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第七十五話 見えない星の下で
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
この物語は、
「選ぶまで」の時間を描いてきました。
夜。
ホテルのロビー。
変わらない灯り。
行き交う人の気配。
低く、穏やかな音。
「いらっしゃいませ」
自然に声が出る。
足取りは迷いがない。
いつもの位置。
いつもの仕事。
ふと、視線を上げる。
ガラス越しの夜。
星は見えない。
それでも。
名前だけを呼んだ夜。
十分だった。
小さく息を吐く。
それから、わずかに口元が緩む。
ほんの一瞬。
「ありがとうございました」
次の客に向き直る。
変わらない動き。
変わらない声。
⸻
夜は続く。
変わらないようで、
ほんの少しだけ違う夜。
⸻
見えない星の下で、
それでも、歩いていく。
これにて第一部は完結となります。
大きな出来事は多くありませんが、
少しずつ積み重ねてきたものが、
最後の一歩に繋がっていれば嬉しいです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
もしよろしければ、
ご感想などいただけるととても励みになります。
第二部では、
「選んだ後」のふたりを描いていきます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。




