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第15話 リヒトさんは もしかして 僕のことが 好きですか

挿絵追加ver.

挿絵(By みてみん)


僕は、枕元の椅子に座った。


「…もって三日?


…もう目覚めない…?


うそでしょう…?


今朝、ギュッってしたのが…最後だったの?」


リヒトさんの片目を覆っている包帯をとる。

まだ痛ましく膨らんでいる。


「…変な顔です、リヒトさん。」


傷に触る。

しかし、傷すら冷たい。


「こんな顔で死んじゃったら…変ですよ?


でも、生きてくれるなら、この変な顔でもいいです。

どんな顔だって…」


両手で顔を挟んで温めようとしても、

僕の手の方が冷えていく。


ふと、枕の下から何かが見える。


手を差し入れてみると…


あの時の、くじ引き屋でもらった、鼠のぬいぐるみだ。

空色のリボンがつけられている。


「何やってるの、リヒトさん…


この鼠と、いつも寝てたの?」


僕は声を震わせて、首元のロケットを――

アクアマリンの石と僕の髪が入っているロケットを指ですくい上げた。


「ねえ、リヒトさん…


どうして、このロケットをいつもつけているの?


どうして、3年前、僕に会いたかったって言ってくれたの?


どうして、コルデールでは「シーリン」って名前だったの?


どうして、僕のそばにいてくれるの?」


僕は、彼女の冷たい手を握りしめて、問いかけた。


「リヒトさんは…もしかして、


僕のことが、好き?」


リヒトさんは反応しない。


「僕は、リヒトさんが好きです。

すごく…すごく」


僕は枕元の注射器をとった。


「注射しましょう。うんと痛くしますよ…」


僕は、リヒトさんの腕に解毒剤を注射したが、

薬液が皮膚の辺りで溜まっている。


僕は、そこを両手で包んで温めた。


「痛くないの?


もう、

もう、痛がることも…できないの?」


僕は、枕元に顔を埋めて叫んだ。


「どうしてこんなことになっちゃったの!?!?


気を付けてって言ったの、リヒトさんじゃないか!!!


馬鹿!

馬鹿!!!

馬鹿リヒトさん!!!!!」


リヒトさんは、全く反応しない。


嫌だ!

嫌だ!!

嫌だ!!!

死ぬなんて、絶対に嫌だ!!!!


僕の心臓は、塵のように引き裂かれた。


***********


ハッ!

相変わらず、この阿呆(シリウス)は目も当てられんな…


私は目の前の、死にかけた雌猫を見た。


なんだかんだと理由をつけて、

私が思わず手を出したほど、魅惑的だった雌猫。


「ハッ!笑えるな!

これは、ヴェノムの毒だ。

私も、これで毒殺されかけたことがある。


昔は処刑のときに使われたが…

今は、鼠族の秘薬として埃をかぶってるだろう。」


私は、阿呆(シリウス)に呼び掛ける。


「おい、お前は、今、私と視覚と聴覚を共有しているだろう。

私が、口に出したことは、記憶に残るはずだ。


一つ教えてやる。


猫族には、神鼠の神通力は効かんが、

猫族の王に代々伝えられる【秘儀】がある。

『神鼠の神通力を一時的に有効化する』ものだ。


猫族同士の争いが起こったときは、

それを使って神鼠に相手方を討伐させるわけだ。

つくづく野蛮なやつらだが…


おい、阿呆でも、ここまで来れば分かるだろう。」


さて…


「この雌猫はもう死ぬから、種を残すこともない。

一度味わっておいてやるか。

おい、雌猫、死ぬ前に最高の褒美をやろう。

悦べよ。」


(待て!待て!!)


「しかし、この妖怪みたいな顔は気分が上がらんな。」


(リヒトさんの悪口を言うな!!)


「まあ、顔はどうでも、名器は名器…」


(僕のズボンを降ろすな!!!

む、胸を触るな!!!!!)


「名器かどうか、お手並み拝見…」


「やめろ!テレシウス!!!!!!!!」


ハッと気が付いた僕は、慌ててズボンを上げた。


リヒトさんは…!?

リヒトさんは…


良かった…まだ生きている。


僕は胸に手を当てて、

この優しい、歴史上最悪の殺戮者に、深く感謝した。


…まずは、やってみるよ。

テレシウス…



十二支と神鼠は猫に「こい」


第Ⅰ章(人生の 最後のページで 見えるもの):https://ncode.syosetu.com/n5418ls/

第Ⅱ章(猫に恋する神鼠 妹に恋する禁忌の竜):https://ncode.syosetu.com/n3802lt/

第Ⅲ章(神山ゴテスベルクと猫天神):https://ncode.syosetu.com/n9385lu/

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