↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
32/44

第31話:ついに前線へ行ける! 2

 「この武器、カッコよすぎるよ! お姉ちゃん、これ私にくれるの?」


 蔡思琴は頷いた。


「そうだよ! これで、私がどうしてあなたに『戚』を使って訓練させていたのか分かったでしょ?」


 蔡思琴が言い終えるよりも早く、妤玟は彼女のもとへ駆け寄り、強く抱きしめた。


「ありがとう、お姉ちゃん! 絶対に大切にするから!」


 蔡思琴は妤玟の頭を撫でると、二人を優しく見つめながら言った。


「ほら、二人とも早く休みなさい。私たちは明日には前線へ向かうんだから。無理をして疲れすぎないようにね」



 そして、時間はあっという間に翌日へと移った。


 三人は二頭の黒馬に乗り、前線へ向かって全速力で駆けていた。


 奕德は前方を見つめていた。


 その心臓は、馬の足音と同じように激しく鼓動していた。


 だが、それは恐怖によるものではない。


 再びあの紛争武士と会える。


 そして、あいつを斬り殺したい。


 その思いが、奕德の胸を激しく高鳴らせていた。


 奕德は、今の妤玟が一体何を考えているのか少し気になり、振り返って彼女の表情を見た。


 しかし、そのときの妤玟には他のことを考える余裕などまったくなかった。


 今はただ、吐きそうになるのを必死に我慢するだけで精一杯だった。


 妤玟の顔色を見た奕德は、心配そうに尋ねた。


「大丈夫か? 顔色がひどく悪いぞ」


 妤玟は苛立ったように奕德へ言った。


「ちょっと頭がくらくらしてるだけ。別に何ともないよ」


 妤玟がそれ以上話したくなさそうなのを見て、奕德はそれ以上尋ねることをやめた。


 ただ、馬をさらに速く走らせ、前線へと急いだ。


「うぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


 妤玟は今日の朝食をすべて吐き出してしまうと、ようやく少しだけ体調が戻ってきた。


「本当に大丈夫なのか? どうしてこんなに吐いたんだよ!」


 奕德は妤玟の背中を優しく叩きながら、心配そうに尋ねた。


 妤玟は苦しそうに地面から立ち上がると、弱々しく奕德に身体を預けた。


 そして、しばらくの間、一言も口にすることができなかった。


「早く行くよ! 颶風騎士がもう私たちを待っているから」


 蔡思琴は妤玟に一杯の水を渡しながら、険しい表情で言った。


 二人は蔡思琴の表情が少し険しくなっていることに気づき、察したように会話をやめた。


 そして、大人しく彼女の後をついていき、李建復のテントの中へ入っていった。


 そこでは、彼が一枚の書類を見つめながら、何かを考え込んでいた。


 二人がやって来たことに気づくと、李建復は笑顔を浮かべ、手にしていた書類を置いて二人に声をかけた。


「久しぶりだな、二人とも。微風遊侠から聞いたぞ。この一ヶ月でかなり成長したそうじゃないか!」


 妤玟は嬉しそうに話した。


「そうだよ! 私たち、風の兎を捕まえることに成功したんだよ! すごいでしょ?」


 李建復は笑いながら妤玟に言った。


「それは本当にすごいな! 俺まで少し感心してしまったよ。たったこれだけの短い期間で、ここまで急激に実力を伸ばすとはな。本当に、若者の成長には驚かされるよ」


 しかし、蔡思琴は怒った様子で李建復に言った。


「あなた、本当にあれをやるつもりなの? 他にもっと適任な人はいないの?」


 李建復は笑顔を消し、真剣な表情で蔡思琴に答えた。


「お前だって分かっているだろ。俺たちにはもう選択肢がない。ほとんどの遊侠は、あの時の待ち伏せで死んだ。今の俺たちの国には、出動させられる遊侠が本当にほとんど残っていない。お前だって望んでいないことは分かっている。それでも、彼ら自身が選んだことなら、やらせなければならない」


 蔡思琴はなおも何かを言おうとした。


 しかし、李建復に制止されてしまった。


 蔡思琴はため息をつくと、仕方なくその場から退出した。


 李建復は蔡思琴が出ていったのを確認すると、真剣な表情で二人に言った。


「お前たちには、まだ選択する機会がある。今すぐ戻れ。俺は若い二つの命が、こんなところで死んでしまうのを見たくない」


 しかし、妤玟は強い意志を込めて李建復に言った。


「私たちは、とっくに犠牲になる覚悟を決めているよ。だから、復讐を成功させるまでは絶対に引き下がらない。おじさん、もう私たちを説得するのはやめて」


 奕德と妤玟が固い決意を込めて頷くのを見て、李建復は続けた。


「今、お前たち二人に重要な任務を与える。この任務は非常に危険だ。お前たちが二度とここへ生きて戻れない可能性もかなり高い。それでも、帰らないというのか?」


 二人は答えなかった。


 だが、その強い眼差しがすべてを物語っていた。


 李建復はため息をついてから、静かに言った。


「分かった! それなら、お前たちに与える最初の任務は、敵軍の陣地へ向かい、奴らが一体何を秘密裏に計画しているのかを調査することだ」

もし私の作品を気に入っていただけたら、ぜひ星をつけて応援していただけると嬉しいです!


星をつけていただけたら、とても励みになります。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。