21話 シオンの策
ーー帰らずの泉にて
リザードマンの村から歩く事15分、意外なほど近くにあった人気のない洞窟の中にその泉はひっそりとあった。
『チャポン』
地下水が溜まってできた泉だからだろうか、水がとても綺麗である。
『パシャッ』
「よし皆の者、わしに続いて来てくれ」
帰らずの泉に先に入った村長が、残りのリザードマン達にそう告げる。
「うっしゃー!今行きますぜ村長!」
「ささ、小太郎さんも一緒に」
「う、うん」
『ポシャンッ』
そうして小太郎はお付きのリザードマン、リザ吉と共に泉の中へと入っていった。
小太郎、またずいぶんとリザードマンたちに懐かれてんな。
「お、おいシオン……」
「どうしたダイア?」
「悪りぃ俺むりだ、一緒には行けねぇよ」
「どうしたんだよ急に」
「水が苦手なんだよ!」
ダイアは泉の前で固まったまま動けなくなってしまう。
「おいおいお前なぁ」
『パシャッ』
その時、先ほど小太郎と共に泉を潜ったリザ吉が水面から顔を出した。
「リザ吉どうした?」
「シオン様!大変ですこれは罠です、この泉から15層の真実の湖に行ったところ、ナディアと園は以下のウォータードラゴン数体の待ち伏せに遭い、村長と小太郎さんが……」
「な、なんだとー!!」
ナディアにこちらの情報が漏れていたのか?
何にせよ小太郎と村長が危ないな。
「どうすんだシオン」
「うーん、いや俺はここから行くから、ダイアはタレミィと合流してレパルスと一緒に来てくれ」
「行くってお前、罠があるってそこのトカゲが言ってるぞ」
「罠ではあるけど、ナディアもいるならこっちとしても好都合、このまま真実の湖に行って一網打尽にしてやるよ」
俺はそう言ってニヤリと笑う。
「一網打尽にするってお前、策はあるのか?」
「もちろんあるさ、スキル発動【分身】」
俺はスキル【分身】により、もう1人の自分を作り出す。
「お前は俺に偽装してこの泉を潜ってくれ」
『コクッ』
『チャポン』
分身体はそう言われると、何の迷いもなく泉へと入っていった。
頼むよ分身体。
「シオンさん、分身体を先に行かせてどうするつもりなんですか?」
俺の行動を不審に思ったリザ吉はそう訊ねてきた。
「いいんだリザ吉、分身体がナディアに捕まってもらう事で真実の湖の包囲網が解かれれば、本体の俺が侵入し易くなるからね」
「なるほど!」
「じゃあリザ吉、俺達2人は少し経ってから泉に潜ろうか」
「了解ですシオン様!」
まぁあとは、分身体はバレずに攫われてくれるといいんだけど。
「うし!ならシオン、俺はレパルスのとこ行ってそっちから15層に向かうぜ」
「ああ、頼むよダイア」
ダイアはそう言って洞窟から走り去っていった。
あいつ何しに来たんだろう……。
しかしナディアが待ち伏せしていたとは、ひょっとしてミカさんが絡んでいたりするのかな。
だとしたら、ミカさんは敵なのか?




