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女王ルリオンの誕生奇譚  作者: メテオの剥離片
第一章:小さな王とのんきな兎
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アクシデント

長らくお待たせいたしました。

「しっかし、どうやって魔物を倒したんだ?手強い相手だったはずだろ」

「んー?うーん、こう、ザシュッと」

「抽象的だなオイ」


ヴォルフの誘いに乗った私達は、村を出てジョイエッリ王国に向かうことにした。

道中ヴォルフが、戦いのことをメテオに聞いているが、見て分かる通りいい案ではない。


(ジョイエッリ...最後に行ったのはいつだったっけ...)


その横で、私はしっかりと国のことを思い出そうと、頭を冴え渡らせる。


最後に王国へ行ったのは、私が10歳の時だったはず。

確か母上と父上に連れられ、ジョイエッリの王に挨拶に行った覚えがある。


(そういえば...ジョイエッリの王様って、父上と仲が良かったような)


私の父は紛れもない竜だ。もちろん寿命も体格も人間と違う。

自由で雄々しく、それでいて気まぐれ。

父を最後に見たのも、母上が病気で倒れた後、旅へ出ると聞かされた時だった。


(あの頃は、こんな形で王国に来るなんて思わなかったな...父上も、居なくなるとは...)


「...おーい、ルリオン?」


などと私が考えていると、メテオから呼びかけられる。

私は一度思考を止め、メテオの方を向いた。

もしかして、顔に出てたのかな...


「なんか、おばあちゃんみたいに皺寄ってるけど、大丈夫?」

「おばあちゃんは余計よ!もうちょっと私のこと敬ってくれない!?」


心配してくれているのかと思ったが、とんだ思い違いだった。

私は不平をたれようと、口を開く。

しかしそのタイミングで、ヴォルフが振り返って告げる。


「おーい、着いたぞ」


私とメテオは、前方に目を凝らす。

よく見ると、大きく開いた鉄の門に向かうように、人の列が出来ていた。

それを門の脇に立つ人が、詰まらないように捌いている。

なるほど、記憶とも一致するし、あれが王国の入口で間違いないわね。


「へー、思ってた十倍ぐらい普通の関所なんだね」

「どんだけ豪華なのを想像してたのよ...」


のんきにそんなことをのたまうメテオ。

私は困惑しつつ、父上からちらっと聞かされたことをそのまま教える。


「この辺は魔物も多いし、装飾より機能性を重視したんじゃない?」

「あーなるほどね、完全に理解した」

「ホントかなぁ...」


分かってなさそうな顔してるよ...


「...あれ、ヴォルフは?」


私はふと周りを見渡し、ヴォルフが居ないことに気づく。

それを察したのか、メテオはこう言った。


「そういえば、さっき門番の人に呼ばれてたよ」


なんで?

って思ったけど、依頼で来たって言ってたし、さっさと冒険者ギルドに行きたかったのかも。


(まぁ、すぐ戻って来るでしょ)


しばらく列に並んで、戻ってくるのを待とう。


しかしヴォルフは、私達が王国に入るまで戻ってくることはなかった。




「どうすんの、ヴォルフ帰っちゃったよ」

「なんで私がやったみたいに言うのよ」


王国に入った私達は、あてもなく歩いている。

ヴォルフはどっか行っちゃったし、メテオがこの王国のことを知っているとは思えない。

私も私で、ちょっと外観が変わっているからか、どこがどこだかという感じだ。


「もうこうなったらあの城にでも行く?王様に案内してもらおう」

「あなた、王様を何だと思ってるの...」

「え?うーん、とりあえず偉い人」

「ふわっとし過ぎじゃない?」


まったくもう...

私はメテオの考えをさくっと切り捨てる。

のんびりとした雰囲気だったけど、割と本気だったのは分かってるから。

もうちょっと常識の範囲で話してくれないかな...


しばらく道を真っ直ぐ歩いていると、不意にメテオが顔を上げる。


「...あ、あれ見て」

「何?私をからかいたいなら聞かないわよ」

「いや、そうじゃなくて...」


おもむろに、メテオはある一点を指さした。

私も疑いつつ、その先に目を向ける。


「──え、あれって...」


視界に飛び込んできたものに、私は思わず驚いた。


そこには道行く人に混じって、立派なレンガ造りの建物の前に、紅蓮の髪と、筋肉な体つきを持つ男が立っている。


「あれ、ヴォルフじゃない?」


間違いない、ヴォルフであった。




『ヴォルフ、ちょっとこっちに来てくれ』


十数分前、俺は門番をしていた冒険者に呼び止められ、先に王国の中へ入った。


『なんだよ、また一文無しにでもなったか?しょうがねぇな──』

『違う!』


隣を歩いていたやつは、どことなく焦った様子で、そう叫ぶ。


『じゃあなんだ?』


流石に俺も、何かが起きているのを察して、そいつの話を聞くことにした。

そいつはしばらく考えた後、話すことを決めたらしい。


『実は──』


.........


「まさか、()()がここに出たとは...」


俺はレンガ造りの冒険者ギルドを前に、そんな言葉を零す。

ルリオンやメテオには悪いが、これは無視できない。


(...いや、よく考えたら兆候はあったのか?)


やたらと強かった、あの黒い大蛇。

もしかすると、そういうことだったのかも知れねぇ...


(...これは、親父(ギルドマスター)にも伝えねぇと)


俺はそう思いながら、冒険者ギルドの扉を開いた。

「ジョイエッリの描写してさっさと事件起こそうぜ!」っていう僕と「とりあえず王国入れて終わりでいんじゃね?」っていう僕がせめぎ合った結果がこれです。ド難産でした。

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