目指すはラーメン
竜宮の修練(一):開戦の狼煙と七海の論理
葵の龍理が滝壺で力強く仙界の龍理と調和を終えた直後、社の結界に激しい衝撃が走った。
「やはり来たか」
インが低い唸り声を上げ、ジンが社の入り口を睨みつけた。
「崑崙山の仙人たちだ。七瀬七海が龍理の流れを解析したことで、ここが龍理の法則から外れた『特異点』だと露呈してしまった。仙人たちは、龍理の理から外れた未知の存在に対し、その正体を看破するため、行動を起こした」
ジンは、深刻な表情で二人に告げた。仙界は決して平和な修練の場ではない。
「七海の行動は、ここを彼らの標的とした。だが、彼女は我々が崑崙山に受け入れられる前に、情報を得るという最も合理的な手段を選んだだけだ」
徳彦の具現化体である、冷徹な銀色の瞳を持つ少年が、冷静に七海の行動を評価した。彼の龍理は、常に物事の安定と法則を求めている。
「チクショウ、ノリの言うことはわかるけどさ、俺たちをいきなり火の中に放り込みやがったな、アイツは!」
葵は怒りを露わにした。しかし、彼の応龍の具現化体は、むしろ高揚した様子で微笑んだ。
「それは、マスターにとって最善だ。応龍の龍理は、障害を乗り越えることで昇華する。ここを突破しなければ、博多のラーメンは遠いぞ」
インが社の外へ視線を向けた。夜明けの精陽の光が、異世界の海面を照らしている。
「少数だ。だが、手練れ。おそらく、君たち仙骨持ちがどの程度の力を持つか、試している。竜宮の結界が完全に破られるまで、せいぜい一刻といったところだ」
徳彦は、氷晶の槍を握りしめた。彼の氷龍の龍理は、周囲の空気を瞬時に冷却し、結界の強度を高めていく。
「一刻で、この結界を維持しつつ、相手を無力化する。それが、我々に与えられた最初の課題ということか」
葵は、天魔夜光剣の具現化体と応龍の具現化体を見つめた。二人のそっくりさんも、武器を構えている。
「行くぞ、ノリ。ラーメン食うための、仙界での最初の戦いだ!」
徳彦は無言で頷いた。その冷徹な銀色の瞳には、動揺よりも、目の前の脅威を解析し、最適な防御プロトコルを構築しようとする、揺るぎない理性が宿っていた。




