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鬼の怖さ

間空いてすいません。


『さて、この力を俺は支配できないわけだが…あの天使に勝てるのか?』


『そうだなぁ、三分で半殺し、五分で抹殺だ』


そりゃすごい、さすが意味不明な力だな。


『でもその前にお前の体がぶっ壊れるかもな、頭もイカれるかも』


『そっか、別に構わないさ早く終わるなら』


『くくくっ、そうかよ、まぁ頑張れ』


そうして、もう1人の俺の声は消えた。

さて始めるとするか、天使狩りを。










★★★


十六夜君の体がほとんど全くの別物になってから数分が経った。

だけど未だにその場所を動いていない、多分だけどあの力が体に馴染んでいないんだろう。

今の十六夜君からは僕でも震え上がる程の力を感じる、恐らく全てを破壊しうる程の力だ。

あれを十六夜君が支配すれば神をも消滅させられるだろう。

でもその分デメリットも大きい筈だ、ラファエル達を倒した後元の姿に戻れないかもしれない。


「なんだ、その姿は……なんなんだお前は」


「ラファエル様、ここは引くべきかと愚考します」


ラファエルとロキは十六夜君の姿と空気を通じて伝わる力を感じ取りかなり動揺している。


でも、なんだろう邪悪な気の陰に父とよく似た力を感じる。


「もしかして十六夜君には神が関わってるのか……?」


「神だと?矮小な人間に神が祝福?あり得ないでしょう姉上」


「……ラファエル様、あながち間違いでも無さそうですよ」


なら、あのユニークスキルと人間ではあり得ない馬鹿げたステータスも納得できる。

十六夜君の世界の神が十六夜君に力を与えた?何がしたいんだ。

そのせいで十六夜君の妹は死んだ、惨たらしく。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


十六夜君の力の深淵を観察していると、急に十六夜君が悲鳴を上げ始めた。

かなり辛そうな声音だ、体が耐えきれてない。

だが、そろそろ力が馴染んでくる頃だろう、数秒前よりも力が大きくなってる。


「鬼畜に成り下がったか人間」


「ラファエル様、言い合ってる時間はありません、恐らく既に力が馴染んできています……ですが支配は出来てない様だ」


それは僕も分かる、十六夜君は力を支配できていない。

僕でも支配はできないだろうな、体は耐えられるが頭がダメになりそうだ。


『ルーシー今すぐここから離れてくれ』


頭の中にふと声が響いた。

聞き慣れた安心する声だ、太すぎず細すぎない繊細な声間違える筈はない。


『十六夜君大丈夫なのかい?意識はあるんだね?』


口ではなく念話で話しかけてきたということは、意識はあるが体の制御が効かないんだ。

今は神の力に体を支配されてるのか。


『ルーシー俺は大丈夫だ、今の状態ならあの天使を倒せるらしい、だから逃げろ……すぐに追いつくよ』


『分かった、絶対に無事に帰ってきてね』


今は十六夜君の言葉を信じよう。

今の僕では足手まといにしかならない、根源が傷付いた状態じゃまともに戦えないしね。

僕の慢心のせいで十六夜君を危険に晒すなんて、守るなんて言っておいてこの様とは。


『当たり前だろ、こんな所で死ぬ訳にはいかない、それに俺を牢屋にぶち込んだ奴もいるし都合がいいよ』


ふふっ、やっぱり凄いなぁ。

普通の精神の持ち主ならここで逃げ出すだろう、でも十六夜君はブレない。


『終わったらアーシャ達の所へきて、白雪と黒王は僕が連れて行くよ』


『了解だ、じゃ後でな』


それを最後に念話は切れ十六夜君は動き出した、ゆっくりと堂々と自らラファエルとロキに向かって歩きだしたのだ。

一歩一歩土を踏みしめるたびに土が腐り草花は枯れ果てる。

物凄い瘴気だ、触れただけで肌がピリピリする、なんの耐性も無ければ溶けてなくなるだろう。


さっさと離れた方が良さそうだ。


「白雪と黒王を回収してっと」


2人を回収した後すぐにその場を離脱した。


ーーーどうか無事で









★★★


ルーシーとの念話終えた俺の体は2人に向けてゆっくりと歩き出した、まぁ俺に決定権はないので従うしかない。

あいつが言った通りに三分で半殺しにできるのか時間でも数えておくか。


「調子に乗るなよ人間ごときがぁ!」


あらら、頭に血が上ってるな、いくら強くても冷静な判断が出来ないと意味ないでしょうに。


ゆっくりと歩く俺に向かって天使の少年は飛びかかってきた、この状態の俺じゃ無ければ目で追えなかっただろう。音速?は優に超えてそうだ。


「消滅しろ、下等な人間!姿や気配がいくら変わろうが見掛け倒しに過ぎな、い? は? がぼっぎゃぁぁぁぁぁぁあ」


長いセリフを口にしながら襲いかかってくるとは、やっぱり舐め切られてる。今の俺は何するか分からないってのに。


目を通して状況を確認すると俺の右手が天使の少年の腹を貫いていた、腹には風穴が開き俺の手から放出された瘴気が体に入り込みドロドロと溶かしている。

スプラッタ映画みたいになってて面白いな、こうなる前の俺なら卒倒ものだが。


「は?な、なんで?何故だ?ごふっ、あり得ないだろ」


「…………死ね」


死ねとか殺すとか体を動かすのが俺自身じゃなくてもやっぱりボキャブラリーが酷いな。

まぁ、そんな細かい事はどうでもいい、今はこいつらを殺すだけだからな。

てか、三分も経たないうちに半殺しになってる気がするんだが……


「ふざ、けるな、人間などに殺される訳ないだろうがぁぁあ」


いや、死ぬよ、残念だけど。


スパッと空気を切る乾いた音が鳴り、辺りに鮮血をぶちまけた。

その血はもちろん天使の少年のもの、首が切れればそりゃ物凄い量の血が飛び散る。

まっこんな事じゃ死なないよなまだ動いてるし、やっぱり根源とやらを消さないとダメみたいだ。


頼みますよ、もう1人の俺、トドメ刺しちゃって。


「おやおや?ふぉっふぉっ、ラファエル様いくらなんでも油断し過ぎじゃないですか?」


はぁ、もうすぐトドメって所で水さすなよ。

たしかに呆気ないけど。


「黙れ、ロキ、殺すぞ」


はぁ、やっぱり異世界って碌でもない。


数秒切り落とした首から目を離しただけで、すでにくっ付いていた。

本当に異世界ってなんでもありだ。


まぁ、もう一回同じ様に斬り落としてもらおう、そして次こそは根源も消してロキとか呼ばれてる白髪の爺を消し去ろう。


体の自由は効かないけど、あいつも俺なんだ、俺の思考がトレースされててもおかしくない。


存分に天使狩りをしてもらおう。

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