holiday 第百二十七話 一緒に遊ぼ
餡はすでに彼女の背後にいた。
桃怪の視界が拳で埋めつくされる。そして餡の拳に従うように後ろは跳ねた。
彼女は完全に倒されたのだ。
餡「アンタの事情は知らないがな、」
餡「そんな舐めた理由でここにいるのなら心に刻んでいたほうがいいわ」。
餡「ここには他所の遊びに付き合う者は誰一人としていないと」。
「家族と切磋琢磨するのに精一杯なのよ」。
餡「ということで約束は守ってもらうわよ」。
桃怪「しゃあねぇな。お前との腐れ縁もこれでさよならだ」。
そうして彼女は崖の前に立ち、身を投げ出す。
かに思えた。
彼女は手が糸により張る感覚を覚える。
その正体は手を手で掴むカイだ。
カイ(餡。これでいいんだよね)。
そして桃怪をそのまま引っ張り出す。
桃怪は大の字に倒れる。
下から餡の眼を見つめる。
桃怪「…はぁ。やっぱあの時手加減してたのね」。
「あの時からオラなんてちっぽけな奴とでも思ってたでしょ」。
餡「いいえ。あの時は全力の全力だったわ」。
桃怪「…え?」
餡「死力を尽くして挑んでもあんたには勝てなかった」。
「それでも負けたとも思ってなかった」。
「ただそれだけの話よ」。
餡は言葉を喉を必死に使って振り絞る。
「だからこそ残念に思ったのよ。あんたがそんな小物のような価値観を持っていたことに」。
「純粋なライバルとして競えるとも思っていたのに」。
桃怪「…」
桃怪が起き上がり足を輪にする。
桃怪「なぁ。ホープ・ファミリーに対して本当に酷いことを言った。お前、そしてその組織が美しいことはとうにわかっていたのだ」。
餡は桃怪の視線に合わせて膝をつく。
餡「いいんだ。ただ純粋に互いを超える意志を持つ戦友になってくれれば」。
桃怪は屈託なく笑う。
桃怪「余計なことをしなくてもよかったんだ。これからもよろしくね」。
その声はさっきまでの歪んだものはなく清澄なものだった。




