ダンジョン研修?
事件を解決してから一ヶ月後。スノウとオルガは一日がかりでクエストを受けていた。内容はウルフ退治。Eランクの依頼である。
「ぴー。」
「スライムさん!しかもあんなに!」
「手伝ってくれ!これじゃあいつまで経っても終わらないぞ!オラァ!」
「ギャウウ!!」
日は落ちかけており、そろそろ日没になる頃。スノウはスライムを攻撃しているが、オルガは一人でウルフと戦っていた。ウルフは鋭い爪と牙を持った魔物。オルガはその爪を躱しながら、がら空きの腹に攻撃を仕掛ける。
「でも、私はノルマ達成しましたよ?一人で5体、合計10体倒せばいいって事でしょう?」
スノウの横にはウルフが倒れている。所々雪に埋まっており、逃げられないように重石となっていた。
「それに、ここは俺がやるって言ったのはオルガさんですよ!スライムを倒したら入りますから、頑張って下さい。」
「クソ、あんな事言うんじゃなかった……。ハァッッ!!」
「ギャン!」
「さあこれからだ!相手になるからかかってこい!!」
「わ、ワウゥゥゥーン!」
オルガはウルフを殴り倒し、残りのウルフにも向かって行ったが、その迫力に驚き、みんな逃げ出してしまった。
「……どうすんですかこれ。クエスト達成になるんですか……?」
「まさか逃げるとは思ってなかった。反省している。」
仕方なくこのことを依頼主に報告すると、またウルフが来た時に残りのノルマを追加で達成すればいいことになった。二人は依頼主に頭を下げ、その場を後にする。
「依頼主さん、優しい人で良かったですね。」
「次が大変になるが、これは俺の責任だ。自分で何とかするよ。」
「私が手伝えれば、達成出来ましたよね。すみませんでした……。」
「いや、今回は俺の責任さ。気にしないでくれ。」
二人は協会に入り、クエストの結果をクリスに報告する。
「あちゃー。やっちゃいましたね。一応報酬はお渡ししますが、倒せなかったウルフの分は減額!次はきちんとこなすように!」
「申し訳ない。次は気をつけるよ。」
「あっ、そうそう!伝える事があるんだった!」
報酬を受け取るオルガ。自分の道具袋にしまう途中にクリスが声をかける。
「何かあったんですか?」
「いやー!君達大分クエストをこなしてるからね、そろそろ昇格試験を受けても良いかなって、マネージャーが言ってたよ!」
「昇格試験!?本当ですか!?」
「うん!だからこれを渡しておくよ!」
そう言ってクリスが渡したのは、一枚の紙だった。
「ダンジョン、研修?」
「そうよ!これからクエストとか、自由な探索とかでダンジョンに潜る機会がきっと来る!その時のために、ダンジョンの攻略法を勉強するといいよ!」
「悪い。これと昇格試験にはどんな関係があるんだ?」
「内緒です!それは当日分かるから楽しみにしててね!期限は今から一週間後!考えておいてねー!」
宿屋へ帰ってきた二人は、ダンジョン研修のチラシをじっと見つめていた。
「どうしましょうか……。やっぱり行かなきゃ駄目ですかね……?」
「ダンジョンか……。俺は悩むな。ダンジョンは洞窟とか地下にあるんだろ?逃げ場が無いと探索どころか命が危ない。まだ早い気もするが。」
「……いえ!ダンジョンって言えば未知の世界!どんなものが眠っているか、楽しみじゃないですか?やっぱり気になります!」
「どうしたんだお前!?いきなりテンションが上がってきたのか?……まあ確かに魅力的だが、何が起こるかわからないのはやはりリスクだ。行くなら準備は万全にしなければな。」
「……それでは!」
「興味はある。経験にもなるし、一度行ってみるか。」
「……やったーー!お宝!お宝!」
何故か急にはしゃぎ出したスノウを横目に、オルガはチラシに再び目を戻す。
「ダンジョン探索か……。今のうちにもっと鍛えておくかな。」
彼は一人でつぶやき、早めに寝床に入る。彼の目には、スノウがお宝の事を妄想している様に見えていた。




