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漂流企業 食品工場まるごと異世界転移  作者: 蒼木しの
続章【 新婚旅行は異世界で 】
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第21游 キリハリの塔④

 最終ステージとなる49階へ向けて階段を昇り終えると、仁と慈愛(ジア)は異様な光景に足を止めた。

 49階はこれまでの迷路ではない。ただっ広い空間だけが広がっていた。


「お、お遊びはここで終わりかの」

 慈愛は無造作に足を一歩踏み出そうとするが、仁が慈愛の腕を掴んで静止した。

「待て慈愛、何か怪しい」


 仁はこの妙な雰囲気に何かを感じた。この何となくだが怪しく感じる能力は仁のスキル[見抜く]の一端でもあった。

 戦闘やステータスウインドゥを見るだけではない。こう言う怪しそうな場所でも仁の[見抜く]スキルは直感として発揮もする。


 しばらくその場に留まり辺りを注視していると、声がフロアー内部にこだました。


《はははですぅ~、ようやくここまで来れましたかぁ冒険者たちよ》


「ん?キアラじゃな」

 声だけが鳴り響くフロアーに向けて慈愛がそう呟いた。


《違いますぅ~私はこの塔のゲームマスター[キリハリ]ですぅ》


「なんだ、キリハリって塔の名前じゃなくてゲームマスターの名前だったのか」


《そ、そんな事はどうでも良いのですぅ。この最終フロアーの説明をしますぅ》


 ゲームマスターキリハリを名乗るキアラの説明はこうであった。

 この最終フロアーの床には踏むと瞬時に外にテレポートしてしまうトラップが仕掛けられている。但し、60センチ四方の床石にはトラップが仕掛けられていない床も存在する。

 正解の道は1本のみ。トラップを掻い潜りながら通過しなければならない。


「あ、わかったぞ!」

 仁が手に持ったカードを見た。このカードを組み合わせることで正解の道が判明するのではと感付いた。


《なかなか察しが良いですぅ~。仁さ・・冒険者よ~》

「(プッ、今俺の名前を言ってしまいそうだったな)」

 仁は笑いそうになる自分を堪えた。


《ですがぁ~!!!あなたたちは全てのカードを持っていない!よって後は勘に頼るのみですぅ~》


 仁は手持ちのカードをマジマジと見た。手持ちのカードは32枚。そこに書かれている2ケタの数字には、別のカードにも同じ数字が書かれている場合がある。

 仁は何かを閃いたかのようにその同じ数字のカードを床に置いて重ねて行く。すると、各カードに描かれている方眼紙のような線が合わさり、出口までの道筋の様な物が現れ始めた。しかし、手持ちの枚数が少ないのか、完全な道筋は見えてこない。およそ3割程度しかカードが集まっていないようであった。


「ん~困ったな、カードが足りない」

 仁が並べたカードを見つめていると、慈愛が仁の肩に手を置いた。

「床を踏まなければ良いのじゃろ?レヴィテーションウインドゥじゃ!」


 慈愛が魔法を発動させて二人の身体を浮かせた。そして先に見える階段へ向けて飛び始めた。


《あわわわ・・・ずるいですぅ!!!》


「飛んじゃダメとはルールにはなかろう!」


「(いや・・・、これはキアラが可哀そうな気がしてきたわ・・・)」


 階段の前まで無事到着すると、レヴィテーションウインドゥを解除して50階へ向けて慈愛は駆け上がった。

 そして鉄製の扉が目に入ると、慈愛はそれを勢いよく開けた。


 バンッ!

「わしらの勝ちじゃ!キアラ!」


 ドヤ顔で部屋に侵入した慈愛。その先にクリスタルビジョンに照らされたキアラの姿があった。

「ず・・・ずるいですよぉ~飛ぶなんて」


「おう、久しぶりだな!キアラ!」

 仁もあとに続き部屋に入ってきた。


 キアラは最年少ながらも六賢者と言う重要な職務に就いている。まだあどけなさが残る彼女は、同じ六賢者の慈愛やエリシアと仲が良く、以前はよく一緒に行動をしていた。

 一度だけ、第四の混沌CHIHAYAとの戦いに地上世界へ赴いた際、現代社会にある遊園地などの話を聞いた。そこにあるアトラクションに惹かれ、自らもデルカニアで出来ないかと考えて、この塔の迷路を思いついたそうだ。

 無論、キアラの手が空いた時にしかキリハリの塔を召喚出来ないので、不定期に現れては消えるのだ。


 だが、慈愛の裏技とも言うべき強引なやり方でキリハリの塔を攻略された事で、キアラは少しむくれていた。


「いやぁすごいなキアラ!ゴーレムだけでなく塔も召喚できるなんて!」

 そんなキアラを持ち上げるように、仁が褒めたたえた。


 するとキアラもだんだん気分が良くなってきたのか、笑顔がこぼれ始めた。

「えへへ~伊達に六賢者やってないですぅ~」


「本当じゃ!本当にすごい!・・・んで?クリア報酬は?」

 慈愛が一瞬だけ乗っかったがバッサリと良い雰囲気を壊し、報酬の話を始めた。慈愛には報酬である宝具にしか目が行ってないようだ。


「んもぉ~。はい!これでぇーす!」

 若干むくれ顔に戻ったキアラは丸い水晶を差し出してきた。その水晶の中には、太陽のマークや、雨模様のマーク、風のマークなどが浮いていた。

「む?なんじゃこれは」

 慈愛はそれを受け取り、バッグから取り出した宝具百科事典に重ねた。すると水晶は本の中に吸い込まれ、新たにページが生成された。


 宝具No15[ウェザークリスタル]

 これは半径1キロメートル以内の天候を操る事の出来る宝具であった。但し、効果は30分間のみ、そして使用できる回数は1日1回が限度と記載されていた。


「おお、これは便利じゃ!傘いらずじゃ」

 慈愛は両手で[ウェザークリスタル]を掲げて嬉しそうにその場をクルクルと回っていた。

 その様子にキアラは苦笑いしながらため息をついた。

「ははは・・次回からは飛ぶのは禁止ってルールを付け足すですぅ・・・」


 そんなキアラに、仁は軽くポンとキアラの頭に手を乗せた。

「壁を壊すのも禁止って入れとかないとな」

 

 笑う仁に、キアラも見上げ、笑顔で頷いた。


 こうして、キリハリの塔を攻略した仁と慈愛は、無事に宝具も入手し、当初の目的地であるタイタン族の住む島[ゴアンベイ島]を目指して、新婚旅行を続けるのであった。


こんにちは!蒼木しのです。

一旦これで新婚旅行編はお休みとなります。

資料を挟んでからは、もう一つのお話となる現代にいる人たちのお話となります。

引き続きよろしくお願いします! しの

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