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弾道強襲

 



 「さて、諸君。諸君らも理解しているようにこれより首都近郊に展開するセト軍主力に対して弾道強襲を敢行する。では操舵長、頼んだよ」


 弾道強襲。弾道の名の通り一度マスドライバー等を利用して大気圏外に飛び上がり、宇宙空間から攻撃地点に対して直接攻撃する……っていう作戦、ラムセスさんの言い方、マスドライバー等を利用してって言い方的にマスドライバー以外に宇宙に行く技術があるのかと思ってしまう。


 「はい。バリアー展開!」


 艦橋に映る地球が大きくなる。だんだんと青が近づいてきて、わずかな揺れと共に赤く染まった。バリアと大気で断熱圧縮になってんだ。

 やがて赤い熱の層は去り、遥かな雲と違和感ある形のアフリカ大陸が見えてくる。


 「主力一万程度か。なるほど、セトは私に魔力を使わせたい訳だ。なら兄らしく真正面から打ち砕いてやるとする」


 アウシルは急降下し続ける船の看板に出ようとする。流石に危ないか、いや甲板に出るくらいなら大丈夫かもしれないけれど、一万の兵士の前に出るなんて……


 「来い、シュン。もしもとは言え、戦場を知らぬままファラオになられては困るからね」


 彼は僕を俵のように抱え、そして甲板から飛び降りた。


 「何やってんです!?」


 口から出た本音。だってそうだろう、地上2000mから飛び降りてんだ。しかもたった二人、パラシュートとか無しで。幸い宇宙空間のせいで内臓が浮く感覚には慣れてしまったけれど、この風圧に晒されている恐怖、これには慣れない。だって本能的に怖いんだ、落下は。


 「戦い方を教えてやろうってんだ。君と、そして愚帝の愚弟にな」


 こんな時にダジャレなんて……下には一万の兵士が居ると言うのに……


 「星、墜つ」


 高く右手を掲げるアウシル。そして現れる太陽。その太陽はだんだんと膨張していき、まさしく星となる。巨大な火の玉、たちまち第二の太陽が空を覆い尽くした。

 こんな規模感の魔法を扱える魔力、しかし真に驚愕するのはアウシルにとってこの巨星ですらジャブでしかないと言う事だった。だってアウシル、笑ってんだ。まだアウシルの魔力を感じないんだ。


 「こんなの……戦いじゃない」


 星はそのまま一万の兵士の居る地上に堕ちる。そして人と地面を焼き尽くす。だから聞こえるんだ、声が。

 死にたくない!

 カペラさんが言っていたように僕の右目は冥府由来のエネルギー、だから冥府に飛び立つ魂の最後の断末魔が聞こえるんだ。


 「着地するぞ」


 着地の寸前、アウシルは僕を上に投げて落下の速度を完全に殺した。しかしアウシルはと言うとそのまま突っ立ったまま着地して砂埃をあげてる。魔法による身体強化もあるかもしれない。でもなんだろうか、生物としての強靭さが人の獣人のそれと違うんだ。格別している。


 「か、かかれ!大将首だぞ!」


 一万のうち、半分が消えたと言ってもまだ五千が残っている。普通の戦いだったら敵軍の半分を消しとばした時点で勝ちだけれど、今は違う。二対五千、数だけ見れば圧倒的に劣勢だ。


 「どうした?来ないのか?君らそれでもメンフィスの男児なのかね」


 誰も動かない。全員、アウシルの圧倒的な力に気圧されてんだ。

 しかしその時、空中に四つの光があった。


 「ファラオより命が下された!諸君らは家に帰って妻を愛せと!我が愚兄は我が力たる四獣剣が討つと!」


 四つの光は地に堕ちて、砂埃を舞わせる。


 「我が名は四獣剣、北方の剣の玄武!」


 亀の甲羅を持つ獣人の大男。相撲のように四股を踏んでる。


 「同じく我が名は西の白虎!」


 虎の耳を持つ女。元気溌剌、カンフーっぽいポーズをしている。


 「南の朱雀!」


 全身に火属性を纏って燃えている。服からしてこれは……柔道か?


 「東の青龍!」


 雲のような衣を纏った、腕に鱗、手には長い爪、爬虫類のような特徴を持った女。腰に弓があることを考えるに弓使いだろうか。


 「居たねそんなの。じゃあ、殺すから」


 アウシルはその四人に向かって真正面から突っ込んで行く。多分、アウシルの側にいた方が安全だ。だから僕も彼について行く。そう思った時、足元に向かって矢が飛んできた。


 「君はこっち。青龍お姉さんが貴方を射殺す」


 青龍は雲の衣を投げ捨てる。するとそこには、機械的なブースターがあった。ブースターから青い炎、すると同時に彼女の身体は浮かび上がる。全身にブースターを纏って飛んでんだ。それで炎の青い機動が宙に残ってんだから、まさしく青龍、青い龍なんだ。


 「宙に浮かんで手出しさせないだなんて……それがお姉さんのやる事なんですか!?」


 太陽の光、反射させる鏃。キラキラ、数多の。

 まるで散弾だ。しかも正確無比な。


 「ガキは嫌いなの!」


 耳に空気を切る音、頬を掠ったんだ。

 どうする!?弾を無くなるまで避け続けるなんて無理だ。なら右目の力で殺すか?いや、あの速さを捉えられる気がしないし、変に撃てば青龍を殺してしまう。レーザーの剣でぶっ飛ばすのも同じ……なら、やってみるか。


 「ホイップを出すイメージ……」


 空飛ぶ船の原理はマヨネーズだ。魔力のバリアで全身を囲って一部分だけ薄くして出口を作る。それでぶっ飛ばしてんだ。マヨネーズの容器を思いっきり潰した時みたいに。だからこうすれば、飛行とまではいかないけれど、ぶっ飛べるはずだ。


 「ぶっ飛べッ!!」


 自分の肉体に潰れるような力が掛かる、そして青龍向かって吹っ飛んだ。

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