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幸せだった……愛してる


サン。


わたしの憧れ。


わたしのパパ。


わたしの命の恩人。


たぶんわたしの初恋の人。


わたしと交わろうとした特別な人は、たぶん初恋じゃない。


サンを見ると体が熱くなる。

特別な人はただ気になっただけ。


サンを見ると胸がドキドキする。

サンがママと裸で秘密の行為をすると胸がモヤモヤする。

サンの声がするとすごく嬉しい。


サン

サン

サン

サン

サン


心の中はそればかり。


ゴは絶対わたしを好き。

わたしがサンを想う時する顔をするから。

わたしもゴは好き。


でもサンを何万倍も好き。


ママも好きだけど、時々ママなんていなければと思う。


サンもわたしを好き。

でも人として娘として好きなだけ。


ママが消えてもきっとママみたいに裸で抱いてくれない。


わたし……傍にいれるだけで幸せ。

サンがわたしの全て。


サンは冒険者。

わたしも冒険者。


サンはソードマスターで両刀使い。

わたしも両手を剣に変えて両刀使い。


戦い方教えてくれた。

戦い方サンの真似してる。


でもサンの戦い方わたしとは違う。


わたしは切るのが好き。

魔獣の首とか手とか胴体とか上手く切れると嬉しい。


サンは刺す。

片手の剣で防御して、空いた剣で刺す。

急所を刺す。

鎧着ている人間はその鎧の隙間から刺す。

とにかく刺して刺して刺しまくる。


わたしも傭兵稼業の時は人間相手だから容赦なく刺す。

兜の隙間から刺すのが好き。


わたしたぶん……ううん絶対殺しが好き。


人間は無抵抗な女や子供は殺すとキモチワルイし、この世界に放たれた初日に殺し捲った以外、あれからひとりも殺していない。

でもわたしに刃を向けてくる人間は男も女も殺す。


イノチノヤリトリメッチャスキ!


相手の突きを首の皮一枚で避けるとゾクッとする。

相手の斬撃をすんでで躱すとゾワッとする。


生きてる!って感じがすごい!

だからもうヤメラレナイ



─ワタシガコロサレルマデコロシヲヤメナイ!






今サンと背中合わせで戦っている。


ジャイアントまでの血路を開いている!


一心同体。

二人で背中合わせてくるくる回りながら、刺して突いて切って殺す!

殺して殺して殺して殺す!


そしてジャイアント周辺の魔物を掃討した。


「よし!本丸だ」


サンの号令で、まず一体めのデカブツを殺ることにした。


わたしとシがちょこまかと体長10mのジャイアントの周りを走り回る。そんなわたしたちを蹴ろうとする。

そのジャイアントの軸足を


ぐおぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!


ゴが背中から大きな盾を両手で高々持ち上げて、力任せに足の甲に盾の鋭利なとこを振り下ろす。


ゴキ!


骨が砕ける音がした!


ガアアアアアアアアアアアアア!!!


ジャイアントが痛み叫ぶ!

そして片膝を付いて拳で盾をぶっ刺しているゴを叩こうとする。


ゴはトロイ動きを最大限早くして、その攻撃を避ける。


巨大な拳が地面に突き刺さる。


「今だ!」


サンの合図に合わせて、わたしとサンはジャイアントのその片腕を切り刻む。


ガアアアアアアアアアアアアア!!!


悲鳴を上げながら残った片腕でわたしを払おうとする。


わたしたちは難なく避ける。

また切り刻む。


ギャアアアアアアアアア!!!


ジャイアントの巨体を駆け上がったシがカットラスでその眼球をぶっ刺したのだ!

同時に二の放った矢が残った眼球に突き刺さる。


顔を覆って叫ぶ!

上を見上げて叫んでいるので胴や首が剥き出しだ。


わたしはジャイアントの盾で砕けた方の足の突き出た片膝に乗った。足をバネのような形状に変化させそこからジャンプすると、がら空きの顎のしたの柔らかい肉に剣に変形した両手をぶっ刺す!

腕の付け根までめり込んだ!

そしてての剣先を巨人の頭部の中で錐状にして長く伸ばす、そして両腕をめちゃくちゃに動かして内部をグチョクチョにする。


わたしと同時にサンは腹部に二本の剣を刺し、真横に切り裂く!

ハラワタがこぼれる。


そしてジャイアントは絶命した!



うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!



周りから歓声が上がる。

わたしたちは誰ひとり欠けること無く、ジャイアントを一体倒したのだ!



わたしたちは歓声に応える訳でもなく、次の巨大な獲物へターゲットを変更した!


そして一体、更にもう一体、全てのジャイアントを殺した!


ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


どよめきと歓声!

粗方雑魚共も片付け、勝利は疑いようもない!


わたしたちは勝ったのだ!


わたしたちはそこで初めて歓声に応えた!



手を振り皆を見回す。


死の円舞団の面々は仮面で顔は見えないが、なぜか皆誇らしげな表情をしているのがわかった。


「死の円舞団!ばんざーい!」


誰かが叫んだ!

釣られて集まった生き残った人々が一斉に合わせた


ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!



二もサンもシもゴもわたしイチも、両手を高々と上げ歓声に応えた。

誰も彼もが勝利に酔いしれていた!




そして




わたしは突き飛ばされた。




わたしは宙を舞いながら突き飛ばしたサンをみた。

仮面を被っているのになぜか目があった気がした



「イチ。お前に出会えて幸せだった。愛してる」



─なに言ってるの?パパ?


瞬間、サンは潰れていた。


ジャイアントよりも巨大な黒い獣のような足の蹄が、パパを原型もなくぺちゃんこに潰していた。


わたしを助け突き出した両手だけが、かろうじて原型をとどめていた。


わたしは尻餅をついたまま、放心してそれを眺めていた。






わたしは人生最高の瞬間に最愛の人を失くした。












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