8.父と娘②
「‥‥何故、そうも頑なに他人を寄せ付けないのだ、お前は」
疲れたように言う父は、すでに諦めているのでしょう。それはそうです、私はこれまで滅多に我を通さず来ましたが、己の求めることは誰が何を言おうときっちり通してきたのですから。
目を伏せることしかできませんでした。他人を寄せ付けたくないのは、目的のために邪魔だから。けれど私の目的は、遂げるまで誰にも告げることはできない。邪魔も、助けも、どちらもお断りです。
「‥‥他人を使うのも、王族としての責務であるのだぞ。‥‥そのようなことは知っておろうが」
「分かっております。けれど、私には傍近く仕える誰かなど必要ない」
下手に誰かがいれば、私は騙してでも殺してでも、邪魔立てしないように処理してしまうでしょう。という事実は告げませんが。
「‥‥近衛に上げる者は決まっておる」
「それは誰ですか?その誰かよりも私は強いでしょう?」
苦々しい顔を見るだに、父にも分かっているようです。
父に対してだけは率直に話そうと心がけているせいもありますが、私は鼻持ちならないことばかり言っているのでしょう。ここに父の騎士がいなくてよかった。彼の息子がその第一候補であることも私は知っています。流石に息子をないがしろにされたと知れば、いくら私が主にして国王の娘だとて、捨て置けないでしょうし。
けれど、私には最高の師があるのです。まして私は、鍛錬から逃げたこともサボったことも泣いて謝ったこともありません。ついていけないほどの厳しい鍛錬をあの師は課しませんし、魔の強い子供にありがちな身体の弱さも、私にはありませんでした。
結果、同じ年頃の子供からは飛び抜けて、騎士見習いということは成人前の子女ですから、兄と同年代の者たちよりもわずかですが、私は強くなりました。ちなみに兄は、鍛錬から逃げサボり泣いて謝る常連ですから、まじめな子供ならば私と同年代でも勝てるでしょうね。まぁ、国王の子供に本気で戦いを挑むような騎士見習いもないでしょうけれど。
それはともあれ。
やがて父は苦々しくも重々しい息を吐きました。
「‥‥まぁ、いいだろう。いや、よくはないが、お前がそう言う以上、何を言っても無駄なのだろうな」
「はい」
心苦しくは、思っています。