第91話 姫さま、昔を語る②
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『そろそろ旅に出ないといけない。魔物の活発化が著しいようだ。お前の家族も、お前を放置しなくてはならないほどに魔物を駆逐しているからな。……だからお前が勇者に選ばれたのだが』
絵本がそんなことを度々言うようになった頃。イディオが音を上げた。
イディオは途中から子分を連れて遊びに来ていたのだが、子分ともども音を上げた。
やっぱり私にはアルジャンしかいない。
絵本が心配するから、仕方ないから他のお供も見つける努力はするよ。
でもきっと、アルジャン以上に強い奴はいないけど!
……それとね、絵本が言ったんだ。
『旅から帰ってきたら、お前とアルジャンは英雄だ。きっとお前とアルジャンは婚姻を結んで女王と王配になるだろう。そうなれば、それこそアルジャンとずっと一緒だぞ』
「ホントか!? よし、やるぞ! アルジャンと旅に出て、魔王の封印を見てくる! 他にやることを教えろ! ちょっと行って帰ってきただけじゃダメなんだろ!?」
大好きなアルジャンとずっと一緒にいられる! だからがんばる!
ホントはアルジャンに話したかったんだけど、絵本が『話すと失敗するかもしれないから』って言うから、言っていいことと、アルジャンが察して聞いてきたことに対してうなずくことしか出来ない。
アルジャンも困ってる。でも、私も困る。
だって、何を言っていいかわかんないんだもん。
絵本もわかんないらしくて、しょっちゅう良いと悪いが変わる。
……そして、だんだん絵本の言ってることがめちゃくちゃになってきた。
ずっと『供を見つけろ』『供の子孫に会え』って言ってて、実際会いに行くけど、会うと『……違う。こんなんじゃなかった』ってぐちぐち言う。
うるさいしウザい。
けっきょく、アルジャンが戦って勝ってるじゃないか!
アルジャンは「そんなことない」って言うけど、どう見たってアルジャンだけいればいいって思う。
すごく強いのに、いっつも謙遜するアルジャン。
なんでだろう? 勇者の道具が足りないのかな?
そう思っていっぱいつけたらようやく謙遜しなくなった。
だから、二人でいけると思ったんだ。
ずっと二人でいけると思ったんだ……。
…………ごめんなさい。
アルジャン、ごめんなさい。
だって、世界で一番強いから、負けるところなんて見たことないから、大丈夫だって思ったんだ。
ホントはね、私が勇者じゃなかったら、きっとおにいか誰かが勇者になるんだよ。
あの絵本は、たまたま危機が迫りつつあったときに幼い私がいたから憑依したんだよ。
成人している勇者の末裔より、受け入れやすいから、って。
しがらみもないから、って。
だから、私がいなくなったら別の誰かが勇者なんだよ。
でも、そう言ったらアルジャンはいなくなっちゃいそうだから、言わなかったんだ。
だって、大好きなんだもん。
だって、ずっと一緒にいたかったんだもん。
だって、二人で旅をしたかったんだもん。
だから、お供はいらないって思ってたし、そのせいでアルジャンが死んじゃうなんて思ってもみなかったんだ……。
『ここにいるのは危険だ』
うるさい。
『お前は勇者だ』
うるさい。
『勇者の使命を果たせ』
うるさい。
同じ言葉を繰り返す絵本。
それを聞いてて思った。
これは、しゃべるだけで生きてない。
こんなんの言うことを聞いて、アルジャンと旅に出なければよかった。
ちゃんと、アルジャンの言うことを聞けば良かった。
アルジャンは、旅に出るのを反対してたし、騎士団をつけようって言ってたのに、絵本は勇者の供は旅で見つける、勇者の供の子孫を選ぶ、って言って、そっちを聞いてしまった。
バカだ。あたしはバカだ。
ずっと守ってくれたアルジャン。
最後まで守ってくれて、魔王種に呑まれてしまったアルジャン。
「アルジャン……。あたし、ひとりじゃ何も出来ないよぅ……」
初めて泣いた。
寂しいって、悲しいって、こういう気持ちなんだってわかった。
『勇者の使命を……』
「うるさい!」
役に立たないことばかり言う絵本を魔王種に向かって投げたら、吸い込まれていった。
そして、ワンワン泣いた。
「アルジャンー!」
あと1話で章が終わります。
次章から不定期更新になります。すみません、まだ書き終わってなくて……。
なるべく早く更新しますね!




