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六人家族が異世界に  作者: ヨガ
再びの
61/109

55

 死ぬ?


「ま、待って。」井上星は引き攣った笑顔でフロンに尋ねた。


「冗談だよね?」


 だが、フロンの返事は重々しい沈黙だった。


 引き攣った笑顔はこの反応で、驚きと失望の表情に変わった。しかし、井上星は諦めず、もう一度確認してみた。


「そ、それとも、アレか?“存在が消えない”という意味の話、だろう?死ぬけど死なない……そういう、意味、の話だろう?」と井上星は自分でも思えないくらい吃音の感じで言った。


 でもやはり、フロンの返事は沈黙だった。正確に言うと、言葉が出ないが、首を横に振ったのだ。動きの次に出た言葉は、「すみません」である。


「……心が痛みますが、はっきり伝えなければいけません。“意志の存在まで消える”という意味です。」


 フロンにはっきりと宣言されて、井上星は言葉が詰まった。自分の誤解かもしれないという楽観的な考えが簡単に潰されたのだから。


 家族全員が死ぬの?


 もしそうなったら、僕はどうなる?


 一人になっちゃう?そんなの……そんなの……


 不思議と、井上星は姉と夏祭りに行った時にはぐれてしまったことを思い出した。そして、比べてしまう。


 もし家族全員がいなくなったら、きっとあの時より、一人になってしまった時の寂しさより、数十倍より怖いだろうと。


 中学生の自分は、一人になってしまうと、一体どうなるだろう?思わず未来予測をしてしまう井上星の心が簡単に曇っていく。


 沈んでいく。


 もし井上星は自分一人だけだと、この消息を聞いて、心がゴロリと再起不能になるであろう。彼自身もそう思う。


 しかし今、彼の側に一人の家族がいる。家族がいると、不思議と曇る感情が晴れる。


「にぃしゃん……」自分の太ももにくっついた井上若実を見て、井上星はだんだんと奥深くに沈んだ感情は怒りの感情に変わって、湧き上がる。


 今、その怒りの感情が彼のモチベーションとなった。


 ……いや、まだ決まったわけじゃない。それに、若実のためにも、そんなことあってはならない!僕は……いいえ、僕も……一人の兄だ!


 また、井上星はただのお人好しではない。怒る時、怒るものだ。


 井上星は妹の手を握って、フロンに向かった。


「……ふざけるなよ。」井上星の初めての口ぶりに、フロンは少し困惑したが、すぐ自分の気持ちを整った。


 元々自分が責められると予想した。深呼吸をした時、このことが考えていた。そして、フロンの予想通りであった。


「僕たちを勝手に連れてきて、知らない世界に放り込んで……さっきまで命の危険がないから、まだ責めるつもりがなかった。けど、ここまで事情が変わると、話が違う!もし僕の家族が死んだら、お前はどう責任を取るんだ!僕と若実にどうするつもりだ!」


「……申し訳ありません。」


「謝ってで済む話じゃないだろう!」


「星様はどうして切れているのがわかっています……家族に心配する気持ちもわかっています。もし私を責めることで落ち着けるなら、いくらでも聞きます……ですが、今これが必要であることなのかと、星様に考えてほしいです。」もしフロンが悪い態度や適当な感じだったら、井上星は責め続けるだろう。


「クッ……!」


 しかし、フロンが真剣に伝えているから、井上星は責め続けられなかった。井上星は次の行動に移すしかなかった。


 井上星は井上若実の手を繋いで、ステージの方に向かった。


「……このことを、兄ちゃんたちに伝える。いいよな?それとも、これは伝えてはいけないこととか?」


 疑いの目付きに向けられたが、フロンはゆっくりと首を振って否定した。


「いいえ。むしろ、星様が代わりに伝えてくれるなら助かります。」


「……ふん。」と井上星はステージの前に立って、ちょっと前のことを思い出して、フロンに確認してみた。


「ここに立って喋ればいいんだよね?」


「はい。そうです。」


「必要な手続きとかは?」


「ありません。」


 確認した後、井上星は緊張な感じでステージの上に立ってみた。次に井上若実も舞台の上に立って「そりゃのごえ」と言った。井上星は一瞬井上若実は何を言っているのかわからないが、迷いのない様子を見たら、ステージの上に立つと“こう言って”と教え込まれていた様子だとわかった。


 すると、不思議な痺れた感じが全身に伝わった。まるで何かが繋がったという感じだった。


 一瞬不思議な感覚に囚われていた井上星であったが、次の瞬間、聞き覚えのある声が直接自分の脳裏に響いた。


「――なるほど。メリナーさん。よくわかりました。」それは間違いなく自分の兄――井上凜の声だった。


 この舞台にどういう仕組みがあるのかわからないが、また兄の声が聞こえて、井上星はホッとした。井上星はあの世界にいる時、死ぬ直前までのことしか思い出せないため、不安だった。


 フロンに状況を伝えられても、結局次に何が起きるのかわからない。この間、もっとひどいことが起きたかもしれないという不安が潜んでいた。


 だから、井上星は一瞬だけホッとした。


「ちなみに、彼らに教えてもいいでしょうか……うん。ありがとうございます。」


 でも、声は一人だけだった。会話しているように聞こえるが、誰と会話しているのがわからない。


 姉ちゃんと話しているのか?でも、姉ちゃんのキャラクターの名前、たしかそれじゃない気がする――不安を覚えた井上星は更に余計なことを考えて、一瞬兄に話しかけるのを躊躇った。


 代わりに、「おにぃ!」と井上若実が直接に話しかけた。


「うん?若実ちゃん!」井上若実の声を聞くと、井上星は声色でわかる。井上凜が嬉しいであることに。


 そして、井上若実の勢いに乗って、井上星も思わず呼んでいた。


「に、兄ちゃん……」


「……星くんまで!」留まりがあるが、同じの声色。まさかの声に井上凜は一瞬の驚きを喰らったのだ。


「無事だった?星くん。」井上凜はすぐ関心した。


「う、うん。ちょっと怖かったけど……無事だよ。」


「良かった。無事で……星くんは一人になると弱いもんな。」


「……兄ちゃん。それ――」


「「悪ノリ。」」二人の声が重ねた。


「はは!ごめん、ごめん。」重ねたことによって、井上凜は笑っていた。


「……まあ、確かに少し取り乱したけど。」話をするたび、井上星の取り乱した心が整いている。


 少ししょうがないため息まで聞こえていて、井上凜は安心した。井上星も同じだった。


「とにかく、無事で何よりだ。星くんは若実ちゃんと一緒にいるよね?」


「うん。そうだよ。」井上星は井上若実を見たあと、返事した。


「では……フロンさんは?」フロンのことに言及すると、井上凜は少し厳粛な声色になった。


 井上星はフロンのことを一瞥した後、「近くにいる。」と返事した。


「そっか……」


 井上星は兄がどういう考えがあるのかわからないが、フロンがいると話したくない話だろうとそう判断した。また、フロンのことに言及することによって、自分の目的を思い出した。


「そういえば……兄ちゃん。伝えなきゃいけないことがある。」


「伝えなきゃいけないこと?」


「うん。さっきフロンから聞いた話だ……」井上星はまた躊躇っていた。


「フロンからの?なぜだろう……もしかしたら、私たちが予想したことかもしれませんね。」井上凜はこう言って、後半の話は明らかに誰と話している言葉だった。


「どういうこと?」


「いや……あくまで予想だ。とりあえず、伝えなきゃいけないことは何のこと?」


「あの……兄ちゃんたちは――」と井上星は知ったことを全て伝えた。


 全部を聞き終えて、井上凜は「なるほど」と返事した。あまり驚いていないことに、井上星は少々驚いているが、疑問の方が強かった。


「なるほどって……兄ちゃんたちは死ぬかもしれないよ。」少し興奮状態になった井上星だが、井上凜の返事は冷静だった。


「うん……まあ、実はこのこと、さっきまでずっとメリナーさんと話し合っていたんだ。」


「え?どうして……そもそも、そのメリナーさんって一体……」井上星はキャラクターの名前を覚えている。少なくとも、井上桃花のキャラクターの名前はメリナーではない。


「ああ、今モモナーと呼んだ方がいいかな。つまり、メリナーは桃ちゃんのキャラクターだ。」


「あ?ええと……」突然の情報量に、井上星は理解に追いつけなかった。だが、何となくこの問題を聞かなきゃいけないと感じた。


「兄ちゃんは知ってたの?キャラクターのことを。」


「さっき知ったところって感じだ。」


 つまり、そのメリナーに教えられたっていうことかな?


 まだ情報を整理しているところに、井上凜がまた話した。


「とりあえず、内容が知りたいなら、いつ教えてあげてもいいが、今はそれどころではない。」


「う、うん。わかった。」


「……それで、フロンさんは話を聞いている?」とまたフロンのことに訪ねたことに、やはりフロンに聞かれたくないだろうと井上星が思った。


「ううん。舞台の上に立たないと話ができないらしい。」この話をしている時、井上星はもう一度フロンの方へ一瞥した。


 申し訳ない顔である。


「舞台……?」井上凜は疑問だが、「まあ、とにかく、会話ができない状態だね?」と聞いた。


「うん。」


「では、フロンさんを呼んできてもいい?」


「え?でも……」話が聞かれたくないじゃないのか?と井上星は話の途中で止まった。意識されると考えている。


 井上凜は井上星の気持ちを察知したように、ちゃんと言葉に表した。


「話があるんだ。頼む。」


「……わかった。」少し不機嫌な顔になったが、井上星は言われた通りにフロンに伝えた。


「凜様が……わかりました。」とフロンはステージの上に立った。


「フロンさん、いました?」


「はい。」


「……まず、謝らせてください。すみません。フロンさん。」


 この話を聞いて、井上星だけでなく、フロンも驚いた。


 実は、フロンは自分が疑われてしまうだろうと何となくわかっている。特に井上星の態度からして、予想したのだ。


 だから、井上凜の言葉は少し予想外だった。


 だがフロンはすぐさま自分の気持ちを整理できた。なぜなら、井上凜の謝りに見当がついている。


「いいえ、私にも問題があります……初めてGMになったものですから、言ったことを鵜呑みにしました。」


「この言い方……わかっていましたね。だから、星くんのあのことを言い出したんですね。」


「いいえ、正直、まだわかりませんが、後で確認しに行きます。でも、あまり期待しない方がいいでしょう。」


「そうですか……つまり、フロンさんも予想の段階ですね。」


 二人の話にわけがわからず、井上星はこう言った。


「ちょ、ちょっと。君たちは何を言っているの?説明して。」


 兄ちゃんはフロンさんのことを疑っていないの?と井上星が続いて言った。


「メリナーさんと話し合って、このことに思い付くまで、確かにフロンさんのことを疑っていた。正直、今も少し疑っているが……たぶん違うと思う。」


「どういうこと?」話についていけない井上星。


「星くん。フロンさんが言ったキャラクターのこと、そう思う原因は何なのか聞いた?」


「それは――」井上星は自分が取り乱したことに気付いて、まだ理由を尋ねていないことに思い出した。


 なぜキャラクターはキャラクターじゃないことは家族が死ぬことと関係しているのか、そう思った原因がわからなかった。


「そういえば……なかったわ。」そして、思いついても、今の井上星にとって、少々気まずいだと感じて、聞けなかった。


 そんな彼の気持ちにフロンが察知し、自ら言った。


「……星様。あなたたちは遺跡に入る時、一つのことが起きたでしょう。そのこと、まだ覚えていますか?」


「当然覚えているよ。遺跡に入る時、僕は兄ちゃんとちょっと喧嘩をして……」


「違う。星くん。もう少し前のことだ。」


「もう少し前?もう少し前だと、ただ兄ちゃんと一緒にフロンにシナリオのことをしか――あ!あの雑音のこと?」


 “ええと、情報によると、――がいます。どうやら、――に――れて、それで――に――れていたらしい。悪意を減らせる善行に繋がりますが、二人だけだと少々危険かもしれません。――がいますから。”


 あの時、フロンの話に雑音が入っていた。井上凜はあの場で自分の「推測」を言っていたが、よく考えると、このことはおかしいことだった。


 井上星も「推測」によって、あまり考えないようにして、後にした。そもそもあの時、井上星はやっと余裕ができたところだった。だから、自分の兄の推測にあまり疑わず、普通に納得した。


 だが、それは自分たちが勝手に納得したことだった。


 推測によっての決めつけ、無経験によっての判断、また、まともに考えられない心……彼らに誤った判断を誘ったのだ。


「だとしても……それは、何の関係があるのか?」と井上星が質問した。


「では、星くん。もしその雑音は私たちの推測じゃないとしたら、どうなるのか考えてみて――」


 ――一番わかりやすいのは外力によっての阻止、邪魔だ。つまり、その雑音はフロンみたいな援助を断ち切るために使っていた一つの妨害だ。そして、このことで一つのことが簡単にわかる。それはフロンたちと対立した勢力がいたということ。


 たとえそうじゃないだとしても、その目的は私たちみたいな人をこの世界に引きずることに繋がる。だってその雑音、自然に発生したことより、誰かが仕組んだほうがしっくりくる。


「……当然。これも勝手な推測だが、この可能性はどうにも捨てがたい。特にメリナーさんからキャラクターのことを知ったら、更に思っている――もしかして、今まで私たちがあったことは、実は”人為的に仕組まれていた”かもしれない。そして、もしこのことはフロンさんが仕組んだではないなら、残ったのはもう別の誰かさんしかない。」


 ”その誰かさんは、私たちにこの世界に留まってほしいと。”


 ****


 今の彼女には――井上若実には、難しい話がわからない!


 おにぃとにぃに、それと変なおじさんが言っていたことを聞いているが、やはり聞いてもわからない。


 だから途中、彼女はずっと頭がうろうろと周りを見ている。


 そして、井上若実は気になるものを発見した。


 あれは、変な黒い物体だった。


 “こい……わたくしのところに、こい……さあ……”不気味な声に不規則な形状、その外見はグルグルと巻いて、やがて長い線の形に定型し、最終的に生物のようなものとなった。


 黒い物体から出していた声もずっと彼女を誘っているように、不気味な感じで囁いている。


 このささやきを聞いていた井上若実は背筋がゾッとした。強い寒気を感じた。彼女は怖くなって、すぐ井上星の手を強く握った。


 「……に、にぃに!」と言って、彼女は自分の頭をその手に埋もれた。


 でも、視界が暗闇に覆われても、気配が感じる。彼女は本能的にわかる。


 くる……


 黒い物体が自分のことに気付いたから、来る。


「どうした?若実ちゃん。」


「ぐろいへび!」井上若実は井上星の手で目を覆いながら、黒い物体のほうに指した。


 今4歳の井上若実には、黒い物体を形容する単語量が足りない。あくまで自分が知っていた単語で一番近いものに並べていた。


「黒い蛇?どこ?」


「いや、待って!若実様!その“黒い蛇”の特徴を教えてくれないでしょうか!」


 自分の身体が引っ張られていたことに井上若実は更に怖くなって、「ううんんん!」と言ってもっと井上星にくっついた。


 今の井上若実にとって、フロンはただの変なおじさんだ。


「フロンおじさん!やめてください!」


「す、すみません。ですが……!」


「ったく……」井上星が言った後、自分の体に引っ張る力がなくなった。井上星が緩ったのだ。


「……若実ちゃん。」


 優しい声色。でも、やはり井上星のところから離れたくない井上若実。視界も覆われたままだった。なぜなら、彼女は気配で感じられる。


 あの黒い蛇は近くにいる。


 “みろ……このわたくしを……みろ!”ささやきはもはや耳元に発生した。


 そのせいで、「やゃだ!」と井上若実は暴れ始めた。


「落ち着いて!若実ちゃん!何もないよ、何もない!落ち着いて……」


 ずっと不安を感じた井上若実に次の瞬間が感じたのは暖かい抱擁だった。抱きしめられたことに、井上若実直接ギュッと抱き返した。


「……もう大丈夫。大丈夫だよ。黒い蛇なんてどこにもいない。あったとしても、兄さんがやっつけてあげる。」


 優しい声色に、しばらく震えていた身体が徐々に落ち着いていく。


「ほんとう……?」


「うん。本当だ。だからね、若実ちゃん。もう大丈夫だよ。兄さんが側にいるよ。」しばらくの間、二人はずっとこの態勢で続いていた。やがて震えが治まった。


 震えが治まると、井上星の声が近くに響く。井上若実は自分の体が少し引き離されたと感じた。


「まったく……若実ちゃん、本当に怖かったら、にぃにと一緒に歌おうか。歌を歌ったら、怖いものがなくなる。にぃには教えてあげただろう?」


「……うん。」


「では一緒に歌おうか。頭を上げて。ずっと泣いていると、可愛い若実ちゃんがブサイクになっちゃうよ。」


「うん。わが――」優しい声色に導かれ、井上若実は頭を上げた。


 すると、


 “……やっと。みたんだね。”と。


 井上若実目の前の視界がぐにゃりと歪み、見知らぬ存在がそこにいた。


 “きみのにいさんを、ころしてあげるよ!”


 プツンと。


 全てが、暗闇になった。


 ****


「兄さあぁん!」


 はぁ、はぁ……そう激しい息をしている彼女は悪夢によって、ベッドの上に起こされた。


 彼女は周りを見始めると、かなり見慣れた景色だった。あまり変わらない景色に、彼女は胸をなでおろす。


 原木に作られた机に、今でもよく使われている変に大きく作られたステージ。


 おかしいところだったが、今の彼女にとって安心できる場所だ。


「……また、夢?」


 彼女は少し額に手につき、冷や汗を拭いた。震えていた身体は明らかに不安を感じた象徴だ。


 だから、彼女はずっと人を探し続けている。


「に、兄さん……?」


 兄さん!と、彼女はずっと呼び続けている。


 そして、まるで彼女のお呼びに召されて、一人が部屋の中に現れた。その人は彼女の兄ではない。が、その人を見ると、彼女も少し安心する。


 大きくて白い綺麗な角、その”角”は今日も綺麗だった。当然、彼女の目の前の人はアレを“角”だと呼ばない。


 彼女はその人の名前を呼んでいた。


「フロンおじさん。」


 また、彼女のお呼びにフロンが返事した。


「若実様。もう起きましたね。」


 井上若実、12歳。普通なら、中学に行く年齢である。


 現在、家族の帰還のために、「祈り姫」として奮闘している。


 ****


 暗闇……


 暗闇に吸われていく


 そして、落ちる。


 無重力状態の浮遊とともに、あるところに一つの灯が灯った。だが、それは本当の灯ではない。


 元の場所に戻っただけだ。


「……うっ!」気持ち悪い……


「ふふふ、ははは!それで、どうだ?わたくしの言う通り、わたくしのこと、誰も認めたんだろう!不老不死のわたくしを!」一人の人影が狂ったように口角を上げて言った。


 その対面した人は不機嫌な感じで言い返した。


「……はっ。いいや?結局、お前のことなんざ、誰にも伝わってないみたいだ。」


 このことを聞いて、吊り上げた口角の人がすぐ下げた。


「は?ありえない!今も思い出せるんだぞ!あの副会長さん……人を救えなかったことに悔しがっている。かならず、わたくしへの恐怖を、広めてあるはずだ!」


「ふん。知るか、そんなの。ばかばかしい……まあ、でも、この“魔法”は実用的なのは認めよう。吸血鬼を狩りにするのは、かなり役に立つ。」


「ありえない……ありえない!」と、シュッと、一人の人影が消えた。


 残った人も「……ふん。」と言って、「面倒くさいが、新しい体を探すか。」と、前の人影と同じく、シュッと消えた。


 悪意は、隠れている。

今回ちょっと遅くなりました。申し訳ありません。

あ、もちろん父さんと母さんのこと、忘れていませんよ!

どうぞお楽しみに。

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