2日目(5)
店へと戻り島田さんと雫の姿を見つけると、二人も直ぐに僕に気が付いた様で近くまで駆け寄ってくる。
「助けて、翔君」
半泣きの状態で駆け寄ってきた雫は、僕を盾にする様にして島田さんから身を隠す体勢になる。
「柊君! こっちとこっち、どっちがいいと思う?」
島田さんは服を両手に持ち、片方ずつ分かりやすく見せながら、僕に意見を求めてくる。
「え、えっと……僕にはわかんないや」
僕は先程までの事を悟られない様にごく自然にそう言うが、二人は急にしんとして、僕達の周りの空気が冷たくなるのを感じる。
「柊君、どうかしたの?」
島田さんから掛けられた言葉に、僕の体は思わずピクリと反応してしまう。
「別にどうもしないよ」
僕がごまかす為に必死に手を横に振りながらそう言うと、僕の後ろに隠れていた雫が、ボソッと僕にも聞こえない声で何かを言って、スンとした顔で僕の前に出てくる。
「海ちゃんこの服。やっぱり気になるから、試着してきてもいい?」
「え? でもさっき」
「いいからいいから」
雫はそう言うと、島田さんの背中を押す様にして試着室に向かっていく。
「翔君。よーく見ててよね!」
雫は振り返ってそう告げると、舌を出して「べー」と言いながら、踵を返して試着室の方に向かって足を進めて行ってしまった。
(僕もまだまだ、子供なんだな)
僕は自分の不甲斐なさを実感しつつ、雫の優しさに甘える様にして、二人の後ろを少し距離を空けて追いかけて行った。




