裸エプロン
結局わたしイチはグレイさんに抱きついたまま、朝を迎えた。
グレイさん。わたしの肉体に興味なんてなかった。
なにもされなかったし、なにもなかった。
わたしはただの肌掛けだった。
ちょっと期待してドキドキしていた自分がバカみたいだ。
─まっいいけどね
『乙女は好きな人に捧げるわ!』……なんて思っても、あの堅物大牛様も似たような者だし……
─匂い袋で抱き枕から早く脱却しなきゃ!
その後肌掛けは
「どけ」
問答無用で剥がされた。
わたしはベット脇でどうしていいかわからずにきょどきょどしていた。
そしてシロエとクロエが、グレイの着替えをしだした。
ふたり息を揃えて、流れるようにグレイを脱がせ、それから服を着せていく。
いやね。ちょっと視界の端に飛び込んだ……グレイさんのフニャフニャ結構大きいのに驚いちゃった
「お前らも着替えろ」
そしてシロエとクロエはマッパになり
『お前らってわたしも入っているのかな?』
なんてボーッと考えていると、シロエとクロエに脱がされマッパにされた。
そんな一糸纏わぬ輝かんばかりの傷1つないわたしの全裸を、グレイさんはジロジロ見てる。
グレイさんの黒と白のオッドアイの瞳が、わたしの足の爪先から流れるように足……太もも……オケケの無い股
─えっとリリス様もルルワ様もいいお歳頃なのに、オマタにオケケ無いのよ─
お腹……ほんわかペタパイ……鎖骨……首……と移動してわたしと視線が交差する
『そんな目で見て……わたしの魅力に気付いちゃったかな?』
なんて顔を赤らめていると
「イチ。リリスから聞いていた。お前身体ひどかったのだろう?良くなってよかったな!
綺麗だぞ!こんどは堂々と恋が出来るな」
そしてわたしの頭をワシャワシャ撫でた。
わたしは小さく
「ありがとう」
と言った。
「イチ。お前その角似合ってるな。
可愛いぞ」
「いちだけ。ずるい。わたしも。ほめて」
「ワタシニモ。かわいい。イッテ」
「あー。かわいい。かわいい。言ったぞ」
グレイさんは直ぐに下の食堂に降りていった。
メンドクサソウな言い方なのに、ふたりは頬をポッと染めてすごく可愛くなった。
シロエとクロエも着替えて直ぐに後を追った。
残されたわたしは。目を瞑り。パチンと指を鳴らした。
あの格好いいホットパンツスーツ姿になった。
これはリリス様に授けられた。
服を着た状態で想像してもう一度パチンをすれば、裸になれる。
今わたしはホットパンツと網タイツの隙間の肌をみている。
ガーターベルトのあるところ。決闘の時はここは赤黒かった。
今は白い肌が眩しい。
リリス様との特別授業の時ね聞いた話し。
グレイさんがわたしの身体のこと聞いて、決闘後に治すようにってリリス様とルルワ様に命令していてくれたみたい。
初めからわたしを殺すつもりなんて無かったんだ。
それをおくびにも出さずにリリス様はわたしを煽った。
たぶん悲壮感持たないとわたしは強くなれなかった。
そして強さを知り自らの弱さも知った。
わたしは結局踊らされていたみたいだ。
後、リリス様にダーレルの街の一連の出来事の事は固く口止めされている。
グレイさんは全然関与してないみたい。
リリス様の独走かな~。
でも言っていた
『もしボクがグレイのモノじゃなかったら、ダーレルの人々は一人残らず消えていたよ。君も含めてね。
ボクは極力殺しをしないようにって言われているからね。これで済んだけど……でもそのお陰で君にもリーダにも逢えた事だし、そこは素直に良かったとおもうよ』
デモスの恐ろしさをわたしは知っている。
そして彼を心酔させるリリスの恐ろしさも……。
この人間くさい女神リリスが人間とはかけ離れた思考を持っているのも知っている。
グレイさんに合わせて人間のように振る舞っているのだろう。
ホントにあれくらいで済んだ。
そう思うしかない。
グレイさんにもっと大きな声でお礼言っとけば良かったな~っておもったよ。
いろんな意味でね。
下からわたしを呼ぶ声がする。
「はーい!今いきまーす」
わたしは階段を駆け降りる。
わたしもお手伝いしないとね。
で、食堂に通じるドアを開ける。
─えっと……これはどういう……。
「おはよう!イチちゃん」
シェリルの爽やかな笑顔。
そしてクルッて後ろをむくと
「こっちですよ♪」
なんてわたしを席に連れて行ってくれる……のはいいんだけど……。
ついついシェリルちゃんの健康的で肉付きのいいおしりを見てしまう
─モロ出しですよね……
「あの……シェリルちゃん。つかぬことをお聞きしますが、なぜおしり丸見えなのですか?」
「あっこれね。なんでも男を落とす必殺悩殺〈裸エプロン〉っていうらしいですよ!
どうですか?悩殺されちゃいました?」
わたし女だし……なんか恥じらいもなくくるくる回っているのを見ると、なんか
『はあ。お好きになさって下さい』としか言えなくなる。心の声がね。
本人には
「お似合いですよ。シェリルさん」
一応持ち上げとく
肝心のグレイは興味無し。
意味もなくシェリルが前を行ったり来たり回ったり屈んだりしているのに、ほんの一瞬たりとも見ていない。
─デモス級だねこれわ
「ひどいですグレイさん!」
そしてシェリルとうとう切れた。
修羅場か?




