俺が側にいる
「ハァ……ハァ……!早く逃げないと!」
スノウは魔物に追われていた。走っても走っても、ずっと追いかけて来る魔物達。やがてその差は縮まり……。
「イヤ、離して!離してよぉ!」
「ギャャャス!!」
スノウは魔物に捕まってしまう。抵抗するがまるで歯が立たない。そして魔物は牙を剥き出しにして……。
◇◇◇
「うわぁぁぁぁ!!」
「いきなりどうした!?悪い夢でも見たのか!?」
スノウが寝床から飛び起き、既に起きていたオルガは驚いた様子で彼女を見つめている。
「……すみません。顔を洗ってきますね。」
スノウは外に出て顔を洗う。ふと水面で顔を見たら、その顔は真っ青だった。
「またあの夢だ……。やっぱり、試験はダンジョンでやるのかな……?嫌だよ……怖いよ……。」
以前の恐怖で泣き出したスノウ。朝早くだったからか、彼女の涙を見た者は誰も居なかった。
「フンッ、フンッ!!」
「何してるんですか?」
スノウが宿屋の外に出ると、オルガが大木に拳を打ち込んでいるのを発見した。
「ダンジョン探索の為に、少しでも鍛えておかないとな。」
「なるほど。それでは私は道具を買ってきますね!」
「あー、ちょっと待て、俺も付いてくよ。」
「えっ?」
「必要な道具についても知っておきたいからな。もしもの時に役立つかもしれない。」
「そういう事なら一緒に行きましょう!楽しみだなー!」
「ここが道具屋?受付の隣じゃないか。今まで気づかなかったぞ。」
「結構バタバタしてましたから。さ、入りましょう!」
協会に行き、受付の隣にある道具屋に向かう二人。中に入るとクリスがカウンターに立っていた。
「へいらっしゃい!クリスの道具屋にようこそ!お安くしとくよ!」
「やっぱり帰る。スノウはどうする?」
「ちょ待って待って!貴方達ダンジョン探索の道具を買いに来たんでしょ?ここで買ってってよー!」
オルガはすぐに店に背を向け立ち去ろうとするが、スノウが捕まえてもう一度店に連れてきた。
「はい、買わせて頂きます。なので安くして下さい!」
「それは駄目です!ウチも商売だからね!」
「残念です。それでは、ダンジョン探索でのオススメ商品って無いですか?」
「あるわよ!はい、これ!」
クリスは道具箱を取り出し机に置く。その中にはポーションや白マップ、幾つかの小道具が入っていた。
「はい、初心者用ダンジョン探索セット!基本的なポーション、地形や敵の記録に使う白マップ、後はナイフに煙玉とかが一纏めになってます!」
「それ下さい!おいくらですか?」
「5000ゴールドになります!今の貴方達なら、問題無いわよね?」
「お願いします!」
代金を支払い、道具を受け取るスノウ。お礼を言って道具屋を出ると、オルガはスノウに話しかけた。
「スノウ。お前ダンジョンに何かトラウマがあるのか?」
「へっ!?……無いですよそんなの。お宝ザクザク拾えるといいなー。」
「何かあるだろ。昨日の様子がどうもおかしかったから、今朝お前の後をついていったんだ。」
「えっ……。」
「訳ありなのは知ってるから、無理に聞くことはしないが……。今は俺がいる。一緒にやれば何とかなるさ。張り切って行こう!」
「オルガさん……。」
スノウがオルガを見ると、彼は照れくさそうな顔をしていた。
「さ!早く帰って特訓特訓!まだまだ不安だから、少しでも強くならないとな!」
「……ありがとうございます。私、頑張ります!」
オルガは顔を真っ赤にしながら走り出す。スノウも後を追いながら、一緒に宿屋に帰るのだった。




