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なぜメイト服なのですか?


わたしは最愛の人を潰した足元から目線を上げていった。


それは黒々とした巨大な獣であった。足は短く胴は太く厚い。はち切れんばかりの筋肉を感じさせる、全身と胸板。ドラゴンのような翼そして人のような牡牛のような不思議な顔。赤い燃えるような瞳。頭には大きな牛の角が生えていた。


「……グレーターデーモン……」


誰かが呟いた。


グレーターデーモン。それは伝説である。

上級ダンジョン最下層の大ボス。超一流の冒険者だけがその姿を垣間見る事が出来る。そしてこの数十年倒したという報は受けていない。相対した冒険者達は、記念に手合わせしてその圧倒的な破壊力を身に浴び、全滅する前にそうそうに退散する。そんなレア中のレアな化け物なのだ。

そのここにる全ての面々には拝めるはずもない伝説がここにいた。


誰もが声を出すのも忘れて固まっていた。

皆。魂の奥底からわかっていた。

もしこの伝説の魔王がその気になれば、ここにいる誰もが無事に済まないと……。


そしてもう一つ、皆がどうしようもなくわけのわからない存在がそこにいた。


伝説の魔王グレーターデーモンの頭の上。



そこに少女が立っていた。



なぜか場違いなゴスロリメイド服を着ている少女は惜しげもなく、スラリとした美しい足を晒していた。

下着が丸見えだ。


「よっと!」


少女は15mはあろうかという頭上から飛び降りた。

いや……舞い降りた。

フワリと優雅に着地すると、いきなり上半身を屈ませてグレーターデーモンの足元を覗き込んでいる。

こちらに向けたお尻。

スカートから丸見えのパンツ。


見せパン?


フリル?

フリル?

フリル?

フリル?


なぜにメイド服?


皆の頭は?????状態で

目の前の現実をなぞるより他はなかった


「あちゃー。潰れちゃってるよ。勿体ないなー!

もう少し楽しませてくれると思っていたけどね」


そしてボーっとしている赤い一文字の仮面の女の元へいくと


「ちょっとちょっとちょっと君さぁーちょっと浮かれすぎじゃない?

ボクさーフェルに釘を刺されているからさーあまり人を殺すつもりなかったんだよね。

演出的に最高の場面でさ現れて驚かせようと思ってたのに、なんで避けないのさ!

わざわざ殺気撒き散らして気付き安いように段取りしたのにさー!

君がボク達の存在にいち早く気付いて

『みんな逃げて!何か来る!』

とか叫んでさー君がひらりと避けると思っていたのに……。がっかりだよ!

ちょっと(ぬる)すぎだよ!

そこんとこわかってる君!」


場違いな場面で場違いな事を言う少女。

そしてこちらを向いた。

肌は薄い青紫色。キレイな赤紫の頭髪に深い赤紫の瞳。

唇も同じ。

美少女だ。

そしてクドイが何故かメイド服。

もう一度いう。

何故にメイド服!


「やあ!皆さんお揃いで!

はじめましてボク。

リリスって言います。よろしくです!

えっと、聞いたことないかな~?

君たちの神話にボク出てるんだけど、あまりメジャーじゃないから知る人は知っているって感じかな?

アダムとイブって聞いたことあるでしょ?

あのアダムの初めての奥さんらしいよ!

ホントは二番目だけどね。

はい!ボクを知っている人手を上げて!

リリスだよ!リリス!

誰もいないの?おかしいなぁ~?

じぁさ。知っているのに知らないふりしている人。

……殺すよ」


突如低い恐ろしい声で言った。

三人が恐る恐る手を挙げた


「な~んだ!やっぱり知っているじゃないか!

ホントいちいち脅しかけないと本当の事言わないなんてなってないよ!ホント!

で、まあ、ボクの事知っているみたいだからさ、御褒美に質問ターイム!

何かボクについて知りたいことない?

はい。ボクを知ってるそこの君!」


指差された男はビビりながら答えた


「なぜ。メイド服なのですか?」

「ん?これ?ああ?気になるの?ふ~ん。変わっているね。ボクを目の前にして初めての質問がそれ?

かーーーーー人間ってさ馬鹿だよね。

貴重な質問をこんなのに使っちやったよ!

色々あるでしょ?

『わたしたちをどうするのですか?』

とか

『わたしたちこれからどうなるのですか?』

とか

『わたしたち助かるのですか?』

とか

『わたしたち殺されるのですか?』

とか

そういうこと、普通聞くでしょ?

まあ。いいけどね。答えて上げるよ。

ボクはね裸だったのさ。

でご主人様のフェルがね、目障りだからって

着せてくれたの。

どう?似合うでしょう?

はい。質問した君!感想は?」


「とてもお似合いです」


リリスはニッカと笑った。

キバのような犬歯が覗く。


「ありがとー。嬉しいよ!

でさ、次の質問に移る前にさっきのボクの問に答えてあげるね。もしボクの真似して同じ質問返されたら、頭にきて皆殺しにしちゃうからね!

えっと

『今のところ。どうもしません』

『さぁー。どうなるのでしょうね?』

『さあ。君たち次第だよ』

最後に

『死にたい人は言ってね。いつでも殺してあげる』

はい、二番の質問いってみようか!

えっとそこの君だったよね。

どうぞ?」


聖職者の男は神に祈ってから言った


「神はいますか?」

「います。わたしもあなたもみんな神ですよ。

では最後の質問いってみようか!

君!女の子!ボクより少し年上かな外見だけはね。

あはは!

はい!どうぞ」


17歳くらいのお下げの少女は泣きそうになりながら聞いた


「わたしもリリス様のように美しくなりたいです。

どうしたら……なれます……か?」

「ふーん」


リリスは目を細めた


「君こんな風になりたいんだ?

ほらここらにあまりいないけど、肌の色も違うし、髪の色も違う。魔族ってあまり歓迎されないんでしょう?

それでもなりたいの?

でもなっちゃったらボクの(しもべ)になっちゃうよ。それでもいいらならしてあげる。

どう?もう戻れなくなるし、オススメはしないよ」


少女は頷き決意を固めた


「わたし今日お父さんもお母さんも弟もみんな死にました。家族はもういません。

ここにも人間にも未練がありません。

どうぞ(しもべ)にしてください。

そしてわたしをリリス様の好きにしてください」


あははははははははははははあはっ!


「いいよいいよいいよしてあげる!

じゃあこっちにおいで、脱いで全裸にならなきゃね!服を着てるとさ胸とかお尻とか大きくなっちゃうからさ、痛い思いするでしょう?

それにこんなに大勢の前で肌を晒すなんてなかなか無いからね。人間最後の晴れ姿!

きっちりしっかり見せつけてあげようでは!」


リリスは両手を広げ叫んだ





「あ~りませんか!!あはっ!」











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