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同じ考えを持つ者たち

「さとるさん!」

 相川たちと共に現実世界に帰ってきた悟を出迎えたのは雫の笑顔だった。

「雫・・・良かった。無事だったか」

 悟の体にしがみつく雫の頭を軽く撫でながら悟は言った。

「君が神山悟君だね」

 知らない男の声が聞こえた。声の聞こえた方に顔を向けるとそこには、クセっ毛でボサボサの髪の毛にやる気のなさそうな目をした男がイスに座っていた。

「俺は日向太陽だ。よろしくな」

 日向はイスに座ったまま顔をこっちに向け笑みを浮かべて言った。

「あ、あのここって・・・みなさんって」

「ここは勝手に秘密基地として使ってる空き教室。そんで俺たちは君と同じ考えを持つ者の集まりだよ」

「同じ考え?」

「ああ、雫ちゃんを殺したくないんだろ?」

「ああ。もちろんだ!」

 日向の問いに力強く悟は答えた。

「なら協力してやる。全力で守ってやれ」

「ああ。ありがとう」

 優しく笑みを浮かべた日向に悟も笑顔で返して言った。

「よろしくね神山君。私は月島忍。皆にはシノって言われてるわ」

 相川と共に悟のことを助けてくれた黒髪長髪でたれ目のお姉さんタイプの美人が笑顔で自己紹介した。

「よ、よろしくお願いします」

 美人に見つめられて照れながら悟は言った。

「私は相川薫です」

「知ってるよ!」

 サラッと相川も自己紹介してきたので悟はすかさずツッコミを入れた。相川は意外とボケたり、ノリが良かったりする。

「・・・よろしく・・・」

 遠くの方から声が聞こえた気がして振り返ってみるとそこには一人の女子がいた。部屋の隅で本を読んでいる。後ろ髪は肩の高さにバッサリとカットされているが前髪は長く伸ばされたままで左目は髪で隠れている。第一印象は『暗い』。

「彼女は月だ。まぁ普段はあんなだがいざとなったら役に立つよ」

 日向が代わりに紹介をしてくれた。

「こんなメンバーで雫ちゃんや君を守っていくよ」

「ありがとうございます」

 改めて丁寧に悟はお礼を言った。

「これからについて話したいんだけど、明日の方が良いかな?予期せぬ事態で疲れただろう?」

「確かに疲れてないといえば嘘になります・・・でも大丈夫です。雫を守るためなら」

「その気持ちは素晴らしいが、我慢は良くない」

 日向は全てを見透かしているようだった。確かに悟は身体的にも精神的にもかなり疲れていた。

「大丈夫。帰りも私が送れば襲われることはない。それに家は日向さんが守ってくれる」

 相川が言った。

「守る?どういう事だ?」

「俺の能力だ」

 自信たっぷりに日向は言った。

「なぜ自由にこの空き教室が使えると思う?」

 悟はこのことに疑問を感じていた。教師たちは勝手に空き教室を使っていることに注意などをしないのだろうか、と。

「この教室には俺の結界が張ってあるんだ」

「結界?」

「ああ、結界が張ってある場所は特定のやつ以外は侵入を許さない。特に魔族には有効だ。だから誰もこの教室について関与してこない」

「じゃあ、ここに居れば魔族が雫を襲うことはないんですね?」

「ああ、その通りだ。だからこの結界を君の家にも張れば安心と言うわけだ」

「なるほど」

 とりあえず、今日一日はゆっくりできることに悟は一安心した。

「・・・・どうした雫?」

 悟の横で雫がフラフラしているのに気付いた。

「・・・なんでもない」

「眠いのか?」

 何度か首をカクンと前に落としそうになるのを何とか起こしてるような動きをしている。悟に捕まってなければ今にも倒れそうだ。

「そう言えば、君が来るまでずっと落ち着くなくしてたからな」

「そうか・・・心配かけちゃったな」

「まぁ今日は俺たちを信じて休むといい。ちゃんとしたことは明日詳しく話すよ」

 優しく微笑みながら日向は言った。

「ありがとうございます」

「改めて、これからよろしくな」

 日向はそう言って手を差し伸べてきた。

「はい」

 悟は元気よく返事をしてその手を掴んで、がっちり握手をした。


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