21話『別れが来るのに愛す訳』
…でもやっぱり何事も順調には行かないね。
「あの!フィルミアって子の親知りませんか!?
濃いピンク色の髪で…あっお急ぎの所申し訳ありません!」
「ミツル……」
はぁ…はぁ…この辺はあと、11軒、行けなくはない。
その後は貴族としての学習…うぅ勉強は少しやりたくないな…
「あの!フィルミアって子のお母さんを知りませんかっ!
濃いピンク髪でっ!」
「なんだこのガキ!」
はぁ……全然進展がない!!!
分かってた!うん!分かってたよ!数日探しただけじゃ見つからないってのは!!
でも手掛かりも一つも見つからない!!!
「ミツル……」
「あ、フィルミアくん。
お母さんが見つかるようにアリオンくんとアリスちゃん達が調べてくれてるみたいだから安心してね!
絶対に見つけるから!!」
心配はさせない。
もうフィルミアくんは原作でもう充分苦しんだんだ。
これ以上苦しめたくはない!
…母子の二人のすれ違いは見ていて本当に辛かった…っ…!出来ればもうあんなことにはなって欲しくない!!
「……どうしてそんなに探してくれるの?」
「えっ?」
「だって…ボク達…まだ会って数日しか……」
僕は数日以上前から知ってるから!!
……とは言えないな流石に!いや言ってもいいかな?
待ってストーカー扱いは流石に辛いかも……
「ははっ!簡単だよ!」
まぁでも、間違いじゃない答えを僕は持ってるしね。
「……僕がやりたいんだ!」
前世では考えた事なんて一度もない。
何かを背負いたいとも、責任を持ちたいとも思わなかった。
けど、気付いたんだ。
「背負う必要なんてない、って誰に言われても。」
誰に言われても揺るがない、誰も変えようのないその人生の答えを背負う君達のように!
「手放したく無いんだよこの。君達を。」
きっと僕も答えが欲しかったから。
「……」
「えっ!?待って泣かないでフィルミアくん!
お母さんは僕が探すからね!!」
フィルミアきゅん……っ!?
泣かせた!?僕が泣かせた!?
えっ!なんで!?
「……ごめんなさい……
ミツル、ずっと隠してた……」
◆◆◆◆◆フィルミアside◆◆◆◆◆◆
母さんは、ボクをいつも…安心させてくれた。
産まれたばかりで何が味方かも敵かも分からない時に命も気にかけずにボクを助けてくれた。
親鳥にヒヨコがついて行くように、ボクが母さんについて行くのを許してくれた。
「んなー手の掛かるドラゴンなのだ。放置するのだ。
あっ!服を噛むななのだぁ!!!」
毛布を噛みちぎって遊んだり、お風呂に入りたがらなかったりする、手の掛かるボクに毎日のように木の実を分けてくれて、一緒に寝てくれた。
そんな姿が、一番綺麗だった。
「お前、凄くかわいいのだ。」
そう言って鱗だらけの頭を撫でて、いつもボクを安心させてくれる。
それが凄く心地が良くて、嬉しくて、幸せで、増えていく過ちを見過ごしてしまったんだ。
「お前の名前……ミ…アなのだ。」
「?……フィル…ミア?」
「んな?言えないのだ?
…フィルミア…んなーそんなキャラも居たのだ。
まぁ…名前はお前が好きなように決めれば良いのだ。」
ボクの名前はフィルミアじゃなくて…母さんが着けてくれた名前を忘れてしまったこと。
そして…
ボク自身が、母さんに近付こうとしたことだ。
「ねぇ母さんっ!一緒に寝て…いい?」
「…勝手にしろなのだ。」
きっと母さんは…ボクのことを愛玩動物だと思ってたんだと思う。
だから引いた、だから避けた。
愛玩動物が意思を持ってしまったから。
「…いつか離れるのに、なんで近付く必要があるのだ?」
抱き着くボクの身体から抜け出して、そう言いながら母さんが真夜で一人で泣いていたことがあった。
母さんはいつも、ボクが成長する度に悲しそうにしていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
…母さんを見つける為ならボクは、どんなことでもする。
だからね。
見付けたいんだよ、どうしても。
「ミツル……ボクね……本当は……
世界樹の実から産まれたんだ…」
ボクの世界の始まりの人。




