見えない少女と、捨てられた少年
「ねぇ、ルイ。なんであなたは、大けがを負っていたの?」
ルイは俯いて、少し経ってから話し始めた。
「俺は小さいころに父親に捨てられた。
でも拾ってくれたやつがいた」
少し間を置いて、続けた。
「でも偶然、親に会ってしまった。
『なぜお前が生きている?役に立たない者は死ね』そう言って俺を殺そうとしてきた。
......だから、ここまで来た」
その話を聞いたスミレは、自分と少し似ていると思ってしまった。
「そっか。あなたも実の親に嫌われてしまっているのね」
スミレも同じように俯きながら続ける。
「私もね、足も動かないし目も見えない役立たずなんだ。
きっと、母さんに嫌われてる」
ルイの魔力が揺れ、戸惑っている様子が伝わる。
「スミレ、君は......」
その時風が吹き、スミレの前髪がふわりと浮く。
「そうか、見えないのか。
だから......」
「幻滅した?自分を癒してくれた人が、見ることも歩くこともできない少女だったなんてって」
スミレは、自分の顔が少しひきつっていることがわかっていた。
「幻滅?するわけないじゃないか。
たとえ目が使えなくても、足が動かなくても、君は俺を助けてくれた。
すごい魔法を使えるじゃないか」
そう言ったルイはそのあとに、「俺とは違うさ」とぼそっと言った。
「大丈夫。君は強くなれるよ」
その言葉にすぐさま反応するルイ。
「君に宿る魔力は、他の人に比べれば多い。
君はただ、使い方を知らないだけ。」
一つのしずくが地面に落ちる音がする。
「本当か?俺は、強くなれるの?」
少しの期待が混ざった声。
「えぇ。だって私、魔力を見ることが得意なんだもの」
それを聞いたルイは、ただただ嬉しそうに泣いた。
ルイが泣き終えるまで、しばらくかかってしまった。
「ごめん」
少し照れたようなその声に、スミレはふふっと笑った。
「いいのよ。自分に力がないってのは、つらいことだからね」
スミレにはそのつらさがよくわかっていた。
「あ、そうだ今日は誕生日だった......」
スミレは思い出したかのように言う。
「君の?」
「えぇ、すっかり忘れてた」
スミレは慌てて帰る準備をする。
そんな中、ルイがぼそりという。
「そういえば、俺も誕生日だ」
その言葉にスミレは動きを止めた。
「そうなの?なら、一緒ね。
君は今何歳?」
「17歳だ」
その言葉にスミレは驚く。
「え!?私も17よ。
生まれた年まで一緒なんて、運命かもね」
スミレはくすりと笑ったが、ルイは一瞬体が固まった。
「どうしたの?」
「い、いや。何でもない」
「そう?って本当にそろそろ帰らないと。
ルイも家に来る?あなた、家はないのでしょう?」
ルイはその言葉に焦りながらも答えた。
「いや、大丈夫だ。あったばかりの奴にそこまで面倒を見てもらうのは悪いからな」
「別に気にしないのだけど......
まぁ、そういうことならまた明日、ここで会いましょう?」
「わかった」




