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空手バカ一代と行く、JDまどかの心霊探索ツアー  作者: AKTY
第9話 またぐなよ!異界との境界線―町のオバケ踏切編―

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第9話―5 オカ研はオバケ踏切にどう向き合うか?

 昼休みのうちに(まどか)省吾(しょうご)を引き連れて部室に戻ってきた。ふたりともこの日は3コマ目が空いていたので時間の余裕がある。省吾も加えて話の続きをしようと円は考えていた。


 とりあえず昨日の出来事についてあらためて省吾に説明した。当然彼は要領を得ないといった表情をしているが、それはまあいつものことなので気にしない。問題はこういうことを踏まえて、じゃあどうするか?だ。俺たちオカ研がぁ、話をしてそれで終わりというわけにはいくまい。


「それじゃあ行ってみる?」弥幸(みゆき)がいつもの軽いノリで言った。


 そのオバケ踏切とやらを実地に確認しないとな、とは円も思っていた。それをオカ研での初仕事とするのもいいだろう。しかし問題はその場所である。弥幸も言っていたが、踏切というのは怪異待ちするには適さないところにある。特にこの踏切、検索してみたが住宅地が近く、人通りもそこそこありそうだ。


「でもここってみんなで行くのはちょっとアレじゃないですか?あんまり長居できない感じっていうか」


「うん、まあそれはそうだね」弥幸は頷くが、それで諦めるということではないらしい。「でもさ、あんまり遅い時間だとマズいけど、明るいうちなら逆にいける気がするんだよね」


「どういうことです?」


「学生が集まって、例えば撮影したり話し合いしたりしてたらさ、なにかの調査とかサークル活動だろうって見てもらえるんじゃないかなあ。ひとりで張り込むよりはずっとまともに見られるような気がするよ」


「ああ、なるほど」それはたしかにそうかもしれないと円は思った。集団であることが逆に安心感を与える場合もある。ひとり踏切に佇む謎の人物よりは、資料片手にあれこれワイワイやっている若者の集団のほうがまともに見えるに違いない。


「うん、だからいまからみんなでさ、ちょっとお出かけしてみようよ」弥幸はニコニコ笑いながら提案した。笑ってはいるが、そこからはもう揺るぎようのない鉄の意志を感じる。彼はどうあってもその場へ向かうだろう。


「まあ午後の授業はないんで、別にいいですけどね」などと円はニュートラルな態度を装った。本当はこの流れ、望むところである。「どうします、最寄りの駅まで電車でいきますか?私は今日原チャですけど」


「そうだね、みんなで電車で向かおうか⋯⋯あ、そうだ、勝手に決めちゃったけどコリンちゃんと有明くんは大丈夫?行ける?」


「だいじょ〜ぶで〜す」凛子(りんこ)は乗り気かどうかは関係なく、弥幸の誘いだから明るく応じた。


「私も大丈夫です」省吾も応える。


「よ〜し、それじゃあさっそく出発するとしようか!」勢いよく立ち上がる弥幸。他の者もそれに続く。


「あっ!」背後から声がした。省吾である。「ちょっと待ってください。着替えますから」言いながら荷物をゴソゴソやりだす。


 着替える?ああ、いつものか。そうだよね、現地に行ったら着替える場所ないもんね――円の脳裏にその光景がよぎる。住宅地の踏切付近でなにかしらの調査を行う大学生たち。その中にひとり、白く眩しい空手着姿の男がいる⋯⋯


「ああっ!ダメダメ、それはダメだよ有明くん!」円は慌てて制止する。いかん危ない危ない。学術調査団が一瞬でなにか意味のわからない集団に変化してしまったじゃないか。そんなのどんな言い訳も思いつかねえよ!


「しかし心霊スポットに行くということでしたら、もしものことがあるかもしれませんし」省吾はあくまでもボディガードとしての職責を考えているようだ。


「大丈夫、今日はそんなガッツリ探索じゃないから。町の人みんなが利用する踏切を見物するだけだから」円は必死で押し留めた。近隣住民に通報でもされたら事である。問題になってしまう。円の自意識はそれを決して許さない。


「そうですか」なんとか省吾も納得したようだ。すでに取り出していた道着を再び荷物に納める。


 これには凛子もホッとした。空手着姿の省吾を連れて駅へ行き、そこから電車に乗り込むなんて⋯⋯危ないところだった。離れていればいいだけだが、きっと弥幸は気にもせずに省吾のそばに立つだろう。するとその横には凛子が立たねばならない。よかった⋯⋯円ちゃんグッジョブ!凛子と円の友情ポイントが密かに1増加した。


 そんなふうに人知れず結束を固めたN木オバケ踏切調査団がいま、颯爽と現地へと赴くのであった。



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