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邂逅・悪の華と聖女 3

 始末した番人を見下ろしつつ、

「よし、いいぞ、出て来な」

 牢の方に話しかける。ぞろぞろと出て来るレイミと巡礼の生き残りたち。

「お前たちはさっさと逃げとけ」

「あの、貴方がたはどうなさるのですか? 」

 フイリンが聞いてくる。

「奴らを壊滅させる」

「そうそう、魔動車(くるま)も取り返さないとね」

「えっ!?壊滅させるって・・二人でですか? 」

 驚きを見せるフイリン。無理もない。

「正確には私一人でだ。どうせレイミ(こいつ)は役に立たんだろうし」

「な、何よ、私だって・・あーこんな事なら剣持ってくればよかった・・そうだ! 」

 レイミは番人の死体から腰に下げていた短剣を抜き、手に取る。

「私も何か手伝います! 私たちも彼らに持ち物取り上げられていますから」

 胸に手を当て力強く物言うフイリン。カーラとレイミ、思わず顔見合わせる。

「お前、戦えるのか? 」

「戦闘はできませんが、ヒーリングとかはできますっ! 」

「へえ・・ヒーリングか・・正直私には必要ないがまあいいわ」 

「お待ちなされいっ! 」

 いきなり、物言いが入る。巡礼のリーダーの老人である。

「無益な争いはならぬ。そのまま逃げるのだ」

 カーラ、いちいち反論するのも面倒臭いという感じで

「あのなあ、奴らを野放しにしておいたらまたお前らみたいな被害者出るだろうが。それとも何か? 自分らさえ良ければあとはどうでもいいってか? 」

 お前が言うか、という気もするが。

「長老様、私は取り上げられた(スタッフ)を取り返したいです。あれは私にとって大切な物なのです! 」

 強く主張するフイリン。先程は「争いは嫌い」と言っていたが余程大切な物と思える。

「オラーーーーッ何やっとんだ!!」

 いきなり響く怒号。数人の山賊が手に武器を取り走り寄って来る。

「あー、大声で喋ったりしているから気付かれたじゃないのー」

「ああっ、こいつらぁ、よくもやりやがったなー! 」

 番人の死体を発見した山賊。これはまずい。

「もう許さねえ、こいつらぶっ殺したる! 」

「おい、折角の商品を・・」

「知るか!!」

 剣を振りかざし襲い掛かる山賊・・。

 皆を後方に下がらせ、立ちふさがるカーラ。そして・・。

 華麗な蹴りが一人の横顔に炸裂、「ぶほっ」と悲鳴を上げ吹っ飛ぶ。奴の頭蓋は砕けたことだろう。さらに一人の持つ剣を掌底でへし折り、そのまま顔面にヒット。「ぶわっはっは」とこいつも鼻血まき散らし昏倒する。

「次に死にたいのは誰だ? お前か? 」邪悪な笑みを浮かべ山賊どもににじり寄るカーラ。その両手には"気"が、誰の目にも見えるほど津々と燃え上がっている。

「騒がしいのお、何騒いどるんじゃ? 」

 見覚えた巨躯が現れた。奴らのお頭のお出ましだ。背後に、おそらくここに居るであろう山賊ども全員を引き連れている。

「ふん、現れたか、わざわざ出向かわなくて済んだな」 

「?!うっ、生白いの・・!?これは貴様がやったのかー? 」

「お頭ー、こいつ奇怪(きっかい)な技使いやがりますぜ」

「ほお? なら見せてもらおうか」

 お頭、手にしていた大刀をまるでブーメランの如く投げつける。ビュインと耳障りな音を立て回転しながらカーラに襲い来る。

 しかし、カーラ微動だにしない。・・と。

 グワンッ! 何かに弾かれたかのようにカーラの直前で地面に落下し深々と突き刺さる大刀・・。

「?!・・どうした? 」

 カーラ自身も分からない?

「ぼ、防御シールド張らせていただきました! 危なそうだったので」

 それはフイリンの所業なのだった。

「フイリンさん・・だっけ、気持ちは有難いけれどあんまり余計な事して欲しくないなあ・・」

 カーラ、引きつった、明らかに目は笑っていない感じの笑顔をフイリンに向ける。

「そうそう、カーラ(あの人)に任しておけばいいから」

 何のかんの言ってはいてもカーラを信頼しているレイミなのであった。

「は、はい、ごめんなさい・・」

「うぉらーーっ! よそ見しているんじゃねえぞ! 」

 お頭、今度はその巨大な拳を打ち据えようと襲い来る。しかも、拳にはナックルを装着しているのだ。

しかし、カーラはその拳を華麗ともいえる動作で器用に避けまくる。空しく宙を切るばかりのお頭の拳。

「ふん、スロー過ぎて眠くなってきたんですけどぉ」

 にやにや笑いつつ、ひたすらコケにしまくるカーラ。さしものタフさが取り柄のお頭も息が上がってきているようだ。

「どうした? それまでかおっさん? 見てくれの割に全然大したことないじゃ~ん」

 お頭、完全に頭に血が上ったか、「うおおお」と吠えたかと思ったら頭突きをかましてきた、が、、当然の如く今度はカーラの手の気弾に弾き飛ばされるのであった。

 無様にゴロゴロと転がり、岩場に激突するお頭だった。山賊の手下どもは、唖然としているのかただ突っ立っている。

 カーラ、転げて伸びたお頭に近づく。後からレイミとフイリンも怖々と付いて来る。

「さてどうする? まだやるん? 」

 するとお頭、思いもかけぬ行動に出たのだった。

 なんと、土下座し始めたではないか!

「お、俺が悪かった、もう悪さはしねえ、許してくれ」

 さすがのカーラもこれには虚を突かれた顔をする。

「だったら貴方方全員で自首することね。そうすれば少しは罪軽くなるかもよ」

「そうです。今までの悪事を反省し悔いるというのならアンジュエラ様も許してくださるでしょう」

「さーね、こいつらムチャクチャ前科ありそうだから自首しても死刑確定だろうね」

「そう言わずに許してくだせえよ、べっぴんなねえちゃん・・」

 尚も土下座し続けるお頭だが・・。

「これには深い訳が・・あるんじゃボケェ!!」

「うわっ?!」

 何と、この野郎地面の砂をひっ掴み、いきなりカーラの顔面に投げつけたのだ。

「今度こそ死ねやーーーっ! 」

 どう仕込んでいたのかお頭の肩と胸部から数本の鋭い刃物が飛び出し彼女を狙う。

 ザクッ! 避け切れなかった一本の刃がカーラの左上腕部に突き刺さった。

「貴様ぁ~~! 姑息な真似を~ッ! 」

 怒りに震えるカーラだが、砂が入ったせいで目がよく見えないでいるようだ。

「今だ、ぶっ殺せーーー! 」

 この一連が逆転劇と見たであろう山賊の手下ども、すっかり勢い付き襲いかかってきた。


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