↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/63

トリックスター


ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないだろう!

守護天使統括大天使一翼このラファエルが人間にズタボロにされるなどありえない!

癒しの事象は発動しないしどうなっているんだ、何故あの人間に攻撃された場所が治癒しない!

神の力だぞ?我々の父の力が何処の馬の骨かもわからない神の力に劣っているというのか?

そんなことは決して許されない、許されざる大罪だ、こんな始末では大天使と父の面汚しになってしまう…


だが、こちらの攻撃は全く通じない、神光槍ブリューナクですら防がれる、普通ならありえないのだこんな事は!

奴が新たに出した二本の奇妙な剣…ブリューナクを凌ぐ強さを感じる、あれも神の力だと言うのか?

クソがぁ!全てあの姉上のせいだ……姉上が邪魔さえしなければこんな事にはならなかった。


【制限解除】まで使ってただの人間に負けたとなるともう天界には帰れない、ロキに助けを求める気にもなれない。

今更命乞いなど恥の上塗りになる。


だが、この人間だけは絶対に許さない、根源を消されて存在が消えても絶対に殺してやる。

奴が何処へ行こうと地の果てまで追いかけて殺す。


死んだ後の事は死んでから考えよう、輪廻の輪に飛ばされる筈だがそこで自我を保て無ければこの望みは達成できない。

やってやる、この屈辱を晴らすためならどんな苦痛だって耐えてやる、覚悟しておけ罪深き人間、神の使徒にたてついた事後悔させてやるからな。


誓いを立てた瞬間人間が持つ二本の剣が左胸を貫いた。


「ガァァァァァァァァァァァ」


それまで待っていろ、人間!








★★★


時は少し遡る。


〈アルカディア王城〉謁見の間


王が謁見をしていると国中に途轍もない轟音が響いた。


「な、なんだ!?何があった!」


大気すら揺るがす轟音に王が取り乱していると、一人の兵士が許しも請わずに謁見の間へ入ってきた、かなり慌ててきたようで息はかなり荒い。


「報告します!はぁはぁ……アルカディアが壊滅しました!王城の半分も消滅してます」


「「「なっ!?」」」


その場にいた全員が耳を疑った。

なんの兆候もなく国が壊滅したなど信じらないが、兵士の慌てようと先程の轟音が真実味を増す。


「……それは真か?誤報ではないのだな?」


王は冷静に振舞っている様に見えるが身体中が小刻みに震え、怯えていた。


「は、はい!凄まじき白光により国は壊滅しました、現在生き残った者達で生存者を探してますが絶望的です」


「なんと……このままではまずい、とりあえずマリアの安否が心配だ、確認してきてくれ。

国の状態についてはここにいる全員と話し合っておく、お前はすぐに娘の部屋へ行ってくれ」


国の一大事に真っ先に娘の心配をするのは一国の王としてどうなのだろうか。


「り、了解しました!失礼します」


そうして、兵士は安否不明の王の娘を探しに出た。


「何処の誰だ、我が国をこんなにした奴は……よし《処刑人》を出せ、犯人とその共謀者を見つけ出させここへ連れてこい」


《処刑人》とはアルカディア王家お抱えの特殊部隊の事である。請け負うのは主に暗殺で、今まで《処刑人》達の素顔を見た者はいない。

王家の人間ですら素顔を知らないのだ、噂では召喚された勇者の成れの果てなど色々な噂が一人歩きしている。


「かしこまりました、王家の威信にかけて、遂行させましょう」


恭しく礼をしながら口上を述べるのは、王の次に権力を持つ財務大臣のガーネスだ、優男の笑みを浮かべて飄々としているため本性が全く分からない。

こちらもただの噂だが、生まれ持ったルックスと財力にものをいわせ言葉にするのも憚られる様な事に手を出しているらしい、まぁこれもただの噂に過ぎない。


「そうか、頼んだぞガーネス、なんとしてでも犯人を突きとめろ」


「仰せのままに」


「覚悟していろ、絶対に報いを受けさせてやる」







★★★


ラファエルが消えた頃には辺りはだんだん暗くなってきていた。


「ふぉっふぉっ、ラファエル様がやられてしまうとは、本当に予想外ですねぇ」


ムカつく奴だな、こいつの笑いはどこか不気味さを感じずにはいられない。


「次はお前だ、クソ野郎、あの時のこと俺はまだ根に持ってるからな」


アルカディアへ初めて召喚されたあの日あの時、俺を牢屋にぶち込んで拷問をかけたゴミ野郎。


「ふぉっふぉっ、女々しいお方ですね、そんなにあの雌が大事だったのですか?」


雌?だと?有栖の事を言っているのなら本当にふざけた奴だ、できるものなら俺の手で殺してやりたい。


「それ以上口を開くな、有栖の事を次口にしてみろ、どれだけ時間がかかろうとお前を殺してやる」


「ふぉっふぉっ、怖いですなぁ?貴方に神は殺せませんよ?威勢だけは良いですが、現実が分かっていない」


分かった風な口を聞くな……


「黙れ、【王権】【魔眼】奴のパスをちぎり取れ」


二つを同時に発動させた瞬間左目に訳の分からない痛みが襲いかかった、この痛みはただ目が潰れるだけの痛みじゃない……クソ!なんだ…これ。


『我慢しろ、今俺の力で奴のパスを乗っ取ってる、その為に【魔眼】の奴を経由しないといけないからな』


『はぁ、【王権】って本当無理矢理なんだから、脳筋思考は嫌われるよ?』


『そんなことはどうでもいい!さっさと終わらせろ、奴も気づいて対抗してくる』


呑気すぎるぞ、会話してる暇があるならさっさと乗っ取れよ。


「ふぉっふぉっ、なるほどパスを切って送還させるつもりですか、誰から聞いたかは知りませんが良い手です、しかしそう簡単にできると思いますか?」


確かにこいつの言う通りだ、今俺は目の痛みで全く動けない、パスを切るまでの時間稼ぎすら満足にできないのだ、クソ!何が簡単だ、だよ、次あいつにあったら殴ってやりたい。


『お困りのようですね、力をお貸ししましょうか?』


その時また声が聞こえてきた、【魔眼】でも【王権】でもない声だ、ルーシーの特訓で凄く世話になった。


『【剣聖】か……頼む、今俺は痛みに耐えるだけで精一杯なんだ』


『お任せください、あの時よりも鍛錬を積んで、少しは強くなったと自負しています』


実体がないのに鍛錬を積むってどうやるのかは知らないが、【剣聖】の声には確かな自信があった。

相手は神、実力を試すのに不足はないだろう。


「実体を使ってまた剣を振れるとは幸せだ、さて主人の命により貴様を斬り捨てる」


これ【剣聖】が喋ってるのか、剣を持ちながらだとなんか凄く様になるな。


「おや?貴方は……どうやら別人ですね」


「流石は神ですね、【神眼】はやはり厄介だ、ですが……それはとっくに乗り越えた壁です」


【神眼】?響きから察するに神が持つ眼って感じだが、【剣聖】の口ぶりからするとどうやら知ってるみたいだ、それに破った事もあるみたいだなやっぱり頼りになる。


「ふぉっふぉっ、【神眼】はそう簡単に破れるものではありませんよっ!」


ロキは瞬時に短剣を想像し距離を詰めてきた。

ラファエルに引けをとらない速さだ、鬼状態じゃない今これに対抗できるのか?


「へぇ、神ってのは伊達じゃないみたいだ、でも遅いな」


【剣聖】は両手に持つ二本の剣を自分の手足の様に扱い全ての剣撃を弾き返し、そのまま反撃に出た。

鬼状態でもないのに、あの速さについていけるとは…強くなったってのは強ち間違いでもないみたいだ。


右薙、左薙、袈裟斬り、逆袈裟斬り、唐竹、刺突、右切上、左切上、剣術はそれなり使えるようだが、この世界では基本的に魔法が戦闘の中心だ、いくら神とはいえ剣を極めた奴の技術には敵わない。


『もう終わるぞ、痛みにそなえろ』


『はぁ、疲れた〜、次は呼ぶ時はもっと考えてよ』


『了解だ……』


上手くいった、こいつらには驚かされる。


「どうやら、時間稼ぎは充分の様ですね」


「ふぉっふぉっ、してやられましたなぁ」


【剣聖】が役目を終えて俺の潜在意識に戻ると、瞬間途轍もない痛みが襲いかかり左目が弾け飛んだ、血液が辺りに飛び散り視界が狭まった。

目が見えないってのは久しぶりの感覚だ、だがこの傷は全く治る気配がない。


まぁ別にいい、片目を代償に神を殺せるなら安いものだ。


右目でロキを確認すると、奴の真下に次元の裂け目が現れロキを呑み込み始めていた。

ブラックホールに星屑が吸い込まれていくかの様にズルズルと。


「ふぉっふぉっ、またお会いましょう、霞 十六夜さん?」


「お断りだ、クソ野郎」


その言葉を最後にロキは次元の裂け目に完全に吸い込まれた。

最後まで気味の悪いやつだった、他人任せになるのは後味が悪いが仕方がない。


ふと、空が気になった、何かに見られている様な監視されている様な奇妙な感覚。


「なんだ?あれ……鳥?クソ、視界がボヤけて」


確実になにかが飛んでいた、だが片目だけの視界に慣れてなさすぎて何かは特定できなかったが、確実に何かが俺たちを監視していた。


クソ、また厄介ごとか?

まぁ、どうでもいい、危害を加えてくるなら殺すだけだ。


帰ったらさっそくクラスメイト探しに戻ろう。

復讐にはいくら時間があっても足りないからな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。