサギを切りギザんだのも一度や二度ではない。
別に俺がヤル必要は無いのだ。
俺はまた五体満足なウサギを弄び、その後は肉を切り分けるのが好きな連中に任せればいい。
─なあに。いつものことさ
犯して刻んで殺す。
何時と変わらない。
ただ実行するまで……
「分かりやした旦那様。
直ぐに〈ゴミ捨て場〉に連れて行きやす」
グリゾウは裸の女を肩に担ぐ
─いい女なのに勿体ねえ
女に向ける感情には憐憫の欠片も無かった。
ただ、この上玉の女が朝までにこの世から消え失せるのが残念なだけだった。
娼館にでも押し込めれば稼げると思うが、そこからご領主様の悪癖が漏れるのは不味い。
やはり言われた通り殺すしかない。
俺としてはこのウサギが原型を留めているうちに、楽しむだけだ
「お前!良いか!
ちゃんと目を覚ましてから実行するのだぞ。
お前らが今までウサギ達にしてきた事、全てコイツにしてやるんだ。
それからな……コイツはもう頭がイカれている。
最後の方は言っている事が支離滅裂だった。
だから喚いてほざいたら笑ってやれ。
良し行け!
帰ったらどんな風に死んだのか、ちゃんと報告するのだぞ。事細かに聞いてやる。
楽しみに待っているからな」
伯爵は残酷な笑みを浮かべて、グリゾウを送り出した
「ホント楽しみだ……」
男が出て行ったドアを見つめ、伯爵はその分厚い唇を舐めた。




