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「この子、今どういうことって言いましたよ。」とモモナーは肩を竦めて、自分の体に指しながら言った。
「桃ちゃんか。うん……うまく説明できるかどうかわからないが、なるべくわかるように説明するね――」と井上凜は深呼吸をして、説明し始めた。
井上凜が説明していると同時に、フロンも井上星に状況を確認している。不本意であるが、彼は井上星が井上若実を宥めた後、すぐ事情の聴取をしていた。
「――つまり、星様は、『ツリーセ』によって伝送されたのですか?」とフロンは驚いた様子で言った。
「ええ……そうですけど。」と井上星が肯定した後、フロンは続いて“だからか”と俯いて呟いた。
井上星はその様子を見て、疑問をよぎった。
「あの……フロンおじさん。これは普通のことじゃないのか?僕は死んだから、ここに伝送された……フロンおじさんが言ったじゃないの?」
井上星はフロンの様子からして薄々気付いた。もしかしてこれは良くないことだと……少し不安な感じがした。
そして、井上星の予感通り、フロンはゆっくりと首を横に振った。
「……はっきり言いますが、これは予想外のことです。」
「予想外……というと?」
「“ロールプレイング状態”は、このような形ではありません。もっとシンプルなことです。」
シンプルなこと?と井上星は首を傾げた。彼はTRPG経験者だから、もちろん“ロールプレイング”は何の意味があるのかわかっている。だが、この状態にまで説き及ぶ意味がわからない。
「正直に言うと、ロールプレイング状態は……“操縦権”です。」
「操……縦権?」井上星はますます意味がわからず、話が見なくなってきた。
ロールプレイングはキャラクターに成り代わること……ではないのか?と井上星が聞いてみたら、フロンは息を吐いてから、ゆっくりと説明した。
「ちょっと前にも申し上げましたが、“この世界はただのTRPGではありません。TRPGも混同している世界だと思った方がいい”って、こういう話をしたでしょう?」
「うん……たしか最初の時に説明した。でも、その話は“現実として考えた方がいい”っていう意味じゃないのか?」話の見当がまだつかないが、井上星は何となく話を繋げそうと感じた。
「もちろんその意味もあります。ですが、もう一つの意味があります……」とフロンは一回留まって、少し迷った後言った。
「それは、“システム面”の話です。」
「システム面……」なんだろう。話がわかるようでわからないようで……井上星は少し頭が回らなかった。
今の井上星にははっきりと感じている。フロンが説明下手マンの特徴を発揮している最中であることを。
「もっと簡単に言うと、ハーラーリア世界は私たちが開発した世界です!」と大事な話を言っているようなフロンに、
井上星は「まあ……TRPGを称しているなら、そういうことでしょうね。」とそこまで驚いていない。
むしろ、フロンの勢いに少し怯んでいた。
「つまり、“ロールプレイング状態”も同じです!」
「ええと……え?」
そして、まだ意味がわからない井上星の様子に、フロンは“では、星様に少しロールプレイイング状態の意味を確認しますが”と言いつつ、続いての言葉を放った。
「ここでのロールプレイング状態は、プレイヤーがキャラクターになりきること、そうでしょう?」
井上星は少し前のことを思い出して、「……ええ。そうです。」と言った。
「そして、プレイヤーがロールプレイング状態にしたら、プレイヤーは行動の方針が決めなくなります。ここまではわかるでしょう。」
「ええ。」
「では、ここで問題です。もしプレイヤーは行動の方針が決めなくなると、誰がその“キャラクター”を動かせているのですか?そのキャラクターの行動方針は、誰が決めているのですか?」
井上星は自分の経験を考えて、こう言った。
「それは……キャラクター自身でしょう?」
フロンはこの答えを聞いて、少し目を見開いて、“……違います”と俯いて言った。
「行動の方針が決めるのは、“プレイヤー”なんです。」
「え?いや……それだと矛盾してない?」
「矛盾していませんよ。だって、“キャラクター”自身は自分の意志などありません。なぜなら、キャラクターはプレイヤーに作られた“もの”ですから。この状況はハーラーリア世界にいても同じ。つまり、キャラクターを操縦できるのは、結局“プレイヤー”なんです。」
だんだんと話が見えてきた井上星は、その言葉が気になり始めた。
「ちょ、ちょっと待て。フロンおじさん。つまり……そのプレイヤーというのは……」
「……TRPGでは、こういう言葉があるでしょう。」
“GMも一人のプレイヤーです。”
「もし星様たちがロールプレイング状態にする時、キャラクターの操縦権は『私達』になります。」
「私達……」
「星様も見たことがあるでしょう。私以外の五人。特に、あのルームシェアを着ている人――」
フロンの話を聞いて、井上星はあの三十代の男性、前髪にブロンズのメッシュの人の顔が浮かんでいた。
「あの方はキャラクターの操縦、つまり、一番“ロールプレイング状態”に詳しい人です。サリと呼ばれています。ちなみに、私の友人でもあります。」
ロールプレイング状態に詳しい……そういえば、フロンおじさんはロールプレイング状態を説明する時、ちょっと曖昧な言い方を……いや、今はそんなことより――
さすがにここまで話すと、フロンは何が言いたいか井上星でもわかった。
「ということは……僕が知っているあの『ツリーセ』は、“キャラクター”のツリーセではなく、『本当に存在していた』一人のツリーセ……なのか?」
「ええ。話を簡単にまとめると、そうなります。」だから、これは予想外のことです、と。
事実に驚愕している井上星。
「にぃしゃん……」そして、自分の兄を関心している井上若実。井上星の服を一角につまっている。この動きに気付いた井上星は妹の頭を撫でた。
「あ、ああ。兄さんは大丈夫だよ。今はちょっと驚いてただけ……」
井上若実はしっかりと井上星の太ももにくっついたように抱きついた。井上星はしょうがない笑顔をして、そのぷくりとした頬に指で突っつく。
うんん!とちょっと不機嫌な顔をしている井上若実。
まだ頭が混乱しているが、井上若実のおかげで、井上星はパニックにならなくて済んだ。
「とりあえず、事情がわかった。では、このこと、どんな問題が起こるのか?」
予想外の事情なのに、これもまた予想外の反応、フロンは少し驚いたが、微笑みを出した。だが、この微笑みは長く続いていない。なぜなら、井上星の質問に明確な答えがある。
「ええ。もしかしたら、とんでもない問題が起こりえます。」
「それは?」
前の話は、ある程度のことがすでにわかっているため、驚愕だけで済んだが、フロンの次の話はその域を超えていた。
自分でも心の準備をしなければと、フロンは一つ深呼吸をして、次の言葉を伝えた。
「この問題は、星様の家族が元の世界に帰れないかもしれません。いや……これだけなら、まだマシかもしれません。下手したら……星様の家族全員、キャラクターとしてのまま、死にます。」
最近、DOLという18ゲームにはまっています。
本当に面白いゲームです。性癖が詰め込んでいます!
ちなみに、英語のゲームです。




