23.塔を駆け登るその先には
足取りも軽やかに、塔の内部を登っていきます。
塔は細く狭く、そして高いのです。誰が何を求めて如何にしてこの塔を建てたのか、知る者は最早誰もいません。ところどころ、ぽかりと開いた明り取りの隙間から入る程度の星の光でも、かろうじて向こう側が見える程度に狭いのです。足場はほとんど身体の幅程度で、一歩間違えれば地面まで真っ逆さまでしょうけれど、私の脚は鈍りもしません。ただひたすらに上へ、上へと。
らせんを描いて上へ向かう階段のほかには何もない塔の内部を、ひたすらに私は駆け上りました。上へ、上へと。
ぐるぐる回って目が回ります。けれどそれすら楽しくて、嬉しくて、駆け上る私の顔にはいつしか満面の笑みが浮かんでおりました。
ひたすらに登り続けて、身体は疲労を訴えましたがそれを無視して、やがて私は最上階に辿り着きました。と言ってもこの塔には、地階と最上階と、あと屋上しかないのですが。あとはそれをつなぐ階段だけです。本当に、誰が何を思って何を目的に、この塔を建てたのでしょうね。
「‥‥ようやく、辿り着きました」
円形の空間、その中央で、祈りを捧げるように俯いたそのひとを目にして、私は会心の笑みを浮かべました。
「‥‥約束を、果たしに参りました」
そのひとに見苦しい様など見せられない。
私は息を整えて、身なりもできるだけ整えて、それからまっすぐにそのひとの正面に立ちました。
あぁ。この瞬間をどれほど待ち望んだことか。
「――わが姫。
数百年の眠りより、覚めて‥‥」
そして私を見て。




