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異世界と特典

ーーー俺の意志に関係なく異世界にとばされました。


 「……………はっ!!」


 意識を取り戻してガバッと上体を起こすと、そこは小さな丘の上の大木の下であった。優しい風が頬を撫でる。


 「夢…じゃないよな。うわ、ガチで異世界にとばしやがったあのじいさん…」


 今、この見知らぬ世界に俺が存在しているという事実だけが、俺の知りうる知識の最小であり最大であった。

そうして、絶望感を感じる訳でもなく、諦念するわけでもなく、ただただ呆けていると空から30ページ程の束のプリントが降ってきた。


 「なんだこれ、…って、は?“チュートリアル~異世界編~”だと?」


 中を見てみると始めにあのじいさんが書いたと思われる説教と激励と謝罪の文句が書いてあり、次にこの世界のこと、国や言語、魔法(魔法なんてあるのか!?)、世界情勢などが連なり、最後に契約書があった。


 「なに…? “ 

        ー契約書ー 

 あなたはこの世界において世界を救う程の功績を残したとき、元いた世界への再転送が可能になります。その際この世界に留まることも可能ですので十分にお考え下さい。

 あなたのこの世界での行動はあなたのもともと書いていた小説に反映されます。こちらの執筆には神界でも高名な方にお願いするのでご心配なさらず。

 あなたは自身が功績を得る前に死亡してしまった場合、元いた世界でも反映されるのであしからず。

 あなたの戻るべき時間軸にある世界は現在時間が停止しているので、あまりにもこの世界で時間をかけすぎてしまうと、精神と肉体のバランスが危うくなる場合があります。もちろん、当方としては誠心誠意サポートをさせて頂きますが、あまり時間をかけられるのはおすすめしません。

 以上を踏まえて承認して頂ければ、あなたの肉体をまずこの世界の中の上レベルに、異世界言語能力も人並みに、また魔法適性を与え、最後に特典(チート)を授与させて頂きます。

 承認するときは契約書に手をかざして「承認」と声にだして下さい。

 非承認の場合はこのまま存在が消滅するのでご留意下さい。

 

            ー異世界派遣部門ー”

 ………へ?」


 もう言葉が出なかった。出す言葉がなかった。


 俺はなにやらこの世界でかなりやらかさなければならないらしい、しかも良い方向で。


 なにやら特典は貰えるらしいが、果たしてそれがどれだけ役に立つか分かったもんじゃない。


 だがしかし、なにもしなければこのまま消滅してしまう、らしい。


 もともとあの世界には退屈してはいたが、それでも退屈過ぎて死にたいと思ったことはなかったし、それなりに楽しいこともこの先あっただろう。


 もちろんこのまま消滅なんてもっての他だし、まぁ、魔法が使えるようになるってんだから、少しは楽しみでもある。


 「くそっ、あのじいさん俺に断れないようにしやがって…

ああ、いいさ、やってやんよ!退屈してた俺にとっちゃ必ずしも悪い話ではないからな!」


 そういって契約書を前に手をかざして


 「承認!」


 俺の体が光りに包まれ、もう一度意識を失った。


ーーーー特典(高みへ到達しうる器)を得ました

 読みにくかったので編集しました。内容は変わっていません。

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