わたし抱かれています
わたし抱かれています
デモスに抱かれています
人間モードのデモスに……
憶えていますか?
冗談だと思ったあの言葉
もし生きて帰って来れたら……抱いてやるって
嬉しい
ん
だけど
ちょっと違う
わたしてっきり
パパとママがしてたような裸で抱き合って
女にしてくれるのだと思っていた
わたし裸じゃない
あの頭の両脇にぐるんぐるんの角を生やした
なんかさちょっと格好良い
ホットパンツガーターベルト姿
胡座をかいたデモスの足の中に
すっぽりと収まっている
ぎゅっとされて
頭撫で撫でされて
くんかくんかされている
くんかくんか?って
なんか首筋辺り匂いを嗅がれている
そして小さく耳元で囁かれている
「ああ……リリス様」
─ええ。そうですとも!
その辺り。
特に耳の後ろの匂いが凄いんですって!
リリス様の匂いが!
わたしは匂い袋みたいですよ!
─匂い袋で抱き枕!
なんかねリリスの三滴の血がね
順調に増えているようで
ずいぶんといい匂いになってきたそうですよ
─くんかくんかくんかくんか
うるさい
「ああぁあ……リリスさまぁあ」
愛する男が
わたしの耳元で
別の女の名を叫ぶ
ゴミからランクアップはしたよね
抱き枕だもんね
でも安心する
こうして抱かれていると
すごく安心する
そろそろ切り出そう
「あの……デモス様……」
「なんだ」
後ろの方でギロリと睨まれた気配がする
メンドクサソウ
「わたしを……デモス様の眷属にしていただけませんか?」
「嫌だ。なぜゴミ……ではないな。リリス様の血を貰ったのだからな。良かろう。
だが……食うぞ」
─なぜ食われる?
まあ。それでもいいか?
「いいですよ。食べても。
あなたの物になれるのならば……」
わたしはどんな運命でも受け入れよう
あの決闘の日
わたしは勝った
でもみんな知ってる
ホントの勝者はクロエだって
あのあと
しばらくクロエと抱き合って
涙流しあって
感動の再会とやらをした
クロエは何も悪く無いんだよね
ただ作られて眠っていただけ
しばらく黒き教団の連中にちやほやされて
なんか満月の夜に儀式やって
力が目覚めて大人になって
みんなと交わって
女王様になって
命名される
そんな流れだったらしい
リリス言ってた
「ばっかだねー!儀式で大人になれるわけないじゃん」
って
魔力の総量が増えるだけらしい
なんか伝言ゲームみたいにさ
秘伝の口伝のどっかで
男の願望が入ったみたい
今はね
一旦みんなと別れて
3日後合流するって流れみたい
それから一週間一緒にいて
その頃兵士達が大挙してこの村にやってくるらしい
今日から十日後になるかな?
そしてクロエ達が泊まっている
宿と食堂の女将さん親子を連れ去るみたい
─バカだよね
女ふたりに兵士大勢
村を囲んで「滅ぼすぞ」って脅すみたい
ホントはねもっと早く来るはずだったんだ
わたし達【死の円舞団】がね
でもダーレルの街が魔物に襲われて
あんな風になって
復興に兵士達が駆り出されて
こんなにも時期がずれたみたい
グレイたちね
あの黒と白のオッドアイの男
私たちにも手伝ってほしいみたい
なんでリリス様
あんな小汚ないグレイって男の言うこと
ホイホイって聞くんだろう?
なんか弱味でも握られてんのかな?
ゴスロリメイド服もクロエとシロエと
お揃いだし
でね
ホントはリリス様の眷属にしてって
おねだりしたんだ
そしたら
「うーん。あまりオススメしないなあー。あっ。ボクは構わないけどね。基本的に眷属ってさ。眷属同士で交わってもあんまし強くならないんだよね。
眷属はさ。主人に可愛がって貰えると強さがアップする。というかランクが上がるのね。
ほらリーダさ。人間止めた後毎日可愛がってあげてたらさ、飛んでっときデモスの上でランクアップしたのさ。しっぽが尖っただろう?」
通常のレベルアップとは比べられないほどの力がつく。能力も底上げされて、新しいスキルなんかも得ることが多いという
「でさ。君。イチ君。
デモスの女になりたいんだろ?
そしてずっと隣に立っていたいんだろ?
パートナーして!
なら尚更デモスの眷属になった方がいいと思うよ。
でもさ。
ボクさ。デモスの親分だからさ。デモスの眷属になったらボクの命令にも逆らえなくなるよ。
それに……リーダみたいに人間でなくなるよ。
それでもいいのかい?」
もとよりそのつもり
こんな赤黒いキモチワルイ体だもの
【死の円舞団】のみんなも死んだ
そして自分も死ぬつもりだった
こうして生き残った
なら
もう死んだ身として
新たに生まれ変わりたい
せめてデモスの女になれなくても
女として見られたい
と言う訳でデモスに眷属願いだしたのさ
眷属になるのは
グレイ達と共闘して兵士を撃退してから……。
でも何時になるか分からない。
少し熟成させるとか何とか言っていた。
それまでの束の間
─人間満喫しよっと!
ああ。それから
クロエとの戦い後。リリス様とお話していた時。
草原でさ。
ヒヒのような人型の魔物……猿型かな?
二メートルもあるような、牙が尖った化物。そんなやつが襲ってきたの
「見てなよ」
リリス様はそう言って魔物のすぐ近くに歩みを進めた。
そして襲い来る魔物の攻撃をヒョイと避けて
その魔物のこめかみに指をぶっ刺し
「ボン」
といった。
瞬間。
魔物の頭が爆ぜて四散した
─本気のクロエはこれをする─
あの決闘で
わたしは何百回も殺されていたみたい
みじめだね
でも生き残って良かったよ!




