毎夜、合成最高級酒を湯呑みで酌み交わし、贅の限りを尽くした愛欲の日々。大天使ガブリエルⅡ・ヤスヒロは、この未来都市の夜を完全に支配していた。
読者の化身として20代社会人3年目の若さをキープしつつ、大天使ガブリエルⅡの力を宿したヤスヒロの次なるカオスな輪廻の旅、スタートです!
第三幕:ディストピア・ネオ江戸城。サイバーくの一をアジャストせよ
カチリ、ピピッ、ジーーーー。
不快な電子音と、鼻を突くジャンクなオイルの臭いで彼は目を覚ました。
ヤスヒロ:「う、頭が……っていうか、ここどこよ!? 八王子城は? 隠し娘ちゃんとのラグジュアリーな夜は!?」
気がつくと、彼はネオン管が怪しく明滅するサイバーパンクな近未来の江戸城・天守閣に立っていた。
空を見上げると、巨大な立体ホログラムが『ようこそ、西暦2400年のネオ・エド』と無機質に点滅している。空飛ぶ屋形船がレーザーの光跡を残しながらビル群の間をすり抜けていく。
手鏡代わりに近くの液晶画面を覗き込むと、そこに映っていたのは――
背中にサイバー発光する巨大な六翼を生やし、漆黒のハイテク南蛮胴具足に身を包んだ、超絶クール系な大天使サイバー戦士(22歳)。
ヤスヒロ:「よし、見た目は20代イケメン、大天使ガブリエルⅡ・ヤスヒロのままだな! 中身も八王子生まれの俺自身! よっしゃ、バグは直ったか!?」
脳内スマホのホログラムがピピッと起動する。今回のミッションとヒロインのデータが表示された。
ヤスヒロ:「えーっと、今回のヒロインは……『ネオ幕府の機密を握る、サイバーくの一』ね。お、さっそく目の前にいるじゃん。だけど……ちょっと待って、状況がハードすぎない!?」
第二章:妖怪サイボーグ新井白石、襲来
天守閣の電子シャッターが火花を散らしてぶち破られた。
重低音のモーター音が響き渡り、現れたのは、全身の8割を違法パーツで改造した巨大なサイボーグ怪物――妖怪サイボーグ「新井白石」であった。
「ブオオオォン! 正徳の治ッ! 脳内チップの財政を緊縮せよッ!」
なぜ江戸中期の高官がサイバーパンクの怪物として未来のネオ・エドに現れたのかは不明だが、その機械化された両腕は巨大なガトリング砲に変形しており、冷酷な緊縮レーザーの照準を撒き散らしている。
そしてそのレーザーにロックオンされ、今まさにデータ転送用のカプセルへ引きずり込まれようとしていたのは、一人の美少女だった。
サイバーくの一:「バグ野郎! 私の暗号資産(仮想通貨)に手を出すな! システムからデリートしてやる!」
少女は叫んでいた。しかし、その姿は尋常ではない。
彼女の頭部からは無数の光ファイバーが触手のように伸び、激しいクラッキング電波を周囲に撒き散らしている。怒りでその瞳は赤く発光し、ネットの海を丸ごと焼き尽くさんばかりの「電子毘沙門天」のごとき凄まじさ。美しさと圧倒的なサイバー破壊衝動が同居した、恐るべきハッカー美少女であった。
ヤスヒロ:「おいおい、女の子を寄ってたかって脅すたぁ、ネオ・エドの恥だ。それにあの鉄クズ、さっきから緊縮緊縮うるせえんだよ。そんなガチガチなルール押し付けてんじゃねえ、どんな場面でもアジャスト(柔軟性)が重要なんだよ!」
大天使ガブリエルⅡ・ヤスヒロは、冷徹な瞳をキラーンと輝かせ、すっと足を踏み出した。八王子生まれの若手社員としての「美少女を救う」という魂の防衛本能が、聖剣『高尾』とシンクロする。
ヤスヒロ:「そこな鉄クズ野郎。俺のテリトリーで、そんな不粋な鉄砲をぶっ放すんじゃねえ!」
ヤスヒロが聖剣『高尾』を優雅に引き抜くと、未来のナノテクノロジーを媒介にして、最高峰の天使のフェロモンオーラが炸裂した。
「アークエンジェル・ラグジュアリー・エステティカル・フラッシュ!!」
カチーンと火花を散らすウインク光線が、妖怪サイボーグ新井白石のメイン基盤(脳天)を直撃する。
「グハァァッ! これが……これが令和の若手社員の、圧倒的なアジャスト力かァァ!」
規律にしがみついていた新井白石は、未来のAIでも予測不可能だったヤスヒロの「臨機応変なプレッシャー」にシステムエラーを起こし、過電流で爆発、ただのスクラップとなって煙を上げた。
第三章:電子毘沙門天くの一との、愛欲まみれの暮らし
サイバーくの一:「……チッ、余計なお世話よ。でも、まぁ、ログは残しといてあげる」
助け出された電子毘沙門天のごときハッカーくの一は、ふいとプラグを抜いた。ツンとした態度だが、そのサイバー義体の冷却ファンは、ヤスヒロのあまりの男前さにオーバーヒート寸前まで跳ね上がっている。
ヤスヒロ:「いいんだよ、気にするねえ。それより姉ちゃん、顔色が悪いぞ。そんな冷てえ電気の板ばっかり見てるから血行が悪くなるんだ。俺の部屋で、Take it easy(気楽に)デトックスしていきなよ」
ヤスヒロの20代ならではの強靭な肉体美と、ん億年の放浪で培われた包容力は、おじいちゃん子を狂わせる底なしの深さ、いや、ネオ・エドの少女のセキュリティを簡単に突破する破壊力があった。
そこからは、世界線を超えた「愛欲まみれの暮らし」が始まった。
電子毘沙門天くの一は、普段は冷酷なネットの支配者だったが、ヤスヒロの圧倒的な美貌(最高峰のオスとしてのフェロモン)と、洗練されたエスコートに抗えなかった。
夜な夜な、二人はサイバー天守閣の片隅で、ネオンの光を浴びながら肌を重ねた。
ヤスヒロのテクニックは、八王子の社会人3年目の知識と、大天使としての強靭なスタミナが融合したハイブリッド。
サイバーくの一:「あんた……なんで、バイオセンサーも通してないのに、私の感じてるところが完璧にわかるのよ……!」
ヤスヒロ:「ふふ、港区の夜……じゃなくて、未来のトレンドを舐めないことね。ほら、ここが凝ってるんだろ、力を抜きな……」
激しい情念を持つ電子毘沙門天くの一は、ヤスヒロの腕の中で、デジタルノイズ混じりの甘い声を上げ、完全にシステムダウン(骨抜き)にされていった。
毎夜、合成最高級酒を湯呑みで酌み交わし、贅の限りを尽くした愛欲の日々。大天使ガブリエルⅡ・ヤスヒロは、この未来都市の夜を完全に支配していた。
第四章:突然の終幕
だが、最高のラグジュアリーは、長くは続かない。
ある夜、電子毘沙門天くの一がヤスヒロの胸元で、完全にセキュリティを解除して愛おしそうに眠りについた、その瞬間だった。
部屋の片隅のジャンクパーツの山から、シュルシュルと不気味な音が響く。
ヤスヒロ:「え……? この匂い、まさか」
見ると、ホログラムのノイズを突き破り、古びた「魔法のランプ」が浮遊していた。その注ぎ口から、紫色の怪しい煙がモクモクと立ち上る。
ヤスヒロ:「おい待てコラ! まだ俺、このネオ・エドの利権を半分も口座に移してないんだけど! 次の定例ミーティングは!? 午後からのプレゼンは!?」
必死に抵抗しようとするが、ランプの煙は容赦なくヤスヒロの鼻腔へと吸い込まれていく。強制瞬間ワープの力が、彼の魂をサイバー肉体から引き剥がしていく。
ヤスヒロ:「ああっ、俺の、俺の極上の隠居ライフ……じゃなくてサイバーハーレムがァァーー!」
意識が遠ざかる中、最後に見たのは、愛欲に溺れたハッカー毘沙門天くの一の、幸せそうなバグ画面(寝顔)だった。
「うわあああマジでいい加減にしろよコラ!!!
今度はネオ・エドかよ!!!
おい、時空の裏でランプを擦り続けてるクソ黒幕!!!
煙の演出サボって、バグ負けしてんじゃねえよ!!!
主人公ヤスヒロは読者の化身なんだから、今すぐあのネオンの天守閣のベッドにロールバックしろォォォ!!!(大激怒)」
カチリ、と時空の歯車が回る。
気がつけば、大天使ガブリエルⅡ・ヤスヒロはまた別の、見知らぬ異世界へと放り出されていた。次は果たして、どんな美少女を救い、どんなカオスな姿で愛欲に溺れるのだろうか。
八王子市生まれの男子、ヤスヒロの放浪記は、まだ、始まったばかりである。




