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10 魔王、甘いアイスをたべる

「……ちょっとした、“魔王討伐”です」


 ツノの人はフェイスシートのまま、ゆっくりとこちらを向くのが横目で見えた。


「ああ、そう。大変ですわね……」


 別に気にすることなく、私たちは上質なスパを味わった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 スパが終わって、ぽかぽかの身体がぼんやりとした眠気を醸し出す。


 でも口がちょっと寂しい、おやつが食べたい。

 何も考えずにエスカレーターに乗って一番上の階へと辿り着いた。


 吹き抜けたガラスが天井を覆って、幾千もの星の光を映した。

 部屋も寒色系の光で明るく満ちているのに、不思議と星の輪郭がくっきりと見える。


 その階はマッサージチェアがいっぱい並んでいて、本棚もある。


「あれ?」


 中央の座席に居座っている人に見覚えがある……ラストじゃん。


 私はそばの冷凍庫に入ったソーダ味のアイスキャンディーを手に取って、ラストの方へと歩く。


 無警戒にも読書をしてる……

 1000年ぶりに、いじわるしてあげる。


 「世界が炙られ、人が飢えて嘆いていた1000年間。あなたはずっとこうしていたの?」


 「リリーヴァ……」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 なぜ勇者時代のパーティメンバーが目の前に!?


 リリーヴァはだらーっとわたしの席の肘掛けにもたれかかった。息がかかるような距離に顔がある。


「そのコーラ、どこでもらえるの」


「え、コーラ?」


「うん」


「ああ、向こうでもらえるよ」


 わたしは本棚の近くの冷蔵庫を指差した。


「向こう側なのね……私が来た方はアイスが置いてあったよ」


「へ…へえ。そうなんだ、オイシソー……」


「食べたい?」


「た…べたい…」


 リリーヴァは舐めていた棒アイスを、わたしの口元にそっと近づけた。


「あーん」


「ん……」


 甘くて酸っぱい味が口に広がる。

 わたしはアイスを咥えたままリリーヴァに聞いた。


「おこってふ?」


「怒ってないよ……ラストはかわいいね、ぜんぜん昔と変わってない」


「んん……」


 頭も撫でられ、まるで赤ん坊のように扱われている。


「おいしい?」


「うん……ぷはっ。リリーヴァがどうしてここにいるの?」


「魔王ちゃんを捕まえに来た、でもここにいるのは偶然だよ?」


「ほんとに怒ってない、?」


「1000年間怒ってたら変でしょ……怒ってるのは怖い顔をしたおじさん達だけだよ」


「そうなの」


「うん、でも使命があるからラストを捕まえなきゃダメ」


「やだな……」


「やだか……じゃあゲームしよ」


「なんのゲーム?」


「地下一階のアーケードコーナー。2対2で遊ぼ、負けた方が勝った方のお願いを聞く」


「誰がやるの?」


「私の仲間を連れてくる。ラストの仲間もここにいるでしょ、魔物のお姉様が」

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