1/2
赤と青
「青が好き。」
君はそう言って僕を見る。
「僕は赤が好きだ。」
「奇遇だね。私はちょうど赤が嫌いだったの。」
君はそう言ってクスクス笑う、どこか楽しそうにクスクスと。
「ほんとに奇遇だね。僕も君と同じでちょうど青が嫌いな気分だったんだよ。」
「気が合うね。」
「気が合うな。」
赤が嫌いな君と、青が嫌いな僕。
偶然のような必然のような、そんな二人。
いったい彼らはなぜこんな会話をしているのか。
いったい彼女達は何者なのか。
こんな街の真ん中で、人が濁流の様に流れる交差点の真ん中で。
すれ違うはずの、当たり前にすれ違い、そして過ぎ去っていくはずの二人が。
人は「コレ」を何と言うのだろう。
偶然だろうか。それとも必然だろうか、もしくは軽々しくも「運命」とでも言うのだろうか。
赤い女と、青い男。
この二人が出会った事実は。一体何と言うのだろうか。