復讐計画〜喜持編2〜
3話更新!疲れた…
まぁ大した文字数じゃないですけどね…
因果応報と言う言葉がある。
善い行いをすれば良い事があり、悪い行いをすれば悪い事が自分に返ってくるという意味だ、この言葉は俺が復讐しようとしている奴らにぴったりな言葉だと思う。
勇者という道化を演じ、好き勝手にしている彼奴らは酷く滑稽だ。
俺とルーシーはギルドで金を受け取った後、東に向かって歩き続けていた。
「なぁ、ルーこっちで合ってるのか?」
「間違いないよ、こっちから物凄く強い負のオーラを感じるからね」
「そうか、もうすぐ日が暮れる、少しスピードをあげよう」
「了解だよ!」
俺とルーシーは少しスピードを上げ、目的地まで一直線に走り出した。
勿論俺たちを視認できる奴なんて早々いない。
数秒後俺たちは目的地であるスラムの前に来た、そこは俺のイメージ通りの場所だった。
アルカディアの街並みが表の顔だとすれば、ここは裏の顔と言ったところか、全てがボロく、彷徨っている人間も貧相な奴等ばかりだ、そして皆目が死んでいる、生きるのを諦めた目だ。
「ルーシーさっさと行こう、絶対襲われるけど、相手にするな、俺が全て瞬殺するから」
「はーい」
「よし、行くぞ」
こうして俺達はスラムに足を踏み入れた。
スラムに足を踏み入れた数秒後案の定襲われた、スラムと言うのはこういう所だ、なんら不思議ではない、むしろ必然と言っていいだろう。
地球にもスラムは存在していた、テレビとかで見るスラムも治安が悪くとてもじゃないがいい場所とは言えなかった。
俺は襲いかかってきた男達を全てデコピンで無力化しながら歩き続けた、襲ってくるやつと一々押し問答していると、時間がいくらあっても足りないからな。
因みに0.1くらいの力しか使っていない、1割ですら冒険者の男が死にかけたんだ、ただのゴロツキにそんなことすれば粉微塵になってしまう。
数分の間好奇の目に晒されながら歩き続けると目的の場所にたどり着いた。
そう闇市だ、スラムにはこう言ったバザールが頻繁に開かれ、非合法な薬や違法な物を購入する事ができる。
売人は脛に傷がある奴らばかりだが、俺達ならば舐められて、足元を見られてもどうにでもなる。
俺達は目的の道具を見つけるために、闇市を散策し始めた。
「ルー、粗悪品をつかまされない様にな」
「粗悪品なんか売りつけてくるのかい?そいつは殺してもいい?」
「ダメだ、目立つことは控えろ」
粗悪品を売られただけで殺していたら、今日だけでこの闇市は終了するだろうな、まぁそれだけまともに商売する奴が少ないってことなんだが…
「ん?あれは…よしあそこに行くぞ」
「えっ、ちょっ待ってよー」
俺は一つの商品が目に留まり、そこへ足を向けた。
「いらっしゃい、随分と若いお客様だな〜」
それを売っている店に行くと、胡散臭い男が手ぐすねを引きながら、こちらを値踏みしてきた。
「すまないが、その目をやめてくれ、不愉快だ」
俺は少し怒気を孕ませながら、店主に言い放つ
「おっと、これは失礼、今日は何かお探しのものでも?」
店主は俺の怒気を気にもせず、胡散臭い笑みを貼り付け、商売人の顔に戻った。
「これは何だ?」
そう言って俺が手に取ったのは、卵?の様な物だった、殻に浮かび上がったシマシマ模様は凄く気持ち悪い。
「おぉ!これはお目が高い!こちらは本日入荷したばかりの、食蛆の卵になります」
蛆そう聞いた瞬間全身に鳥肌が立った。
「蛆?蛆が卵から生まれるのか?」
「えぇ、食蛆は特殊な生態を持っており、魔物に分類され、普通の蛆とは違うのですよ」
「特殊な生態?それは名前の通りじゃないのか?」
「正解です!いやはやお若いのに随分と博識ですなぁ!」
いやいや、これだけヒントが有れば小学生でも分かるだろうよ。
「それで、この卵は幾らだ?」
これは復讐に使える、俺は直感でそう感じ、購入する事にした。
「ふむ…そうですね、そちらは今回特別サービスで差し上げますよ」
「は?何か企んでいるのか?」
俺はその言葉を聞き、警戒態勢に入る、無料という言葉程怖いものは無いと教えられて生きてきたのだ、そう思うのは当然だ。
「あははは、そう警戒しないで下さいよ、これは本当にお近づきの印です、どうぞお受け取りください」
男は終始胡散臭い笑みを貼り付けつつ、両手を上にあげ、俺に卵を勧めてきた。
「そうか、なら貰っておこう、だがこれが変な物だったり、俺たちにおかしいことが有れば、すぐにお前を殺しに行くからな」
「えぇ、勿論ですとも」
俺は有無を言わさない程強く言い放ち、その店を離れた。
店を離れた後他の店でも役に立ちそうな道具を数点購入し、俺達はスラムを後にした。
スラムを出た俺達は、明日に備える為に宿をとり、少し休む事にした。
ステータスのお陰で体力的には大丈夫だが、精神的な疲れは取れない。
「ルー、いよいよ明日、最初の復讐だ、俺が暴走しすぎない様に頼むよ」
俺はベッドに腰掛けながら、ルーシーにそう頼み込んでいた。
「あぁ、もちろんだよ、それに十六夜君を止められるのは僕しかいないんだし」
ルーシーは聖母の様な笑みを浮かべ、こちらを見つめてくる。
その笑みに俺は少しドキッとしてしまい、その顔を悟られない様に俺はベッドに潜り込み眠りについた。
★★★
スラムの闇市近くの酒場で酒を飲む男がいた、それは十六夜に卵を渡した、あの胡散臭い売人だった。
胡散臭い売人は酒を飲みながら、独り言を呟く。
「神のお告げは本当でしたね、フフフ、あぁ!いい気分だ、あの人達はどんな事をしでかしてくれるのでしょうか?楽しみですね〜、貴方もそう思いませんか?……ふぅ、だんまりですか、まぁいいです、私はあの人達が成すことを見守るだけですからね」
男は独り言の途中誰かに話しかけたが、その言葉を空を切り、なんの返事も返ってこなかった。
だが男は気を取り直し、また独り言を呟く。
「久しぶりに面白い事になりそうです、世界中勇者の話題で持ちきりですが、私にとって勇者など、生ゴミほどの価値しかない…いえこれでは生ゴミに失礼ですね。あんな塵芥は存在してはいけない存在だ、その塵芥に制裁を下す魔王の眷属…ハハハハハ、アハハハハ、愉快!実に愉快だ!
あぁ!あの外道共に制裁を!正義の鉄槌を!どうか救いたまえ!」
突然大声を張り上げた男の姿に周りにいた飲んだくれ達はギョッとするが、直ぐに酔っ払いの戯言だと結論付け、また仲間たちと飲み直す。
男の虚言は男達の楽しそうな大声に掻き消され、彼方に消える。
「楽しみにしていますよ?イザヨイさん?アハハハハ」
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