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いい夫婦

 11月22日に入籍した俺たちは、地元のすぐ隣町にある一軒家に引っ越した。牡丹も俺も仕事はそのまま続け、月に一度は休みを合わせ、必ずデートに出掛けた。ただ正直言って見える景色なんかどうでもよくて、無邪気にはしゃぐ牡丹だけが傍にいればいい。俺は色の無い世界で生きているから、牡丹の表情だけで満足できる。


 デート帰り、牡丹は何気ない感じで俺に話しかける。


「ねぇ秋義君」

「何?」

「私たちって理想の夫婦になれてるの?」

「どうして?」

「前に言ってたでしょ? いずれは子供が欲しいって」

「うん」

「だから理想の夫婦になるために、子供つくらない?」


牡丹はいつも以上に甘い囁きをする。背中から柑橘系のコロンの匂いがして、俺の花を掠めてく。そんな牡丹の言葉と仕草に踊らされ、俺は牡丹をホテルに連れ込んだ。看板にはグズマニアの花がデザインされていた。

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