43話 地上への階段
ーーナディアの城、別館にて
「むむ、その小さい影は……」
「ナディア!」
通路の壁をぶち破って現れたのは、この城の主人である【三王】ナディアだった。
てかこいつ自分の城の壁、平気で壊してたよな今……。
「な、何だこいつ!」
そう言ってダイアは、手だけ狼に変えて爪を立てた。
「落ち着けダイア、大丈夫味方だよ」
「味方ってシオン、こいつがナディアなら敵だろ?」
「うーんと、敵ではなくて……」
まずいな2人にナディアが本当は、静かに暮らしたいだけの平穏な奴だと伝え忘れてしまっていたな。
さぁてどうしたものか。
「はは、なんだか荒れているなシオンよ」
「まぁね、ダイア爪を納めてくれナディアは悪い奴じゃないただ、静かに暮らしたいだけの平和な奴なんだ」
「……シオンがそう言うなら、従うか」
そう言ってダイアは、爪を引っ込めて後ろへ下がっていった。
どうやらわかってくれたみたいだな。
「してシオンよ、お主戻ってくるのが存外早かったな」
「えーっと、どうやらレパルスがやっぱり悪い奴っぽくて、しかも貴方の部下のレナティも本当はレパルスの部下でーー」
俺はナディアに、ミカさんがレナティに連れ去られレパルスの元へ向かっている事を伝えた。
「ほほうレナティの奴、良い度胸をしているじゃないか」
「その様子だと、レナティの正体には気がついてなかった感じなのか?」
「まぁそうなるな、でも何か怪しい奴だとは思っていたさ、なんせレナティはレパルスの紹介で私の配下に加わっているからな」
「おいおい、その時点で気がつけよ」
ダイアはナディアの話を聞いてそう呟く。
「むむ、うるさいぞバカ犬」
「誰がバカ犬だ!この野郎」
「やめろ2人とも、ここで俺たちが争うのが1番意味ないだろ」
喧嘩になりそうな2人を俺はそう言って宥めた。
まぁでも、ナディアの奴はもうちょっと人を疑う事を覚えた方がいいと思うな。
「そうだな」
「シオンがそう言うなら従うよ」
そう言って引き下がる両者。
なんだろダイアの俺への忠誠心が心なしか上がっている気がする、嬉しいな。
「ありがとう2人とも、ていうかナディア、お前はどうしてこんなところにいるんだ?」
「おおそうだった、ここ別館にある第二宝物庫に行かねばと思い、急いでおったのだった」
「第二宝物庫?」
「うむ、衛兵からの知らせでそこに置いてあった地上とこのダンジョンを行き来できるアイテムが、盗まれたらしくてな」
「おいシオン、それって……」
ダイアは俺の方を見てそう話す。
「ああダイア、盗んだ犯人は十中八九レナティだろうな」
「な、なんだと!?」
俺とダイアの会話を聞いたナディアは、驚きのあまり大きな声をあげた。
「こいつ鈍いにも程があるだろ」
「やめろダイア」
「へいへい」
また喧嘩の火種になりそうな事を言っていたダイアに俺は釘を刺す。
しかし、ナディアの話が本当ならレナティをレパルスに会う前に止めないと、地上へ逃げられてしまう。
そうなればもっと厄介な事になってしまうし。
「ナディア、ちょっといいかな?」
「まさかレナティが……お、おう、なんだシオンよ」
ナディアはレナティの件で明らかに動揺していた。
しっかりしてくれよナディア。
「俺たちはこれから地上に戻ってレパルスとレナティからミカさんを救わないといけない、もしよければナディアもそれに協力ーー」
「もちろんだ!!」
ナディアは俺の提案を皆まで聞かず、そう叫んだ。
気持ちはわかるけどナディアさん、一応、提案は最後まで聞いた方がいいような気がするぞ。
「お、おう」
「協力はするがシオンよ、私は地上ではそれほど強くはないから、お供にマイティという魚人を連れていけ、役に立つぞ!」
「え、マイティ……」
「お!その様子だともう知っているようだな、なら私がシオンと共に行けと言っていたと伝えてくれ、そうすれば付いてくると思うでな」
そう言ってナディアは宝物庫に向かい動き出す。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、こんなふわっとしていいのか?もっとこう具体的な話とか……」
「そんなもんはいらん、シオンよ頼んだぞ!あ、それとレナティが盗んだアイテムの回収もよろしくな!」
「あ、ちょっと!」
そうしてナディアはいなくなってしまった。
色々勢いでお願いされてしまった……まぁでもやる事は変わらないか。
「よし!ダイアにタレミィ、俺たちも地上に戻るぞ!」
「戻るってまさか、また水中を行くのか?」
「いや、どこかに地上への階段があるはずだからそれを探せば……」
「シオンさん、もしかしてその階段ってあれじゃあないですか?」
そう言ってタレミィは通路の奥を指差した。
するとそこには、地上へ伸びていそうな長い階段があった。
「きっとあれだ!さぁ2人とも急いで地上に戻るよ!」
『了解!!』




