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7 銀

「カドリーヌ!

手前いったい何考えてやがる!」


リオンと婚約をしたことを告げると、テレーズは激怒した。


「教会からの独立を宣言した隣国の皇太子の協力は、この戦いにおいて必要でしょう。

それにリオン皇太子は王女の子。

彼と婚姻を結べば王族になることができる。

王位継承権を手に入れるにはこれしかないと思うわ。」


「そいつ自身が王にならずにお前に任せるだなんてどうしてわかる。

下手すりゃ隣国はあたしたちの国の宗主国になるぞ。

あたしは隣国の子どもにこの国をくれてやるつもりはないぜ。」


「そうはならないわ。

13歳のリオンがこの国の支配者になるといえば、民が納得しないのをリオンはわかっている。

いま私たちが国内で力をつけていることを認めたからこそ、リオンは私に手を貸すといったのよ。」


「結婚した後に皇太子がお前を暗殺するかもしれないだろ。」


「私は皇太子をうまく利用して戦いに勝つ自身がある。

テレーズは私の力を信用できない?」


「そういうことを言ってるんじゃねえ。」


テレーズは壁を殴りつけた。


「手前は殺されるかもしれないっていってんだよ。

わかってんのか。」


「今更じゃない。」


「なんだと。」


「私はこの国のために命をかけて戦っている。

あなたもそうでしょう、テレーズ。」


テレーズは少しの沈黙のあと、長い髪をかきあげながら深いため息をついた。


「わかったよ、カドリーヌ。

だが婚約発表はまだ待て。

最も有効なタイミングは少し後だ。

先にこれだ。」


テレーズはスラックスのポケットから取り出したそれを指で弾いて私によこした。

それは我が国の銀貨だった。


「お前がいない間に、屋敷に手紙が届いたんだ。

差出人はわからない。

その手紙は王子の指示で銀貨に銅を混ぜてかさまししてることを密告していた。

罠かとも考えたがな。

カドリーヌが農地の半分を買い占めてからしばらくたつが、王子が金に困っている様子がない。

質を落として発行できる銀貨の量を増やしているってのもありえない話じゃないだろ。

うちの仲間の学者先生はカドリーヌも知ってるよな。

先生は化学に詳しいからな、銀貨を溶かして調べてもらった。

そしたらまさかだよ。

手元にあった銀貨だけでも、そのほぼ全てに銅が混ぜられてた。」


「いま出回っている銀貨はほとんど悪質な銀貨の可能性があるわね。

これをテレーズに知らせることができたのは王室の内部かごく近い者よね。

本当に信用できるのかしら。」


やや不安になるがテレーズはあまり気にしていないようで、「そいつがどんな考えであれ、この情報は使える。」と笑う。


「これが明るみになれば貨幣の信用はなくなり経済が崩壊する。

王宮の金庫の中をごみの山に変えてやれるさ。

フィリップ王子への不信感が高まったところで婚約を発表しろ。

戦争を始めるのはそのときだ。」

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