規格外のポンコツスキル『空間転移のゴミ拾い』で追放された俺、なぜか神々の王座を丸ごとパクって「全宇宙の支配者」に成り上がってしまった件について~最弱職だと追放された件~
【大正浪漫・帝都帝國劇場。歌劇の華「サクラ姫」の孤高をアジャストせよ】
カチリ、ピピッ、ジーーーー。
優美なバイオリンの旋律と、鼻を突く高級な白粉と蒸気機関の煤煙の臭いで彼は目を覚ました。
大天使ガブリエルⅡ:「う……ここはどこだよ!? ネオ・シブヤは? シャフィちゃんとのエモーショナルなサイバーナイトは!?」
気がつくと、彼は赤い絨毯が敷き詰められた、大正浪漫あふれる帝國劇場の最上階バルコニー席に置かれた、ベルベット調の豪華なソファに横たわっていた。
手鏡代わりに近くの真鍮製オペラグラスを覗き込むと、そこに映っていたのは――
背中に神々しく発光する巨大な六翼を生やし、漆黒のハイテク南蛮胴具足をスマートに着こなした、超絶クールな姿。
大天使ガブリエルⅡ:「よし! 読者の化身として、20代最強のイケメン『大天使ガブリエルⅡ』のままだな。中身も八王子生まれの俺自身。バッチリ若さをキープしてるぜ。……だけど、このレトロでモダンな雰囲気、今度は大正の帝都か!?」
バルコニーの影には、袴に身を包み、絢爛豪華な大輪の桜の刺繍が施された衣装を纏った、帝都歌劇団のトップスターサクラ姫が凛とした立ち姿で佇んでいた。しかし、彼女の背中からは炎のような暗黒の大正歌劇オーラが立ち上がり、怒りでその瞳は真紅に発光している。彼女こそが、彼が救うべき「羽衣天女」の魂の宿り主であった。
サクラ姫:「遅かったではありませんか、大天使。帝都の平和と歌劇の誇りを踏みにじる無頼漢どもに、私はちょうど怒り心頭だったところですわ!」
第二章:妖怪総書記「臭銀平」と、思想統制の影
そこに立ち塞がるのは、お馴染みの妖怪「臭銀平」。今回は、帝都の空を覆い尽くす「蒸気機関型の監視気球」を従え、人々の自由な芸術や歌劇をすべて規制しようと企んでいた。
臭銀平:「ウオオオォン! 共同富裕ッ! 歌劇や演劇のような華美な娯楽はすべて贅沢であり、健全な精神を乱す異端である! サクラ姫の公演も、すべて私が検閲デリート(発禁)する!」
無数の検閲レーザーが、サクラ姫が愛する舞台の楽譜や脚本を、次々と『質素倹約の白黒の軍事報告書』に変えていく。彼女の「命を懸けた芸の華」が人質に取られたようなものだ。
大天使ガブリエルⅡ:「チッ、力任せに聖剣を振ったら、歴史ある帝國劇場や彼女の大切な衣装まで巻き込んで消しちまうな……。よし、ここは力押しじゃなく、現代の『社会人3年目のブランディングアジャスト術』でいく!」
大天使ガブリエルⅡは、あえて聖剣『高尾』をサッと鞘に収め、両手を上げて臭銀平の前に進み出た。
大天使ガブリエルⅡ:「おい、そこの偉い総書記さん。あんたの目的は『国民の戦意と規律を高め、統制の取れた社会を作ること』だろ? だったら、民衆に愛されるサクラ姫の舞台を無理やり中止にして暴動を起こさせるより、あんたの『理想とする規律ある世界』を彼女の圧倒的な演技力で超劇的なプロパガンダ劇として演じてもらう方が、よっぽど民衆の心を掌握できるんじゃないか?」
臭銀平:「……何だと?(監視気球のレンズがピクッと大天使ガブリエルⅡに集中する)」
大天使ガブリエルⅡ:「ただ禁止するだけじゃ、民衆は地下の闇劇場に潜るだけだ。彼女のカリスマ性で『ルールを守る美徳』を美しく上演すれば、あんたの面子も保てるし、完璧な共同富裕だろ?」
サクラ姫:「なっ……ちょっと大天使、私にそのような心なき劇を演じろとおっしゃるのですか! 芸術への冒涜ですわ!」
大天使ガブリエルⅡ:「静かにしてろ、サクラ姫。これは大人のアジャスト(妥協点を探る交渉)だ」
大天使ガブリエルⅡの放つ、20代とは思えない理知的で圧倒的な「ビジネス・オーラ」と、ピンチをチャンスに変える冷徹な目。臭銀平のシステム(AI脳)が、大天使ガブリエルⅡの提示した「完璧な文化統制マーケティング提案」に、わずかな処理遅延を起こす。
臭銀平:「……チッ、論理的なタイアップだ。……認めよう。だが、即刻その試演会を見せろ!」
監視の光が一瞬だけ緩んだ。その刹那――!
大天使ガブリエルⅡ:「交渉成立!――ってのは嘘だよバーカ! 隙あり!」
大天使ガブリエルⅡは六翼を爆発的に羽ばたかせ、光速で突進。聖剣『高尾』から、物理的な一撃ではなく、舞台を縛っていた検閲気球の蒸気制御タワーだけを正確に消し飛ばした!
「アークエンジェル・アジャスト・スラッシュ!!」
バチバチバチ!とシステムがショートし、臭銀平は自慢の監視網を自ら逆流した高蒸気で爆破させ、苦悶の声を上げながら帝都の闇へと沈んでいった。
第三章:サクラ姫との、プレッシャーをほぐすデトックスの夜
「さあ、お姫様抱っこでこの重苦しい帝都から連れ出してあげるよ」
大天使ガブリエルⅡは、腰を抜かしていたサクラ姫(羽衣天女)を左腕で優雅に抱き上げ、自身の隠れ家である『浦和別邸』へと帰還した。
いつもならすぐに「愛欲まみれ」といくところだが、今回の大天使ガブリエルⅡは、帝都の期待と検閲の重圧で押し潰されそうになっていたサクラ姫の前に、そっと温かいお茶(八王子特産・桑の葉茶)を差し出した。
サクラ姫:「……なぜ、私を助けたのです。大天使よ、私は帝都の華、完璧でなければならない男装の麗人。誰かに弱みを見せることなど許されない身……。私を抱けば、あなたも私の背負う重荷に潰されますわ……」
大天使ガブリエルⅡ:「完璧? 違うね。君は誰よりも舞台を愛しているからこそ、一人で帝都の看板を背負って必死に強がってただけだ。頑張りすぎなんだよ。ほら、Take it easy(気楽にね)。今日くらいは、歌劇団のトップスターじゃなくて、ただの『サクラ』として甘えなよ」
これまでのどんな帝都の貴族やファンよりも、自分の「華やかな仮面の裏にある本当の孤独」を正確に見抜き、大人の余裕で包み込んでくれる22歳の大天使ガブリエルⅡ。
サクラ姫の瞳から、ツンとした高慢な光が消え、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる。
サクラ姫:「あ、あなた……なぜそんなに、私の、いちばん隠したかった弱く脆い心ばかり優しく触れるのです……っ、ズルいですわ……」
大天使ガブリエルⅡ:「ふふ、だから言ったろ。俺は君の味方だって」
天守閣の奥、月光が差し込む御簾の陰で、二人は静かに、しかしこれまでにないほど深く魂を重ね合わせた。
帝都の重圧から解放された、本当の意味での心と体のデトックス。大天使ガブリエルⅡの包容力は、ついに歴史の闇に消えるはずだったサクラ姫の心を、完全に救い出したのだ。
第四章:お約束のランプ(不敵な微笑みを添えて)
しかし、夜明け前。
やはり、室内からシュルシュルとあの忌々しい音が響き渡る。
紫色の煙が立ち上り、古びた魔法のランプが浮遊する。
大天使ガブリエルⅡ:「チッ……やっぱり来るか。でもな、今回は怒る気にもなれねえわ。サクラちゃん、綺麗な寝顔で眠ってるしな……」
大天使ガブリエルⅡは、煙に巻かれながらも、今度は暴れることなく、静かに天を見上げて不敵に笑った。
大天使ガブリエルⅡ:「おい、ランプの裏にいる黒幕さんよ。毎回ワンパターンな強制ワープで俺を翻弄してるつもりだろうけど、俺はその度にアジャストして、どんな世界でも美女を救って最高の夜を手に入れてる。次がどんな地獄でも、俺は絶対にアジャストして見せるぜ。だから――楽しみに待ってろよ」
すうっと意識が遠ざかる。
最後に見たのは、安らかな寝顔のサクラ姫の姿だった。
カチリ、と時空の歯車が回る。
大天使ガブリエルⅡの放浪記は、より洗練された「アジャストの知恵」を携えて、永遠に未知の時空へと続いていく。
(完)
よろしければ、続編「規格外のポンコツスキル『空間転移のゴミ拾い』で追放された俺、なぜか神々の王座を丸ごとパクって「全宇宙の支配者」に成り上がってしまった件について
~最弱職だと追放された件~」
を、お楽しみくださいませ。




