第38話「命を懸けて幸せにしてあげよう」
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カッツェへと一時的に戻ってきた俺たちは隊で使っている家に荷物を置き、不動産屋さんのもとを訪れている。
遂にマイホームとのご対面だ。
数日前に完成したばかりだと言われ、楽しみにしてきた気持ちがさらに増した。
アーニャと共に購入した土地へ向かうと、遠目からも分かるほどの立派な家が目に入る。
落ち着いた灰色の外観だがカッツェの中ではカッツェ城と仲介所、シャーリー工房の次に大きい建物なだけあり、なかなかに目立ってしまっている。
それなりの部屋数を確保したし、隠れて鍛錬するための大きめの部屋も用意したせいでもある。
扉を開けると広々とした玄関、そしてフローリング。
そう、この時代でフローリングなのだ。
当然これにはシャーリーも腕を揮ってくれている。
木の模様を残した皿を作ったことがあるだけに、こういうこともできるのではないかと相談したところおそらく可能だと言われたのでお願いしたのだ。
自分も将来的に住む家のためならと、代金は半額で済ませてくれたのは本当に助かった。
右の扉の先には日本で言うダイニングキッチンだな。
ここもシャンドラ様が来ても、隊の皆が来ても入れるようにと大きな造りにしてある。
アルシェやダッカスが見たら間違いなく羨ましがるほどの大きさのキッチンだろう。
当然給仕の距離も広いため長くなってしまうのが多少の難点だけどな。
そして左の扉の先は大浴場へと続く脱衣所。
言うまでもなく隊の皆が来て同時に入ることになっても問題ない大きさだ。
正面には2階へと続く階段が見える。
階段の裏側には鍛錬場があり、広さは剣道の試合の四角い枠?が5個ほど並べられるくらいだろうな。
名称知らんけど。
そして2階が居住スペース。
部屋の数は左右に6つの計12個あり、階段の右手一番奥にあるのが俺の部屋だ。
その向かいが現状アーニャの部屋の予定。
一通り部屋を見て回っていると、荷物の搬入が始まった。
運送業の皆さんに仕事としてお願いしているので、こちらも変に気を遣わなくて済んでいる。
部屋に自分たちの全ての荷物が運び込まれ、追加で購入した家具なども次々搬入されていく。
客室に何もないのでは客人を泊められないからな。
加えてリビングに机や椅子、キッチン用品などを大量に購入したというわけだ。
おかげで財布は現状ほぼすっからかん。
あれだけの大金を所持していたはずなのにな。
まあ日が経てばお金は増えていくので、少しの辛抱だ。
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全ての作業が終了した頃には既に日が落ちかけていた。
日没ギリギリといったところで、現在はアーニャと共に大浴場でゆっくりと身体を休めている。
どうやってこの広い風呂に、この時代でお湯を溜めれるのかと絶対に聞かれると思うので答えておこう。
カッツェ鉱山の発掘隊が発掘作業をしていた際、偶然天然の温泉を掘り当てたのだ。
それをこちらに流す許可をシウバ様にもらい、使用しているというわけだ。
つまりこのお湯は天然の温泉。
当然ここにお湯を引っ張る道を作る費用に加え、カッツェ城にも同様の導線を作ったおかげで今回の金欠になっているわけだが。
これに毎日入れるという幸せを考えたら安いものだろう。
そんなこんなで入浴を終え、ふと気づく。
この家には今俺とアーニャの2人きり。
今まで結婚してからというもの、ジューンからの帰りを覗けば完全に2人きりの夜は初めてなのではないだろうか。
隊の家も、フェルト城も、隊のメンバーに囲まれていた。
今は誰の邪魔も入ることなくいちゃつけるということだ。
つまり魔法使い卒業のチャンs「き、着替え持ってくるの忘れたわ。」
アーニャの言葉に我に返る。
風呂上りだからか顔を赤らめているアーニャ。
せっかく温まったのに、冷えて風邪をひくといけないので先に戻ってもらった。
いけないいけない。
楽しみにしているとはいえ自分1人で先走ってアーニャに負担をかけてしまうところだった。
するにしても互いの愛を確かめ合うようにしたいよな。
そんな考えをしつつ階段を上がり部屋に戻る。
ふと、アーニャの様子が気になり部屋のドアをノックするも返事がない。
着替えに集中していて聞こえなかったのだろうか。
後程また様子を見ればいいか。
俺も冷めないうちに一度部屋に戻っておくとしよう。
部屋に入るためにドアを開け、ベッドの上に腰掛けようとしていた。
しかしそこには先客が居て、驚きのあまり動きが止まってしまった。
アーニャがバスタオル姿のまま、俺のベッドに腰掛けている。
とりあえずフリーズしてがん見してしまっているのだが、アーニャは恥ずかしそうに俯いたままだ。
「えーと、アーニャさん?
部屋を間違えたとか、扉が実はオートロックで入れなかったとか、そういう感じですか?」
「オートなんとかは分からないけど、やっと家に2人きりの初めての夜なのよ?
アタシだって・・・その・・・タローともっと愛し合いたいのよ・・・悪い!?」
そうか、あまりの驚きに頭がショートしていたがここは戦国時代だった。
オートロックなんてものは当然ながら存在していない。
顔を真っ赤にしたまま恥ずかしそうにしているアーニャの姿と言葉に、ガラガラと音を立てて理性が崩れ去っていくのが分かった。
「悪くないし、ダメとも思ってないよ。
むしろ俺も期待しちゃってたし、アーニャと同じ気持ちなんだと知れて嬉しいよ。」
言いながら頭を撫でつつそっと抱き寄せる。
ギュッと抱きしめ返されたと思ったら、俺を引っ張りながらベッドに倒れ込むアーニャ。
倒れた衝撃でバスタオルがはだけるも微塵も意に介していない様子だ。
「結婚してから時間は経っちゃったけど、日に日にタローのことが好きになっていくわ。
一生愛し続けるから、一番傍で支えさせてね。」
「俺もアーニャの居ない生活なんて考えられないよ。
ずっと一緒に支え合っていこう。
愛してるぞ、アーニャ。」
翌朝、目が覚めて。
隣でまだ寝ているアーニャの前髪を分けつつ、多幸感に思わず笑顔になる。
人間ってこんなに幸せを感じることがあるんだな。
もう既に何度も思っていたことだが、改めて思う。
アーニャを、命を懸けて幸せにしてあげよう。
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アーニャも目を覚まし、2人で恥ずかしがりながらも平穏に過ごしていた午前中。
嵐というものは突然やってくるものなんだ。
家のドアがノックされた音に玄関に降り、扉を開けると大荷物を背景にイルシャが立っていた。
「アナタたちのことだから、もう事は済ませたわよね?
わたしも今日からここに住むから、よろしくね。」
勘が良いとは思っていたけど、ここまでとは。
というか家主である俺の許可が出ていないにも関わらず、ずかずかと家に荷物を運び入れるイルシャ。
まあ不許可するつもりはないのだけども。
『怪力の神子』の力で、運送業者を使わずに全ての荷物を1度に持ってくるとは思わないじゃん?
それにまだアーニャとの初夜を終えたばかりで、次の女性を迎え入れるってのもなんかな。
と思っていたのだが。
「アタシは子どもを作れないから、皆で順番に相手をしましょうって決めたのよ。
そのうえでアタシが1番じゃないと嫌だとも伝えてあるから、大丈夫だと思うわ。」
俺の知らないところで、そんな話し合いがされていたのか。
えっ、待って。
昨晩ようやく魔法使い卒業できたというのに、次の相手はドがつくほどのマ〇ヒズムの持ち主の相手ってことかい。
ハードル高くねえか・・・?
「タロー、安心して。
わたしはタローになら、どんな屈辱的なプレイをされようとも喜んで受け入れるわ!」
「プ、プレイ!?」
アーニャ、そこは驚くところじゃない。
溜息をつくのが正解だ。
アーニャは昨日分かったけど、イルシャと真逆で自分が優位に立ちたがる感じだった。
せめてシャーリーがまともであることを祈ろう。
夢のマイホーム生活は、早くも平穏ではなくなってきた。
そして奥さんたちとの夜の営みは前途多難になりそうだ。
評価ポイント200になってる・・・!
ありがとうございます、ありがとうございます・・・!
思わず三度見くらいしてしまいました笑
皆様の応援に感謝しつつ、この数字に満足せずに精進してまいります。
引き続き応援して頂けたら嬉しいです。
拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします!




