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CODE:0(コードゼロ) 〜公安局の採用試験で出会った女子たちは、レイをハックしたいらしい(コイアン)〜  作者: にめ
公安学校編11:拘束脱出訓練

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LOG.206 観察層の心臓部(Core of Observation)

LOG.206 観察層の心臓部(Core of Observation)


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### ◆ 静まり返った通路


再会の温もりがわずかに残る中、冷たちは封鎖区域のさらに奥へと進んでいた。照明の一部が落ち、通路は半ば闇に沈んでいる。湿った金属の匂いが鼻をかすめ、足音が乾いた響きを返す。空調の微かな唸りだけが耳に残り、息を潜めるほどの静寂が続いていた。


さくらがそっと冷の袖をつまみ、まつりがわずかに眉を上げる。


> さくら「……ちょっと、怖いね」

> 冷「大丈夫だ。俺がいる」

> 天音「はいはい、さくらちゃんは冷がそばにいると強気になるのね」

> まつり「まったく、こういうときだけ息ぴったりなんだから」


軽口を交わしたその瞬間だけ、張り詰めた空気が少し和らいだ。湊が穏やかに笑い、


> 湊「ふふ、こういうやり取りがあると、少し安心するね」


とつぶやいた。さくらが顔を赤らめ、まつりがそっとため息をつく。そんな微笑ましいやりとりの中にも、不安の影は消えなかった。


> 天音「……妙ね。機械音がしないわ。通常ならドローンの巡回があるはずなのに」

> 冷「訓練制御が止まってるのか……それとも、誰かが止めたのか。」


まつりが壁の端末を操作する。モニターにはデータの断片が浮かんだが、ほとんどが読み取り不能の文字列で埋め尽くされている。


> まつり「アクセス制限……通常の公安プロトコルじゃないわ。外部コードが混じってる。」

> 冷「外部……。訓練施設の内部システムに、外部アクセスなんてあり得るのか?」

> まつり「本来はあり得ない。でも……誰かが裏で繋いでるなら別。」


冷は足を止め、無言で通路を見渡した。遠くに赤い非常灯が点滅している。異様な静けさの中に、かすかな機械の唸りが混じるような気がした。


> 湊「……なんだか、ここだけ時間が止まってるみたいだね」

> さくら「……うん。空気が、重い……」


冷は短く息を吐き、視線を前に向けた。


> 冷「進もう。ここを抜ければ、制御中枢だ。」


---


### ◆ 観察層中枢への扉


通路の奥に現れたのは、厚い金属の扉だった。通常の訓練設備とは明らかに異なる重厚な造り。錆びた匂いと油の焦げた臭いが混じり、足元には工具の擦れ跡が残っている。


> 天音「誰かが……ここをいじった形跡があるわね」

> 冷「訓練区域の設備に触れるのは、教官クラスだけのはずだ」

> まつり「なのに、ログが残ってない……」


そのやりとりの最中、さくらが扉を見上げて小さくつぶやく。


> さくら「……なんか、冷たい……怖いけど、でも……ここ、行かなきゃだよね」

> 冷「ああ、行こう。一緒に。」


さくらがほっと笑い、天音が小声で「仲良すぎ」と呟く。まつりが頬を膨らませて、わざとらしく咳払いをした。


> まつり「……ほんと、こういう場面でもイチャつけるのね」

> 冷「ち、ちが……!」

> 湊「ふふ、いい雰囲気だと思うけど」


その空気のあとで、中央には刻印のように文字が浮かび上がっている。


> 天音「……“OBSERVATION LAYER CONTROL”?」

> まつり「観察層……制御室?」

> 冷「名前だけで嫌な感じがするな。」


湊が扉に手を触れると、かすかに電流のような反応が走った。


> 湊「うっ……!」


彼は手を引き、手袋を見つめた。静電気のような火花が消えていく。


> 天音「反応した……セキュリティ認証が残ってるのかも」


扉横のパネルが一瞬だけ点灯し、“ADMISSION ERROR 02”という表示が浮かぶ。冷とまつりが同時に画面を覗き込む。


> まつり「……このコード、また出た。候補生データの二重登録……」

> 冷「前にも見たな。公安試験の時……。」

> 天音「つまり、ここにもそのエラーが存在してるのね。」


冷の表情が固まる。訓練用施設で、なぜそんなログが出るのか——説明がつかない。


> 冷「誰かが……俺たちを“複製”してる?」

> まつり「正確には、行動データをコピーして比較してるようね。」

> 湊「……まるで、僕たちの反応を試してるみたいだ。」


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### ◆ 異常ログの発見


まつりが解析を続けると、破損したログの中に断片的な文章が表示された。天音とさくらがその背後から覗き込み、冷は肩越しにディスプレイの光を見つめた。


> さくら「まつりちゃん、何かわかりそう?」

> まつり「今、読み取ってる……ノイズが多いけど、データ自体は生きてるみたい」

> 天音「こういうの、あなたの得意分野でしょ?頼んだわ」

> まつり「……当然でしょ」


彼女が小さく胸を張る。さくらが思わずくすりと笑い、冷はその穏やかな空気に短く目を細めた。


> さくら「まつりちゃん、かっこいい……」

> まつり「ふ、ふん……いつもは冷が助けてるけど、今日は私の番よ」

> 天音「はいはい、頼もしいこと」


そんなやりとりの合間に、モニターが微かに明滅する。


> 『Comparative Emotion Analysis – Phase 4』

> 『Candidate Rei Saiga – Observation layer sync: active』

> 『Emotion correlation value: 97%』


> 天音「感情分析……? 比較データ?」

> まつり「ええ。“同一候補生の感情データ比較”。どういう意味か分かる?」


冷は短く息を吐いた。


> 冷「つまり、“もう一人の俺”がいる……ってことか。」


湊がゆっくりと頷く。表情には驚きよりも、どこか悲しげな静けさがあった。


> 湊「訓練の記録を使って、心の動きを再現してるんだ。僕たちの“反応”をデータにして。」

> 天音「誰の命令で……そんなことを?」


まつりが首を振る。解析データの奥には“管理者不明”の文字が点滅していた。


> まつり「アクセス権限が空欄。つまり、誰にも属してない。」

> 冷「……無人で動いてる?」

> 天音「いいえ、“誰か”が手放した可能性もあるわ。意図的に。」


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### ◆ 不穏な映像


突如、奥の壁面モニターが光を放ち、古い監視映像が再生された。ノイズの走る映像の中には、五人の姿——冷、天音、まつり、湊、さくら。だが、どの顔にも感情がない。まるで操り人形のように、同じ動作を繰り返していた。


> 天音「……これ、本当に訓練の映像なの?」

> 湊「違う……。こんな場所、僕たちは来てない」


まつりが眉をひそめ、モニターの端に浮かぶタイムスタンプを指さす。


> まつり「この記録、数分前のものよ……」

> さくら「え……? じゃあこれ……今の私たち?」


恐怖と混乱が入り混じる。冷が前に出て、画面を凝視した。


映像の中の“冷”が、まるでこちらの反応を予知しているかのように、ゆっくりと顔を上げ、無表情のまま微笑んだ。その笑みが、まるで挑発のように見えた。


> さくら「……そんな……やだ……!」

> 冷「……ふざけるな。俺たちを試してるつもりか……」


さくらが震える肩を抱え、冷の背にすがるように身を寄せた。


> さくら「冷……怖いよ……私、あんな顔してた?」

> 冷「違う。お前はあんなのとは違う……ちゃんと、ここにいる」


その優しい声に、さくらの瞳が潤む。天音がわずかに目を伏せ、まつりが小声で「ずるい」と呟いた。


湊はそんな三人を見て、静かに息を吐いた。


> 湊「……こういう時こそ、心を強く持たないとね。僕たちは、ちゃんと生きてる」


モニターの光が彼らの表情を照らし、誰もが自分の影と向き合っているように見えた。


まつりが無言で映像を停止させる。モニターの光が消えると、室内は再び暗闇に包まれた。


---


### ◆ 微かな振動


静寂の中、床がわずかに震えた。遠くで低い警報音が一度だけ鳴り、すぐに途絶える。天井のライトが一つ、また一つと明滅する。冷たちは互いに顔を見合わせた。さくらが反射的に冷の腕にしがみつき、天音が咄嗟にその肩に手を置いた。


> さくら「……やだ、また何か起きるの?」

> 天音「落ち着いて。まだ安全装置の範囲内よ」

> 冷「……いや、これはただの振動じゃない。施設全体が何かに反応してる。」


足元の金属床がきしむ音がした。まつりが端末を確認するも、画面は真っ暗だ。唯一、湊の手元にあるライトだけが頼りだった。


> 湊「照明、ほとんど落ちちゃったね……。でも、僕たちの呼吸音だけが響くのが逆に怖いよ」

> まつり「湊、それ言わないで。余計に怖くなるでしょ」

> 天音「……ふふ、こういう時こそ冷を頼るべきじゃない?」

> さくら「も、もう頼ってるもん……!」


その言葉に、まつりがまた頬を膨らませる。冷は小さくため息をつきながらも、全員の方を見渡した。


> 冷「……大丈夫だ。訓練なんだ。ここで恐怖に飲まれたら、それこそ“観察層”の思うつぼだ。」


天音が頷き、湊が少し笑って「冷くんらしいね」と囁く。わずかな笑いが全員の緊張を和らげた瞬間——再び床が揺れ、空気がビリ、と震えた。今度は壁の向こうで何かが動いている音がした。


> まつり「……来る……何かが……」

> 天音「ライトを消して。音を立てないで」


暗闇の中、五人は息を潜めた。冷のポケットの中で光が瞬いた。停止していたはずのBlueBeeのインジケーターが一瞬だけ点灯し、また消える。冷の胸が高鳴る。


> 冷(心の声)「……まだ、見られているのか?」


沈黙が続いた。遠くで微かに電子音が重なり合い、まるで誰かが囁くように聞こえた——「次の段階へ」と。五人の視線が交錯する。誰も言葉を発さなかった。暗闇の向こうで、確かに“何か”が目覚めようとしていた。


> 冷(心の声)「……終わらせるのは、俺たちだ。」


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